マルチツールの替刃を買おうとして、売り場で手が止まったことはないでしょうか。STARLOCK、STARLOCK PLUS、STARLOCK MAX、OISと似た名前が並び、さらに木材用・金属用・タイル用と刃先も分かれています。替刃は見た目が似ているので、なんとなく選ぶと本体に付かなかったり、付いても材料に刃が立たなかったりという失敗が起きやすい消耗品です。
先に結論をお伝えすると、替刃選びは2段階で考えると迷いません。まず手持ちの本体がどの取付規格に対応しているかを、取扱説明書やメーカーの別売部品一覧で確かめます。次に、切る材料に合わせて刃先の材質と刃の形を選びます。この順番を逆にすると、どれだけ材料に合った刃でも本体に付けられません。
この記事では、マキタ・HiKOKI・ボッシュのメーカー公式のリリース・カタログ・取扱説明書をもとに、STARLOCK系3規格の互換の考え方、被削材ごとの刃先の違い、刃の形と切り方の関係、ブレード交換の手順と取扱説明書の注意事項までを、仕組みから順に解説していきます。
・替刃が本体に付くかどうかは、本体側が対応する取付規格で決まること
・STARLOCK・STARLOCK PLUS・STARLOCK MAXの互換を、メーカー公式資料でどう読むか
・バイメタル・超硬・ダイヤモンドなど刃先の材質と、木材・金属・タイルの組み合わせ
・ブレード交換の手順と、取扱説明書に書かれた安全上の注意
マルチツールの替刃は、何を切るかより先に何が付くかで決まる

先端を取り替えるだけで、切る・削る・はがすが切り替わる道具
マルチツールは、本体よりも先端に付ける替刃で仕事が決まる工具です。マキタの新製品リリースでも、マキタの公式リリース(PDF)で「マルチツールは、先端の工具を取り換えることで切断、研削、剥離など様々な作業に対応する工具で」と説明されています。
仕組みとしては、刃が回転するのではなく、左右に小さく往復する振動で材料を削り取ります。たとえばマキタ TM52D の公式仕様では、振動角度は左右1.8°(計3.6°)、振動数は10,000〜20,000min-1と案内されています。回転しないので、材料の途中に刃を差し込んだり、壁際ぎりぎりを切ったりといった、丸ノコやジグソーでは手が届きにくい作業に向きます。
逆にいえば、替刃を替えないまま別の作業に使い回すと、本体の性能を引き出せません。木材用の刃で釘の頭を切ろうとして刃先を傷める、というのは家のDIYでやりがちな失敗です。マルチツールを買うときは、本体と同じくらい、どの替刃を何枚そろえるかを考えておくと作業の幅が決まります。
替刃を選ぶ前に、本体側の取付規格を見る理由
替刃選びで最初に確認したいのは、刃の性能ではなく取付部の規格です。マルチツールの替刃は、本体の先端(フランジやツールシャフト)に差し込む穴の形が規格ごとに決まっていて、本体が受け付けない形の刃はそもそも固定できません。
メーカー各社の資料を見ると、本体ごとに対応ブレードの規格がはっきり書かれています。マキタは TM52D について、公式リリースで「18V リチウムイオンバッテリを電源とし、STARLOCK MAX の先端工具に対応することで、」と案内しています。つまり、取付規格は本体の仕様の一部として扱われているわけです。
やりがちなのは、売り場やネット通販で刃の用途(木材用・金属用)だけを見て買ってしまうパターンです。用途が合っていても取付規格が違えば付きません。確認する場所は、取扱説明書の仕様欄と別売部品の一覧、またはメーカー公式の製品ページです。本体の型番を控えてから替刃を探すのが、遠回りに見えて確実な手順です。
公式資料に出てくるSTARLOCK系とOIS系という2つの呼び名
マルチツールの替刃の規格名として、メーカー資料に出てくるのは大きくSTARLOCK系とOIS系です。HiKOKIの別売部品一覧では、HiKOKIの別売部品一覧(PDF)の中で「■ ブレード(STARLOCK)」と「■ ブレード(OIS)」の2つの表に分けて掲載されています。
同じメーカーの同じ工具ジャンルでも、刃の一覧が規格ごとに分かれているということは、規格をまたいで自由に付け替えられるわけではない、ということを示しています。HiKOKIのSTARLOCK表の対象機種には CV 14DBL・CV 18DBL・CV 12DA・CV 350V が挙げられています。
やりがちな失敗は、同じメーカーの替刃なら手持ちの本体に全部付くだろうと考えることです。実際には、同じ一覧の中でも機種ごとに使える表が違います。コツは、一覧の表題(STARLOCKかOISか)と、表に書かれた対象機種の両方を見ることです。自分の本体の型番が対象機種に入っているかで判断すると、取り違えを防げます。
STARLOCK/STARLOCK PLUS/STARLOCK MAX:マルチツールの替刃の取付規格の名前。各メーカーの本体が、どの規格のブレードを使えるかを仕様として公表しています。
OIS:HiKOKIの別売部品一覧で、STARLOCKとは別の表に分けて掲載されているブレードの規格名。
振動数(min-1):刃が1分間に往復する回数。マキタ TM52D の公式仕様では10,000〜20,000min-1と表記されています。
STARLOCK・PLUS・MAXの3種は、どの組み合わせなら付くのか
名前が似ていても、取付部の規格はそれぞれ別物
STARLOCK、STARLOCK PLUS、STARLOCK MAXは、名前に共通部分がありますが、メーカー資料ではそれぞれ別の規格として書き分けられています。HiKOKIの CV 36DMA の発表でも、HiKOKIの公式リリースで「STARLOCKブレードに加え、STARLOCK PLUS規格、 STARLOCK MAX規格のブレードが使用可能」と、規格ごとに名前を挙げて対応を説明しています。
ここから読み取れるのは、本体がどの規格まで受け付けるかは機種ごとに決まっていて、規格名をひとくくりにはできないということです。刃のパッケージにSTARLOCKの文字が入っていれば何でも付く、とは考えないほうが安全です。
家のDIYでありがちなのは、刃の外箱のロゴだけ見て、PLUSやMAXの表記を見落とすケースです。コツは、刃のパッケージの規格表記と、本体の取扱説明書や公式製品ページに書かれた対応規格を、文字どおり照らし合わせることです。似ている名前ほど、一字一句で確認するクセをつけておくと失敗が減ります。
STARLOCK MAX対応機は、3種とも使えると公式に書かれている
現在メーカー公式で確認できる範囲では、STARLOCK MAXに対応した本体は、STARLOCK・STARLOCK PLUSのブレードも使えると案内されています。ボッシュは GMF 18V-40H について、ボッシュの公式リリースで「【スターロックマックス】に加え、【スターロック】、【スターロックプラス】のブレードの使用が可能」と書いています。
マキタの40Vmax機 TM001G についても、マキタの公式リリース(PDF)で「STARLOCK MAX の先端工具まで取付可能としており」と表現されています。まで、という言い方から、MAXを上限として受け付ける設計であることが読み取れます。
ただし、逆方向、つまりSTARLOCKだけに対応する本体にPLUSやMAXの刃が付くかどうかは、今回確認した公式資料には書かれていません。そのため当サイトでは、付くとも付かないとも断定しません。コツは、MAX対応機なら幅広く選べる、STARLOCKのみの機種はその規格の刃を選ぶ、と覚えておき、迷ったら機種ごとの別売部品一覧を確認することです。
| 機種 | 公式資料の対応ブレード | 交換方式(公式資料の記載) | 出典 |
|---|---|---|---|
| ボッシュ GMF 18V-40H | STARLOCK MAX・STARLOCK・STARLOCK PLUS | スナップインシステム(ワンタッチで取付・取外し) | ボッシュ公式リリース |
| HiKOKI CV 36DMA | STARLOCK・STARLOCK PLUS・STARLOCK MAX | リリースでは記載を確認できず(取扱説明書で確認) | HiKOKI公式リリース |
| マキタ TM52D | STARLOCK MAXの先端工具に対応 | 工具レスでのブレード交換 | マキタ公式リリース |
| マキタ TM001G | STARLOCK MAXの先端工具まで取付可能 | ホルダボルトを差し込みレバーを閉じて固定 | マキタ公式リリース |
| HiKOKI CV 14DBL・CV 18DBL・CV 12DA・CV 350V | 別売部品一覧のSTARLOCK表に掲載 | 一覧では記載を確認できず(取扱説明書で確認) | HiKOKI別売部品一覧 |
他社製の刃は付くのか、ボッシュのカタログの書き方を読む
STARLOCK系の規格は、特定の1社の本体だけで使うものではありません。ボッシュのカタログでは、STARLOCK PLUSとSTARLOCK MAXの刃について、ボッシュの公式カタログで「ボッシュ、マキタ、京セラ等のスターロックプラスとスターロックマックスシステムで使用可能」と案内されています。
この書き方のポイントは、メーカー名ではなくシステム(規格)で使用可能としている点です。つまり、ボッシュの刃がマキタ機に付くかどうかは、マキタ機がその規格に対応しているかで決まる、という構造です。メーカーが違っても、規格が一致していれば付く可能性があり、規格が違えば同じメーカーでも付きません。
注意したいのは、このカタログの記載はあくまでボッシュの刃についての案内だということです。他社の刃や他社機の組み合わせまで、この一文で保証されるわけではありません。コツは、刃のメーカーの適合案内と、本体のメーカーの対応規格の両方を見ることです。どちらか一方の表だけで判断しないようにしましょう。
実は、同じメーカーの刃でも付かないことがある
意外と知られていないのが、同じメーカーの純正替刃でも、自分の本体に付かないことがあるという点です。先ほどのHiKOKIの別売部品一覧が、STARLOCKとOISの2表に分かれていたのがその証拠です。メーカー名で選べば安心、という考え方は、マルチツールの替刃では通用しません。
理由は、メーカー各社が時期や機種によって異なる取付規格の本体を出してきたためです。HiKOKIは CV 36DMA について、同社初のスターロックマックスブレード対応コードレスマルチツールと位置づけています。同じブランドの中でも、対応規格の世代が機種によって違うことがわかります。
ここで起きやすいのが、家にある古い本体と新しく買った本体で替刃を共用しようとして、片方に付かないという失敗です。原因は、型番ではなくブランド名で刃を選んだことにあります。対策は、本体ごとに対応規格をメモしておき、替刃を買うときはそのメモと刃の規格表記を照合することです。
原因は、刃の用途やブランド名だけを見て、取付規格(STARLOCK・PLUS・MAX・OIS)を確認しなかったことです。対策は、本体の型番から取扱説明書や別売部品一覧で対応規格を調べ、刃のパッケージの規格表記と一字一句で照らし合わせることです。
木材・金属・タイルで変わるマルチツールの替刃の刃先

釘やビスが混じる木材には、刃先バイメタル
解体や補修で古い木材を切るときは、刃先バイメタルの替刃が選択肢になります。HiKOKIの別売部品一覧の用途欄では、刃先バイメタルのカットソーは釘・ビス・銅管を含む切断に向くと案内されています。
バイメタルは、硬い刃先と粘りのある胴の部分を組み合わせた構造の刃です。木材だけを切る刃に比べて刃先が硬いので、材料の中に釘が隠れていても刃がこぼれにくくなります。たとえば一覧では、MSM32PB(バイメタル)が釘・銅管の面一切断、MSW32PBCJ(刃先バイメタル)が堅い木材のポケット切断用として掲載されています。
家のDIYでありがちなのが、床材や巾木を外すときに木工専用刃で切り進め、中の釘に当たって刃先を傷めるパターンです。古材や既存の造作を切るときは、釘が入っている前提で刃先バイメタルを選ぶのが無難です。品番ごとの用途は一覧に書かれているので、購入前に自分の作業に合う行を探してみてください。
タイル目地や硬い素材には、超硬やダイヤモンドの刃先
タイルの目地を削る、FRPやALCに筋を付けるといった作業には、刃先が超硬やダイヤモンドの替刃を使います。HiKOKIの一覧では、MSA85SH(刃先超硬)の用途として「陶器質タイルの目地」の切断やALCの筋付けが挙げられています(HiKOKI別売部品一覧)。
理由は、タイル目地やALCのような鉱物系の材料は、鋼の刃先では削れる前に刃のほうが摩耗してしまうためです。超硬やダイヤモンドは鋼より硬い材料なので、こうした素材にも刃が立ちます。また一覧では、超硬のカットソーがステンレスや釘・ビスまで含む金属全般に向く用途で掲載されています。
注意したいのは、刃先の材料が硬いほど替刃の価格も上がる傾向がある点です。一覧の標準価格では、刃先超硬の MSA85SH が6,000円、刃先ダイヤモンドの MSA85SD が7,500円となっています(いずれも変動あり)。使う予定のない硬い素材向けの刃を先に買うより、作業が決まってから選ぶほうが無駄がありません。

木工専用刃は、金属に当てないのが長持ちのコツ
木材だけを切る作業なら、木工専用の替刃が向いています。HiKOKIの一覧では、MSW65PC が木材のきわ切りに使う木工専用の刃として掲載されています。
木工専用刃は、木の繊維を効率よく断ち切るための刃先形状になっている代わりに、金属を切ることは想定されていません。釘やビスに当たると刃先が欠けたり丸くなったりして、その後の木材の切れ味まで落ちてしまいます。用途欄に木工専用と書かれているのは、この使い分けを前提にしているからです。
やりがちなのは、新品の木材で棚板を切るつもりが、仮止めしたビスの位置を忘れて刃を当ててしまうケースです。対策は、切る線の上に金属がないかを事前に確認すること、金属が混じる可能性がある材料にはバイメタルの刃を選ぶことです。木工専用刃と金属も切れる刃を1枚ずつ持っておくと、場面ごとに使い分けられます。
| 品番 | 刃先 | 一覧に書かれた用途 | 一覧の価格(変動あり) |
|---|---|---|---|
| MSW65PC | 木工専用 | 木材のきわ切り | 2,900円程度 |
| MSW32PBCJ | バイメタル | 堅い木材のポケット切断 | 3,600円程度 |
| MSM32PB | バイメタル | 釘・銅管の面一切断 | 3,200円程度 |
| MSA85SH | 超硬 | 陶器質タイル目地の切断・ALC筋付け | 6,000円程度 |
| MSA85SD | ダイヤモンド | 一覧の用途欄で確認 | 7,500円程度 |
※価格はHiKOKI公式の別売部品一覧に掲載された標準価格です。販売店では異なる価格で売られることがあります。
ナイフ刃とサンディングパッドで、切る以外の作業もこなせる
マルチツールの替刃は、のこぎり状の刃だけではありません。HiKOKIの一覧では、ナイフ刃(MSU28PK/MSU32PKX)の用途として、発泡スチロール・断熱材・コーキングシール・カーペットなどが挙げられています。
のこぎり状の刃は材料を細かく削り取りながら進むため、柔らかい素材では切り口がむしれたり、くずが多く出たりします。ナイフ刃は刃で押し切る形なので、柔らかく弾力のある素材に向くという理屈です。また、サンディングパッドにサンドペーパーを付けると研磨にも使え、一覧には MSU93D(STARLOCK)専用の集じんアダプタも掲載されています。
やりがちなのは、古いコーキングをのこぎり状の刃ではがそうとして、下地まで傷つけてしまうことです。対策は、素材の硬さに合わせて刃の種類を選ぶこと。柔らかい素材はナイフ刃、角や狭い場所の研磨はサンディングパッドというように、用途欄を見ながら選ぶと、1台で作業の幅が広がります。
刃の形を変えると、どんな切り方ができるのか
材料の途中から切り込むポケット切断
マルチツールが得意とする切り方のひとつが、材料の端からではなく途中から刃を差し込むポケット切断です。HiKOKIの一覧でも、MSW32PBCJ の用途に「堅い木材のポケット切断」と書かれています(HiKOKI別売部品一覧)。
回転刃の工具は、刃が材料に入る瞬間に材料を押し返す力が出やすく、途中から切り込む作業が難しくなります。マルチツールは刃先が小さな角度で往復振動するだけなので、刃先を当てた位置から少しずつ沈めていけます。床や壁の一部に四角い開口を作る、といった作業で差が出ます。
やりがちな失敗は、刃を一気に押し込んで刃先がぶれ、切り口が斜めになることです。ポケット切断では、押しつける力を強くするより、刃の振動に任せて少しずつ沈めるほうが、刃先の位置が安定しやすくなります。切る線を材料にしっかり書き、刃の向きを線に合わせてから始めるのがコツです。
湾曲した刃は、くい付きがよく位置決めしやすい
同じカットソーでも、刃先が直線のものと湾曲したものがあります。HiKOKIの一覧では、湾曲形状のカットソー(MSW32PC系)について、くい付きが良く位置決めし易いと案内されています。
刃先が湾曲していると、材料に当てたときに刃の中央付近から接触が始まり、刃先全体が一度に当たる直線刃に比べて、刃が横に滑りにくくなります。切り始めの位置が決まりやすいのはこのためです。ポケット切断のように、狙った線から刃を入れたい作業で効いてくる形状です。
一方で、刃先の形が変われば、同じ刃幅でも一度に切れる深さや切り口の見え方が変わります。迷ったときは、まず直線刃か湾曲刃かを一覧の形状図で確認し、切り始めの位置決めを重視するなら湾曲形状を選ぶ、と考えると選びやすくなります。どちらも、用途欄に書かれた被削材と組み合わせて判断してください。
ポケット切断(プランジカット):材料の端からではなく、面の途中に刃を差し込んで切り始める切り方。マルチツールの替刃の用途欄によく出てきます。
面一切断・きわ切り:壁や床から飛び出した釘・管・木材を、面と同じ高さで切りそろえる切り方。
ツールシャフト:HiKOKIの機種で、ブレードを本体に固定するための軸部品の名前。
面一切断・きわ切りは、マルチツールならではの持ち味
壁から飛び出した釘や、床から出た銅管を、面ぎりぎりで切りそろえる作業は、マルチツールの替刃が力を発揮する場面です。HiKOKIの一覧では、MSM32PB の用途が釘・銅管の面一切断、MSW65PC の用途が木材のきわ切りとされています。
丸ノコやジグソーは刃の周りに本体のベースがあるため、面に沿わせて切るとベースの厚みぶんだけ材料が残ります。マルチツールは刃を面に寝かせて当てられるので、切り口を面にそろえやすいという構造上の違いがあります。
ただし、刃を面に寝かせると、刃が当たっている面そのものも傷つけやすくなります。仕上げ面を残したいときは、当て紙をする、刃を面から少し浮かせて切ったあと仕上げる、といった工夫が必要です。長い直線や曲線を切る作業は、ジグソーなど別の工具のほうが向く場面もあるので、作業ごとに道具を分けて考えるとよいでしょう。

ツールシャフトが出っ張るときは、低頭タイプに替える
刃を面に寝かせて切るとき、刃を固定している部品が出っ張って邪魔になることがあります。HiKOKIの一覧には、「※● 印のブレードをご使用の際、ツールシャフトが出張り、作業に支障がある場合は、低頭タイプのツールシャフト」を使うよう案内があります(HiKOKI別売部品一覧)。なお、CV 12DA ではツールシャフトは出張らないと一覧に書かれています。
理由は、刃の取付穴まわりの形状によって、固定用の軸が刃の面より突き出る組み合わせがあるからです。突き出た部分が材料の面に当たると、刃を面にぴったり寝かせられず、きわ切りの仕上がりに影響します。
やりがちなのは、刃の問題だと思い込んで別の刃を買い足してしまうケースです。一覧に●印のある刃を使っていて面に当たる場合は、まず固定部品の側を疑ってみてください。低頭タイプのツールシャフトは別売部品として一覧に載っているので、機種と刃の組み合わせを確認してから選びましょう。
ブレード交換の手順と、30°ごとに変えられる取付角度

交換の前に、必ずバッテリを抜く
替刃の交換で最初にすることは、刃に触ることではなく電源を断つことです。マキタの取扱説明書では、マキタの取扱説明書(PDF)で「先端工具の取り付け・取りはずしの際は必ずバッテリを抜いてください。」と注意しています。
HiKOKIの CV18DA の取扱説明書でも、HiKOKIの取扱説明書(PDF)で「蓄電池を工具本体に装着したまま準備や点検、先端工具の交換などをする」ことを避けるよう書かれています。交換中にスイッチに手が触れると、刃が振動を始めてしまうためです。
家のDIYでは、作業の途中で刃を替えるとき、つい手早く済ませようとしてバッテリを付けたまま触ってしまいがちです。対策は、刃を替えると決めたら最初にバッテリを抜く、という順番を手に覚えさせること。抜いたバッテリは本体から離して置いておくと、うっかり差し戻すことも防げます。
マキタのレバー+ホルダーボルト方式の流れ
マキタの TM41D/TM51D の取扱説明書では、レバーを起こしてホルダーボルトを引き抜き、先端工具、ホルダーボルトの順にフランジへ差し込んでレバーを倒して固定する、という流れが示されています。TM52D は公式リリースで「工具レスでのブレード交換」とされ、六角レンチなどを使わずに刃を替えられる方式です。
この方式のポイントは、レバーでホルダーボルトを締め付けて刃を挟み込むことです。マキタの取扱説明書では「先端工具の表裏をまちがえないように注意してください。」と注意しています(マキタ取扱説明書)。刃の取付部には向きがあり、裏返すと正しく座りません。
ここで気をつけたいのは、取扱説明書の手順が機種ごとに書かれている点です。ここで紹介した流れはマキタ TM41D/TM51D のもので、ほかのメーカーや機種にそのまま当てはまるとは限りません。自分の本体の取扱説明書の図と見比べながら作業するのが確実です。
HiKOKIのツールシャフト方式と、ボッシュのスナップイン
同じ工具レスの交換でも、固定の仕組みはメーカーと機種で違います。HiKOKIの CV18DA の取扱説明書では、レバーを起こし、ツールシャフトを押しながら回して着脱する方式が図で示されています。
ボッシュの GMF 18V-40H は、公式リリースでスナップインシステムによりブレードをワンタッチで取付・取外しできると案内されています。マキタ TM001G の公式リリースでは、ホルダボルトを差し込み、レバーを閉じて固定する図が示されています。刃の規格が同じでも、本体側の固定方法はこれだけ違うということです。
やりがちなのは、以前使っていた別メーカーの本体の感覚で操作して、固定が不十分なまま使ってしまうケースです。マキタの取扱説明書は、固定について「確実でないとはずれたり、けがの原因になります。」と書いています(マキタ取扱説明書)。取付後は、刃を手で軽く動かしてがたつきがないかを確かめましょう。

30°ごとの向きを、作業に合わせて変える
マルチツールの刃は、本体に対して取り付ける向きを変えられます。マキタの取扱説明書では、先端工具の向きを30°ごとに設定できると案内されています。
向きを変えられる理由は、刃の取付穴が放射状の形になっていて、本体側の受けにいくつかの角度で噛み合うからです。狭い場所で本体を真っすぐ構えられないとき、刃の向きを変えれば、本体を持ちやすい角度にしたまま刃を材料に当てられます。
注意点は、向きを変えるたびに固定をやり直す必要があることです。ここで手順を省くと、固定不十分のまま使う原因になります。また、マキタの取扱説明書には「レバーを引き上げた状態で電源を入れないでください。」という注意もあります(マキタ取扱説明書)。角度を決めたらレバーを確実に戻し、それからバッテリを付けましょう。
原因は、刃の取付部に表裏があることを知らずに差し込み、レバーを倒した感触だけで固定できたと判断したことです。対策は、取扱説明書の図で刃の向きを確認し、取付後に刃を手で動かしてがたつきがないか確かめること。レバーを引き上げたまま電源を入れないことも、取扱説明書で注意されています。
替刃はいつ替える?切れ味と安全の見極め方
切れ味が落ちた刃は、作業にも安全にも響く
替刃の交換時期の目安として、メーカーの取扱説明書が求めているのは刃の状態です。マキタの取扱説明書では「先端工具は、鋭利できれいな状態を保ってください。」と書かれています(マキタ取扱説明書)。
切れ味が落ちた刃は、材料を削り取る量が減るので、同じ作業でも押しつける力を強くしたくなります。そうすると刃先がぶれて切り口が乱れ、本体を保持する手にも負担がかかります。切れない刃を無理に使い続けることは、作業の質と安全の両面でマイナスです。
今回確認したメーカー資料の範囲では、何回使ったら交換、といった数値の目安は示されていませんでした。そのため当サイトでは回数で区切らず、切り進みが遅くなった、焦げやすくなった、刃先が丸く光って見える、といった変化を交換のサインとしてとらえることをおすすめします。刃の状態を見ることが、取扱説明書の考え方に沿った判断です。
欠けや変形のある刃は、使わずに交換する
刃先が欠けている、刃が曲がっているといった損傷のある刃は、切れ味以前の問題です。HiKOKIの CV18DA の取扱説明書では「損傷した刃物類を使用すると、けがの原因になります。」と注意しています(HiKOKI取扱説明書)。
マルチツールの刃は高い振動数で往復しているため、損傷した部分には繰り返し力がかかります。欠けた刃先が材料に引っかかると、本体が急に振られることもあります。曲がった刃は取付部に正しく座らず、固定不十分の原因にもなります。
やりがちなのは、まだ切れるからと欠けた刃を使い続けることです。対策は、作業前に刃の両面と取付穴のまわりを目で確認する習慣をつけることです。釘に当てた直後や、硬い素材を切った後は、特に刃先の状態を見ておきましょう。損傷を見つけたら、迷わず新しい刃に替えるのが取扱説明書の考え方です。
替刃は回数ではなく状態で替えるのが、取扱説明書の考え方に沿った判断です。切れ味の低下・欠け・曲がり・取付穴まわりの傷を作業前に確認し、作業直後は刃が熱いので冷めてから触る。この3つを習慣にすると、刃も本体も長く使えます。
作業直後の刃は熱い、交換は冷めてから
切断や研磨のあと、すぐに刃を替えようとするのは避けたい行動です。マキタの取扱説明書では「作業直後の先端工具や切り粉などは、高温になっています」と注意しています(マキタ取扱説明書)。
刃が熱くなるのは、振動しながら材料をこすり削る仕組みのためです。特に金属やタイル目地のような硬い素材を切ったあとや、長い時間連続で使ったあとは、刃や切り粉に熱がたまりやすくなります。
ありがちなのは、次の作業に早く移りたくて、素手で刃を外そうとしてしまうことです。対策は、バッテリを抜いたら刃が冷めるまで待つ時間を作業計画に入れておくことです。取扱説明書では、作業時の手袋について巻き込まれるものを避けるよう注意も示されているので、保護具の選び方も取扱説明書の範囲で確認しておきましょう。
別売部品は生産終了もある、品番を控えておく
替刃は消耗品ですが、いつまでも同じ品番が手に入るとは限りません。HiKOKIの CV18DA の取扱説明書には「別売部品は生産を打ち切る場合がありますので、ご了承ください。」と書かれています(HiKOKI取扱説明書)。
メーカーは本体の世代交代や規格の変更にあわせて、替刃のラインナップも入れ替えていきます。気に入っていた刃が買えなくなったとき、品番も用途も覚えていないと、代わりの刃を探すのに手間がかかります。
対策は、使っている刃の品番・規格・用途をメモしておくことです。替えの刃が見つからないときは、メーカーの最新の別売部品一覧で、同じ規格・同じ用途の行を探します。メーカー公式の一覧が最新の情報源なので、互換や後継について迷ったら、メーカーのお問い合わせ窓口で確認するのが確実です。
手持ちの本体別・これから買う人別の替刃の選び方
すでに本体を持っている人は、型番から規格をたどる
マルチツールをすでに持っているなら、替刃選びの出発点は本体の型番です。型番がわかれば、取扱説明書の仕様欄や、メーカー公式の製品ページ、別売部品一覧で対応する取付規格を確認できます。
なぜ型番からたどるかというと、これまで見てきたとおり、同じメーカーでも機種によって対応規格が違うからです。マキタ TM52D や TM001G のように公式リリースで対応規格を明記している機種もあれば、HiKOKIのように別売部品一覧の表題で規格を分けている例もあります。
ありがちな失敗は、本体のロゴだけを見て替刃のメーカーを決めてしまうことです。対策は、本体の銘板に書かれた型番をスマートフォンで撮っておき、替刃を買うたびにその型番で対応規格を確認すること。規格がわかったら、次は被削材の用途欄から刃を選びます。この順番を守れば、付かない刃を買う失敗はほぼ防げます。
これから本体を選ぶ人は、対応規格の幅を見る
これからマルチツールを買う人は、本体の性能だけでなく、どの規格の替刃が使えるかも比較のポイントになります。ボッシュの GMF 18V-40H、HiKOKIの CV 36DMA のように、STARLOCK MAXに加えてSTARLOCK・STARLOCK PLUSのブレードも使えると公式に案内されている機種があります。
対応規格の幅が広い本体なら、選べる替刃の種類も広がります。ボッシュのカタログが示すように、STARLOCK PLUSやSTARLOCK MAXの刃は、規格に対応した複数メーカーの本体で使えると案内されているため、刃を探す選択肢も増えます。
ただし、対応規格の幅だけで本体を決める必要はありません。家でどんな作業をするか、手持ちのバッテリと共用できるか、重さや持ちやすさはどうかも大切です。発売時の価格はメーカーのリリースに載っていますが、現在の価格は販売店で変わるため、購入前にメーカー公式と販売店で確認してください。
純正と互換品は、適合の根拠がどこにあるかで考える
替刃には本体メーカーの純正品のほか、別メーカーが出している刃もあります。どちらを選ぶかは、付くかどうかの根拠がどこに書かれているかで考えると整理しやすくなります。
本体メーカーの別売部品一覧に載っている刃なら、その機種での適合をメーカー自身が示しています。一方、別メーカーの刃は、刃のメーカーが示す適合規格と、本体の対応規格を自分で照合する必要があります。ボッシュのカタログのように規格名で使用可能と書かれていれば、照合の手がかりになります。
当サイトでは、個別の互換品の品質や適合を検証していないため、良し悪しは断定しません。注意したいのは、適合の根拠が書かれていない刃です。取付規格が明記されていない刃は、付いたとしても固定が確実かどうかを判断できません。根拠が確認できる刃を選ぶことが、取扱説明書の安全上の注意を守ることにもつながります。
作業がはっきりしてから、替刃を1枚ずつ足していく
替刃は種類が多いので、最初から何枚もそろえたくなりますが、作業が決まってから買い足すほうが無駄が出ません。これまで見てきたとおり、刃先の材質ごとに価格が違い、硬い素材向けの刃ほど高くなる傾向があるからです。
シーン別に考えると、棚づくりなど新しい木材を扱う人は木工専用の刃から、古い床や造作の補修をする人は刃先バイメタルから、浴室や洗面所のタイル目地を扱う人は超硬やダイヤモンドの刃から、と出発点が変わります。発泡スチロールや断熱材、古いコーキングをはがす作業が多い人は、ナイフ刃が候補に入ります。
やりがちなのは、セット品に入っていた刃を用途を確かめずに使い、材料に合わない刃で無理をすることです。セットで手に入れた刃も、品番を調べて用途欄を確認しておきましょう。必要な刃を1枚ずつ足していけば、自分の作業に合った替刃のそろえ方が自然とできあがります。
まとめ|替刃は規格→材料→形の順に選ぶ
最初の一歩は、手持ちの本体の銘板にある型番を控え、メーカー公式の取扱説明書や別売部品一覧で対応する取付規格を確かめることです。規格がわかれば、あとは用途欄から自分の作業に合う刃先と形を選ぶだけで、付かない刃や合わない刃を買う失敗を防げます。替刃の交換では、バッテリを抜くこと、刃の表裏と固定を確かめることを毎回の手順にしてください。
※価格・対応規格・別売部品のラインナップは変わることがあるため、最新情報はメーカー公式サイトでご確認ください。

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