棚板の角を丸く落としたい、板の真ん中に四角い窓を抜きたい、手ノコでは曲がってしまう線をきれいに切りたい。そんなときに手に取るのがジグソーです。検索ではジグゾーと書かれることも多いのですが、マキタやボッシュの取扱説明書での表記はジグソー。中身は同じ道具なので、この記事では両方の呼び方が出てきます。
先に結論をお伝えすると、ジグゾーの使い方で押さえるべきことは3つです。ひとつは、刃(ジグソーブレード)を材料から離した状態でスイッチを入れること。ふたつめは、ベースを材料に密着させたまま、無理に押さずに送ること。みっつめは、材料と仕上がりに合わせて刃の種類・オービタル・速度を選ぶこと。どれも取扱説明書にはっきり書かれていて、守らないとキックバックや切断面の荒れにつながる理由があります。
この記事では、マキタJV0600とボッシュGST90BE/Nの取扱説明書を一次情報として、しくみ・刃の選び方と付け方・設定・切り方・安全とお手入れの順に、なぜそうするのかを理屈から説明していきます。型番の優劣を比べる記事ではなく、手元のジグソーの取扱説明書を読み解けるようになるための記事です。
・ジグソーで曲線や切り抜きができるしくみと、切れる材料・厚みの確かめ方
・刃(ブレード)の取付形式と、木工用・金工用・曲線用の選び分け
・オービタルと速度ダイヤルが仕上がりをどう変えるか
・キックバックを防ぐ始動のしかたと、直線・曲線・切り抜き・傾斜切断のコツ
曲線も切り抜きもできるのはなぜ?上下に動く刃のしくみと切れる材料

刃が上下に往復するから、向きを変えながら切り進められる
ジグソーが曲線を得意とするのは、細い刃が上下に往復して材料を削り取るしくみだからです。丸ノコのように円盤の刃が回転する道具は、刃の面に沿ってまっすぐにしか進めません。ジグソーの刃は細い帯状で、刃の幅が狭いぶん、進む向きを少しずつ変えていけます。これが曲線切りや、板の内側をくり抜く切り抜きができる理由です。
上下の往復の幅をストロークと呼び、マキタJV0600の取扱説明書ではストローク23mm、ボッシュGST90BE/Nの取扱説明書ではストローク幅26mmと記載されています。1分間に何回往復するかがストローク数で、JV0600は500〜3,100回/分です。ボッシュの説明書は用途として、垂直切断・左右に最大45°の傾斜切断・木材などの軟らかい材料の中抜き(ポケット切断)を挙げています。
やりがちな失敗は、刃の幅が狭いからといって、どんなに小さな半径でも曲がれると思い込むことです。刃は材料の中で横からの力を受けるので、急にひねると刃がたわんで切断面が斜めになったり、刃が折れたりします。マキタの取扱説明書も、急激にブレードをひねる操作を避けるよう注意しています。
きつい曲線を切りたいときは、曲線切断用の刃を選び、送りをゆっくりにするのがコツです。刃の選び方は次の見出し、送り方はその後半で詳しく説明します。
切れる厚みは取扱説明書の切断能力で確かめる
ジグソーで何がどこまで切れるかは、取扱説明書の仕様欄にある切断能力を見るのが確実です。切断能力は材料ごとに分けて書かれていて、同じ本体でも木材と金属では切れる厚みが大きく変わります。金属は硬く、刃一往復で削れる量が少ないため、厚いものほど時間がかかり、刃の消耗も早くなるからです。
下の表は、2機種の取扱説明書に記載されている数値を、工具・DIYの教科書で並べたものです。優劣をつけるためではなく、取扱説明書のどこを見ればよいかの見本として読んでください。
| 項目 | マキタJV0600 | ボッシュGST90BE/N(2010年版) |
|---|---|---|
| ストローク | 23mm | 26mm |
| ストローク数 | 500〜3,100回/分 | 500〜3100回/分 |
| 切断能力 | 木材90mm・アルミ20mm・軟鋼板10mm | 木材90mm・アルミ20mm・軟鋼板10mm |
| 傾斜切断 | 左右0〜45° | 左右に最大45° |
| 質量 | 2.3kg | 2.6kg |
| 速度ダイヤル | 1〜5 | 1〜6 |
| 刃の取付形式 | Bタイプ | ボッシュタイプ |
注意したいのは、木材90mmという数字が、どんな木でもその厚みまで楽に切れるという意味ではない点です。最大値は条件が揃ったときの上限なので、DIYでは余裕をもった厚みで使うほうが刃も本体も傷みにくくなります。出典はマキタJV0600の取扱説明書(PDF)とボッシュGST90BE/Nの取扱説明書(PDF)です。
コード式と充電式、丸ノコ・手ノコとの役割分担
ジグソーにはコンセントにつなぐコード式と、バッテリーで動く充電式があります。どちらも刃を上下させるしくみは同じで、選ぶときの基準は電源の取り回しと、取扱説明書に書かれた切断能力・質量・刃の取付形式です。今回取り上げた2機種はどちらもコード式で、ボッシュの説明書にはコードの長さ2.5mと記載されています。充電式の仕様はメーカーや機種で異なるので、手元の機種の取扱説明書で確かめてください。
道具の役割分担で考えると、長い直線を速く正確に切るのは丸ノコの得意分野、曲線・切り抜き・細かい形はジグソーの得意分野です。丸ノコの刃の構造については、こちらで詳しく解説しています。

目的別に見ると、棚板を何枚もまっすぐ切りそろえたい人は、ジグソーなら定規を併用するのが前提になります。看板や子ども用の小物のように飾りの曲線を切りたい人には、ジグソーが向いています。アルミの薄い板や塩ビ板を切りたい人は、金工用やアルミ用の刃に替えることで対応できます。やりがちな失敗は、長い直線を手持ちのジグソーだけで切って線が波打つこと。直線は定規、曲線はフリーハンドと、場面で使い分けるのがコツです。
刃(ブレード)はどう選ぶ?取付形式と木工用・金工用の見分け方
本体ごとに刃の取付形式が決まっている
ジグソーの刃選びで最初に確かめるのは、切る材料ではなく、本体に合う取付形式です。刃の根元(シャンク)の形は本体の固定部に合わせて作られていて、形が合わないと固定が不完全になります。マキタの取扱説明書には「ジグソーブレードは B タイプを使用してください。」とあり、ボッシュGST90BE/Nではボッシュタイプのブレードを使うよう案内されています。マキタの旧型番でも、M438はマキタタイプ、M439はBタイプと分かれていました。
形の合わない刃を使ってはいけない理由は、作業中に刃が抜けたり、ぶれたりするおそれがあるからです。取扱説明書では、他の形のブレードは固定が不完全になり、けがの原因になると注意されています。ボッシュの説明書も、弊社指定のジグソーブレードを使うよう書いています。
やりがちな失敗は、売り場で見た目が近い刃を買ってきて、差し込めたから大丈夫だと判断することです。差し込めても、奥まで固定されていないことがあります。T型シャンクの刃はボッシュの総合カタログに木工用・金工用が掲載されていますが、ほかのメーカーの本体に合うかどうかは各メーカーの指定に従うのが原則で、1社の情報で互換を決めつけないようにしましょう。
コツは、取扱説明書の仕様欄か付属品・別売品の欄で、取付形式の名前を確認してから刃を選ぶことです。
木工用は荒切り・仕上げ・厚物で分かれている
木を切る刃は、ひとまとめに木工用ではなく、速く切る刃・きれいに切る刃・厚い材料用の刃と役割が分かれています。マキタJV0600の取扱説明書のBタイプ一覧では、B-8が木材の高速切断、B-10が木材・合板の高速切断と仕上げ、B-11が木材・プラスチックの仕上げ、B-13が木材の荒切り、B-14とB-15が木材(薄物)用、B-16Lが木材(厚物)用とされています。BR-13は木材の毛羽立ち防止、B-19は木材・合板・プラスチックの仕上げ(逆目)用です。
役割が分かれる理由は、刃の歯の大きさや並び方で、一往復で削る量と切断面の荒れ方が変わるからです。たくさん削る刃は速く進みますが表面が荒れやすく、細かく削る刃は時間がかかるぶん切り口が整いやすくなります。
やりがちな失敗は、荒切り用の刃で家具の見える部分を切って、切り口のささくれに後から悩むことです。表に出る部分は仕上げ用、見えない部分や下ごしらえは荒切り用と使い分けると、紙やすりで整える手間が減ります。木の硬さによっても刃の進み方は変わるので、樹種の違いはこちらも参考になります。

刃の名前と適合材料はメーカーごとの表記なので、パッケージや取扱説明書の一覧で用途の欄を読むのが確実です。
金属を切るなら金工用と切削油がセット
木材やプラスチックは木工用、金属は金工用。ボッシュの取扱説明書は、材料に対応する刃の種類をこのように分けています。マキタJV0600の一覧では、B-21がアルミ・プラスチック用、B-22が金属・金属サイディング用、B-24が金属用(薄板用)、B-27が金属用の挽き回し切り、No.60〜62がステンレス専用(バイメタル)とされています。
金属を切るときにもうひとつ欠かせないのが切削油です。マキタの取扱説明書は「必ず適切な切削油を使用してください。」と書き、使わないと刃の寿命が極端に短くなると注意しています。ボッシュの説明書も、切削オイルスプレーなどでブレードが長持ちすると案内しています。金属は摩擦で熱を持ちやすく、刃先の摩耗が進みやすいためです。
やりがちな失敗は、木工用の刃のまま金属に当ててしまうことと、切削油なしで切り進めて刃をすぐ駄目にすることです。また、ボッシュの説明書では切り粉を吹き飛ばすブロアを、金属や冷却剤・潤滑剤を使うときはOFFにするよう案内しています。
| 項目 | 木工用 | 金工用 | 曲線切断用 |
|---|---|---|---|
| 切る材料 | 木材・プラスチック | 金属など | きつい曲線 |
| マキタの例 | B-10(高速切断・仕上げ)、B-11(仕上げ)、B-16L(厚物) | B-21(アルミ・プラスチック)、B-22(金属)、B-24(薄板) | B-17・B-18(挽き回し切り)、B-27(金属の挽き回し切り) |
| 注意点 | 荒切り用と仕上げ用で切り口が変わる | 切削油を使う | 刃厚の薄いものを、ゆっくり送る |
きつい曲線は曲線切断用の薄い刃で
小さな半径の曲線を切るなら、曲線切断用の刃に替えるのが近道です。ボッシュの取扱説明書は、きつい曲線を切る場合は曲線切断用のジグソーブレードを使い、刃厚の薄いものを選ぶよう案内しています。マキタJV0600の一覧でも、B-17が木材の高速切断と挽き回し切り、B-18が木材の挽き回し切り用とされています。
薄い刃が曲線に向くのは、切り溝の中で刃の向きを変えるとき、刃の背が溝の壁に当たりにくいからです。幅の広い刃で小さな円を切ろうとすると、刃が溝につかえて本体ごとねじられ、刃のたわみや焦げの原因になります。
やりがちな失敗は、直線用の刃のまま曲線に入り、思うように曲がらないので本体を手首でひねってしまうことです。刃が曲がって切断面が斜めになるだけでなく、急なひねりは取扱説明書が避けるよう注意している操作です。どうしても小さく曲がれないときは、曲線の外側から何本か切り込みを入れて、余分な部分を小分けに落としていくと刃に無理がかかりません。
マキタJV0600の取扱説明書では、円や円弧を円定規で切るときの刃としてB-17、B-18、B-26、B-27が挙げられています。手元の機種でも、円切り用の刃の指定があるか確かめておきましょう。
刃の付け方・外し方は?電源を抜いてから差し込み、引いて確かめる

交換の前にプラグを抜く理由
刃を付けるときも外すときも、最初にやることはスイッチを切って電源プラグをコンセントから抜くことです。マキタの取扱説明書は刃の取り付け・取りはずしについて、必ずスイッチを切り電源プラグを抜いてから行うよう書き、ボッシュの説明書も、刃の取り付け・取り外しの際はけがのおそれがあるとして同じ趣旨の注意をしています。
理由は単純で、交換中にスイッチへ指が触れたら、刃の固定部が手元で動き出すからです。ジグソーのスイッチは本体を握る位置の近くにあり、刃を差し込もうと本体を持ち替えたときに触れやすい配置になっています。スイッチを切っているつもりでも、ロックの状態を勘違いすることもあります。
やりがちな失敗は、ちょっと刃を替えるだけだからと、プラグを差したまま交換を始めることです。充電式なら、同じ考え方でバッテリーを外してから作業するのが筋です(具体的な手順は各機種の取扱説明書に従ってください)。
もうひとつの注意は手の保護です。マキタの取扱説明書は、工具交換のときは手袋やウエスで手を保護するよう案内しています。刃の歯は細かく鋭いので、素手でつまむと指先を傷つけやすいのです。
レバー式とSDSレバー式、2つの取付方式
刃の固定方法は機種によって違いますが、今回の2機種はどちらも工具を使わずにレバーで留める方式です。マキタJV0600は、ブレードクランプのレバーが解除位置にあることを確認してから、刃を前向きにして奥まで差し込みます。するとレバーが固定位置へ回転して刃が固定されます。
ボッシュGST90BE/Nは、SDSレバーを引き出したまま、刃をローラーガイドの溝に当ててプランジャーに差し込み、奥までしっかり入れてからレバーを離します。ローラーガイドは刃の背を支える部品で、溝に刃が乗っていないと、切断中に刃の背が支えられず、ぶれやすくなります。
やりがちな失敗は、刃の向きを逆に差してしまうことです。ジグソーの刃は前向きに歯が付いた状態で使う前提で作られています。取扱説明書の図で、歯がどちらを向くかを一度見てから差し込むと迷いません。
装着後に引っ張って確かめ、作業直後の刃には触れない
刃を差し込んだら、軽く引っ張って抜けないかを必ず確かめます。マキタの取扱説明書には、ジグソーブレード装着後に軽く引っ張り、抜けないことを確認するよう書かれていて、ボッシュの説明書も引いて抜けないことを確認する手順になっています。
この確認が要るのは、奥まで入ったように見えても、固定部が刃をつかみきれていないことがあるからです。切り始めの振動で刃が抜けると、材料の上で本体が跳ねたり、刃が飛んだりするおそれがあります。差し込んだ感触ではなく、引っ張ったときの手応えで判断するのがコツです。
外すときのやりがちな失敗は、切り終えた直後の刃を素手で抜こうとすることです。マキタの取扱説明書は、作業直後の刃・材料・切り屑は熱くなっているので触れないよう注意しています。金属を切ったあとや、長く連続して切ったあとはとくに熱がこもります。
外した刃は、歯先の欠けや摩耗、曲がりがないかをその場で見ておくと、次の作業で慌てずに済みます。ボッシュの説明書も使用前にこれらを点検するよう案内しています。点検の詳しい話は後半のお手入れの章で触れます。
オービタルとスピードダイヤルは何を変えている?仕上がりを決める2つの設定
オービタルは刃を前後にも振って、切る速さを上げる機能
ジグソーの本体には、刃の動き方を切り替えるオービタルの切替と、往復の速さを決めるスピードダイヤルがあります。オービタルは、刃を上下だけでなく前後にも同時に動かして、切る速さを上げる機能です。マキタの取扱説明書では、ブレードが上下・前後に同時に動く運動で切断能率がよくなると説明されています。
0=上下運動のみ。軟鋼板・ステンレス・プラスチックの切断、木材・合板のきれいな切断
Ⅰ=軟鋼板・アルミ・硬質木材の切断
Ⅱ=木材・合板の切断、アルミ・軟鋼板の高速切断
Ⅲ=木材・合板の高速切断
0からⅠ→Ⅱ→Ⅲの順に、前後の動きが大きくなります。
前後の動きで速くなるのは、刃が上がるときに歯先が材料へ食い込み、下がるときに逃げるので、一往復で削る量が増えるからです。そのぶん削り方は荒くなります。ボッシュの取扱説明書も、オービタルは切断速度を高められる半面、切断面が粗くなったりささくれが出やすくなると説明しています。
使い方のコツは、速さと仕上がりのどちらを優先するかで決めることです。下ごしらえの荒切りなら大きめ、見える部分の仕上げなら小さめと覚えておくと、迷いにくくなります。
合板をきれいに切りたいならオービタルは0か小から
化粧合板や家具の見える部分を切るなら、オービタルは0か小さい段階から始めるのが基本です。ボッシュの取扱説明書には「きれいな切断面を得るにはオービタル動作“小”を選択してください。」と書かれ、マキタJV0600でも木材・合板のきれいな切断はセット位置0とされています。
状況:棚の天板にする合板を、オービタルを大きい段階のまま切った。
原因:刃が前後に振れて一往復で削る量が増え、表面の繊維がむしり取られた。ボッシュの説明書も、オービタルは切断面が粗くなったりささくれが出やすくなると注意しています。
対策:見える面の切断はオービタルを0か小にし、仕上げ用の刃(マキタならB-10・B-11、毛羽立ち防止のBR-13など)を選ぶ。端材で試し切りしてから本番に入る。
ささくれが起きやすい理由をもう少し掘ると、ジグソーの刃は上へ引き上げるときに切るため、材料の上面側の繊維が持ち上げられやすいという構造があります。オービタルを大きくすると、この引き上げる力が強まります。逆目用のB-19のように、切る向きを変えた刃が用意されているのはこのためです。
なお、オービタルの段階の数や名前はメーカー・機種で違います。手元の取扱説明書のセット位置の表を見て、材料ごとの指定に合わせてください。
速度ダイヤルは材料ごとの目安から入り、一気に回さない
速度ダイヤルは、刃が1分間に往復する回数を変えるつまみです。マキタJV0600の取扱説明書では、ダイヤル表示1〜5のうち、木材は4〜5、軟鋼板は3〜5、ステンレスは3〜4、アルミは3〜5、プラスチックは1〜4が目安とされています。ボッシュGST90BE/Nはダイヤル1〜6で、1〜2が低、3〜4が中、5〜6が高ストローク数と説明されています。
速さを材料で変えるのは、速すぎると熱や刃の摩耗が増え、遅すぎると作業が進まないからです。マキタの取扱説明書は、高速では速く切れるがブレードの寿命が短くなり、低速では速く切れないが寿命は長くなると説明しています。プラスチックの目安が低めなのは、摩擦熱で材料が溶けて刃にまとわりつくのを避けるためと考えると理解しやすいでしょう。ボッシュの説明書には「最適なストローク数は、材料やジグソーブレードにより異なります。」ともあり、試し切りで決めるよう案内されています。
やりがちな失敗は、ダイヤルを1から5、5から1へ一気に回すことです。マキタの取扱説明書は、順番に回すよう注意しています。目安の数字から入り、端材で切れ具合と切り口を見て微調整するのがコツです。
ジグゾーの使い方の基本|固定・始動・送りの3段階で考える

材料をクランプで固定し、切る線の下を空けておく
切り始める前の準備でいちばん大事なのは、材料を動かないように固定することです。ボッシュの取扱説明書は「材料をしっかりと固定してから作業を行ってください。」と書き、マキタの取扱説明書も、クランプや万力で材料を固定するよう案内しています。手で保持するより安全で、両手でジグソーを扱えるからです。
固定が要る理由は、ジグソーの刃が上下に往復するたびに、材料を上下に揺さぶる力がかかるからです。押さえが弱いと材料がばたつき、刃が線から外れたり、材料と一緒に本体が跳ねたりします。とくに薄い板は振動を受けやすく、切る線の近くを押さえるほど安定します。
やりがちな失敗は、作業台の上に板を置いたまま切り進め、刃の先端で作業台まで切ってしまうことです。ジグソーの刃は材料の下側へ突き出して往復します。切る線を作業台の端から外に出す、角材を2本敷いて線の下に空間を作るなど、刃の通り道を先に確保しておきましょう。
もうひとつの準備がケガキ線です。鉛筆で線を引いておけば、マキタの取扱説明書にある、ケガキ線に合わせて切断するという手順どおりに進められます。
刃を材料から離してスイッチ、回転が上がってから当てる
始動のしかたには、キックバックを防ぐための決まりがあります。マキタの取扱説明書には「ジグソーブレードを材料に当てたままスイッチを入れないでください。」と書かれ、ブレードが材料に当たらない位置でスイッチを入れてから切断する手順になっています。ボッシュの説明書も、回転が十分に上がってから切断を始めるよう案内しています。
刃を当てたまま始動してはいけないのは、止まっている刃が動き出す瞬間、歯先が材料に引っかかって本体を押し返すからです。マキタの取扱説明書は、キックバックによって本機が浮き上がり、けがの原因になると注意しています。
状況:途中でスイッチを切り、刃を溝に入れたまま、もう一度スイッチを入れた。
原因:刃が材料に当たった状態で動き出したため、歯先が引っかかってキックバックが起き、本体が浮き上がった。
対策:再開するときも刃を溝から少し引いて材料から離し、ベースを密着させてからスイッチを入れる。回転が上がってから刃を線に当てる。
コツは、ベースの前側を材料に乗せ、刃先と材料の間にわずかなすき間がある状態を作ってからスイッチを入れることです。この姿勢が取れていれば、始動の反動はほとんど本体に伝わりません。
ベースを密着させたまま、押しすぎずに送る
切り進めるときは、ベース(フットプレート)を材料にぴったり押しつけたまま、刃の進みに合わせて前へ送ります。ボッシュの取扱説明書は、切断作業中はフットプレートの前面が材料に接するようにしっかり押しつけるよう書いています。マキタの取扱説明書も、ベースを材料から浮かして使わないよう注意しています。
ベースを密着させる理由は、刃の上下運動の反動を本体の重さとベースで受け止めるためです。ベースが浮くと、刃が上がるたびに本体が持ち上げられて振動が大きくなり、刃が材料に対して傾いて切断面が斜めになります。キックバックの原因にもなります。
実は、ジグソーは強く押すほど速く切れる道具ではありません。ボッシュの取扱説明書は、動きが鈍くならない程度に前へ進め、無理に力を入れても速く切れないと説明しています。刃が削れる量は一往復ごとに決まっていて、それ以上の力で押しても、刃がたわむか、モーターに負担がかかるだけだからです。音が低く重くなったら押しすぎのサインと考え、送りを緩めてください。
押す力は前へではなく下へ。ベースを材料に押しつける力をかけ、前へは刃が進むぶんだけついていく感覚を持つと、線に沿ってきれいに切れます。
途中で止めるときは刃を抜いてからスイッチを切る
切断を途中で止めたいときにも手順があります。ボッシュの取扱説明書は、本体を後方へ移動して材料からブレードを引き抜いてからスイッチを切るよう案内しています。ブレードを押しつけて急停止させたり、手で押さえて止めたりしないことも書かれています。
刃を抜いてから止めるのは、溝の中で刃が止まると、次に始動するときに刃が材料に当たった状態になるからです。前の項で説明したキックバックの条件がそのまま揃ってしまいます。また、刃を材料に押しつけたまま止めると、刃に曲げる力がかかり、折れや曲がりの原因になります。
やりがちな失敗は、切り終わりで材料が落ちる瞬間にスイッチを離し、まだ動いている刃を床や作業台に当ててしまうことです。切り落とす部分は手で受けようとせず、落ちても困らない位置に置くか、事前に支えを用意しておきましょう。マキタの取扱説明書は、本機を作動させたまま床などに放置しないよう注意しています。
止めたあとは刃の動きが完全に止まったのを目で確かめてから本体を置く。この習慣があるだけで、作業台の傷や刃の破損がぐっと減ります。
曲線・直線・切り抜き・斜め切りはどう切り分ける?
曲線はゆっくり、きつい曲線ほど刃と送りを細かく
曲線を切るときの基本は、送りを遅くすることです。マキタの取扱説明書には「曲線切断するときは、本機をゆっくり進めてください。」と書かれています。
ゆっくり進める理由は、刃の向きを変えるとき、刃の側面に横向きの力がかかるからです。速く送りながら曲がろうとすると、刃が溝の中でたわみ、切断面の上と下で線がずれてしまいます。厚い材料ほど、刃の下端が遅れてついてくるので、ずれが大きく出ます。
やりがちな失敗は、線に合わせようとして本体だけを手首でくいっとひねることです。急激なひねりはマキタの取扱説明書が避けるよう注意している操作で、刃が折れる原因にもなります。曲がるときは、本体の後ろ側を少しずつ回し込むように、ベースの向きを変えていくのがコツです。
小さな曲線が続く形なら、曲線切断用の薄い刃に替え、オービタルは小さめに。曲がり切れない角は、外側から切り込みを入れて少しずつ落とすと、刃に無理がかかりません。
真っすぐ切りたいなら定規、円は円定規ピン
ジグソーで直線を切るなら、フリーハンドではなく定規を使うのが確実です。マキタJV0600の取扱説明書では、160mm以下の一定幅の切断や平行切断には定規を、半径170mm以下の円や円弧には円定規ピンを使う方法が案内されています。定規の幅や円の大きさの上限は機種や付属品によって異なります。
定規が要るのは、ジグソーの刃が細く、少しの手ぶれでも進む方向が変わってしまうからです。丸ノコのように刃の面が直進を支えてくれないぶん、外側でまっすぐを作ってやる必要があります。付属の定規で届かない幅なら、まっすぐな角材を材料にクランプで留め、ベースの側面を沿わせて切る方法もあります。
やりがちな失敗は、ケガキ線にベースの端を合わせてしまうことです。ベースの端と刃の位置はずれているので、定規を置くときは刃から定規までの距離を測って位置を決めます。端材で一度切って、切り口と線の位置を確かめると確実です。
板の真ん中を抜くなら、先に12mm以上の穴を
板の内側に窓をあけるような切り抜きは、先に下穴をあけてから刃を入れるのが基本です。マキタJV0600の取扱説明書では、あらかじめドリルなどで直径12mm以上の穴をあけ、その穴にブレードを入れて切断する方法が案内されています。この数値はJV0600のもので、機種によって異なります。
下穴が要るのは、刃を材料の上から突き刺して始めると、刃が材料に当たった状態からの始動になり、キックバックの条件が揃ってしまうからです。下穴があれば、刃を穴の中に浮かせた状態でスイッチを入れ、回転が上がってから穴の縁に当てられます。ボッシュの説明書が挙げるポケット切断(中抜き)は、木材などの軟らかい材料向けとされています。
やりがちな失敗は、下穴が小さすぎて刃が穴の縁に触れたまま始動してしまうことです。刃とベースの位置関係で必要な穴の大きさが決まるので、取扱説明書の数値を確かめてください。四角い窓なら、四隅に下穴をあけておくと、角で無理に曲がらずに済みます。
下穴あけにはドリルを使います。切り抜く部分の内側に穴を寄せておけば、穴の跡が仕上がりに残りません。
傾斜切断はプラグを抜いてからベースを傾ける
板の縁を斜めに切る傾斜切断は、ベースを傾けて行います。マキタJV0600の取扱説明書では左右0〜45°、ボッシュGST90BE/Nでは左右に最大45°まで傾けられると記載されています。ベースを傾ける作業は、必ず電源プラグを抜いてから行うよう案内されています。
プラグを抜くのは、ベースの固定を緩めるときに刃の近くへ手を入れるからです。角度を合わせている最中にスイッチへ触れると、刃が手元で動き出します。刃の交換と同じ考え方です。
やりがちな失敗は、角度を合わせたあとの固定が甘く、切っている途中でベースの角度が戻ってしまうことです。固定したら手で軽く揺すって動かないか確かめましょう。傾斜切断では刃が材料に対して斜めに入るぶん、切る長さが増えて刃に横の力もかかりやすいので、送りはまっすぐ切るときより控えめにします。
ボッシュ機では、傾斜切断のときにバリ止めガイドや透明防じんカバーが使えないとされています。切り口の欠けや粉じんが出やすくなる前提で、保護めがねや防じんマスクをいつも以上に意識してください。
けがと故障を防ぐには?取扱説明書が繰り返す注意とお手入れ
保護めがね・防じんマスク・服装は切る前に揃える
ジグソーを使う前に揃えたいのが保護具です。マキタの取扱説明書は、作業時は保護めがねを使い、粉じんの多い作業では防じんマスクを併用するよう案内しています。騒音の大きい作業では防音用保護具を使い、集じん機が接続できるものは接続することも書かれています。
保護めがねが要るのは、刃が上下に往復しながら切り屑を飛ばすからです。ボッシュ機のブロアのように切り粉を吹き飛ばす機能があると、線は見やすくなりますが、そのぶん屑は周りへ散ります。服装では、だぶだぶの衣服や装身具を身に着けないよう注意されています。袖口やひもが刃や本体に巻き込まれるおそれがあるからです。
やりがちな失敗は、少し切るだけだからと保護めがねを省くことです。切り屑は一瞬で飛ぶので、作業時間の長さは関係ありません。マキタの取扱説明書は、使用中は刃や切り屑に手や顔を近づけないよう注意しています。
集合住宅や住宅街では音にも配慮が要ります。取扱説明書では、騒音には法令や各都道府県などの条例の規制があり、近隣に迷惑をかけないよう案内されています。作業する時間帯や場所を選ぶのも、安全の一部です。
切る前に埋設物を確かめ、コードを刃から離す
壁や床、天板の裏など、見えない側がある材料に刃を入れるときは、裏に何があるかを先に確かめます。マキタの取扱説明書は、刃が電線管・水道管・ガス管などの埋設物に触れると感電やガス漏れのおそれがあるとして、使用前に埋設物の有無を確認するよう警告しています。ボッシュの説明書も同じ注意を挙げています。
ジグソーの刃は材料の裏側へ突き出して往復します。表から見えない場所を切るときは、裏に配線・配管がないかを先に確かめるのが取扱説明書の警告です。電気・ガス・水道の配線や配管に関わる工事は資格が要る作業なので、DIYの範囲で触れないようにしましょう。電源コードは機体の後方に離し(ボッシュの説明書の案内)、刃でコードを切らないよう取り回しを決めてから始めます。
壁の裏の様子を調べる道具については、こちらの記事が参考になります。

電源まわりのやりがちな失敗は、プラグを差すときに本体を上向きに持ち、スイッチに指がかかっていて刃が動き出すことです。ボッシュの説明書は、差し込むときは本体を下向き(刃が下向き)にし、スイッチがONで保持されていないことを確かめるよう案内しています。マキタの取扱説明書も、使用電源は銘板の電圧に合わせること、落としたりぶつけたりしたら破損・亀裂・変形を点検すること、異常音がしたら直ちにスイッチを切って中止することを挙げています。
使い終わったら拭く・ローラに油・刃を点検する
ジグソーのお手入れは、拭く・油をさす・刃を見るの3つが中心です。マキタJV0600の取扱説明書は、点検・整備の際は必ずスイッチを切ってプラグを抜き、乾いた布か石けん水を付けた布で拭くよう案内しています。刃の背を支えるローラ部には、ときどき潤滑油をさすよう書かれています。
ローラに油が要るのは、刃が往復するたびに背中がローラと擦れるからです。動きが渋くなると刃がぶれやすくなり、切断面の荒れにつながります。一方、本体を拭くときにガソリン・ベンジン・シンナー・アルコールなどを使うのは避けるよう注意されています。変色・変形・ひび割れの原因になるためです。
やりがちな失敗は、切れが落ちたのを本体の不調だと思い込むことです。多くの場合、先に疑うべきは刃です。ボッシュの説明書は、使用前に刃が曲がっていないか、歯先の欠けや摩耗がないかを点検するよう案内しています。手ノコの替刃と同じく、ジグソーの刃も消耗品と考えるのが現実的です。

本体から異常音がする、動きがおかしいといった場合は、自分で分解しないこと。マキタの取扱説明書は、修理は自分でせず、販売店または同社の営業所へ依頼するよう書いています。取扱説明書の入手や修理の受付は、各メーカーの公式ページで確認してください。
まとめ:最初の1枚は端材で設定を決めてから
ジグソーは、しくみを知っていれば怖い道具ではありません。キックバックは刃が材料に当たった状態で動き出すと起きやすく、切り口のささくれはオービタルや刃の選び方で変わる。原因がわかれば、防ぎ方も取扱説明書に書いてあります。最初の一歩として、本番で使う材料と同じ端材を用意し、手元の取扱説明書の目安どおりに刃・オービタル・速度ダイヤルを合わせて、10cmほどの直線と小さな曲線を試し切りしてみてください。切り口を見て設定を一段ずつ変えるうちに、自分の材料に合う組み合わせが見えてきます。
※仕様や手順はメーカー・機種によって異なります。最新情報は各メーカーの公式サイトと取扱説明書でご確認ください。

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