レシプロソーを手に入れて、いざ替刃を買おうと売り場や通販のページを開くと、「6山」「14山」「10&14山」「バイメタル」「刃厚0.9mm」「全長200mm」と、似たような細長い刃がずらりと並んでいて手が止まってしまいます。木を切りたいだけなのに、どれを選べばいいのか分からない。そんな迷いはDIYを始めたばかりの人ほど起きやすいものです。
先に答えを言うと、レシプロソーの替刃は「何を切るか(素材)」→「どれくらいの厚みか(山数)」→「どんな作業か(刃厚と長さ)」の順に絞り込めば、ほとんど迷わずに選べます。メーカーの取扱説明書には、ブレードごとに「切れる材料」と「切断能力(何mmまで切れるか)」を並べた一覧表が載っていて、ここを読めるようになると替刃選びは一気にラクになります。
この記事では、マキタの充電式レシプロソーの取扱説明書とベッセルのセーバーソーブレードのカタログといったメーカー公式の資料をもとに、山数・刃厚・長さ・材質がそれぞれ何を変えているのかを仕組みから解説します。あわせて、替刃が折れる・すぐ切れなくなるといった、家のDIYでやりがちな失敗の原因と対策も整理しました。
・替刃を「素材→山数→刃厚と長さ」の順に選ぶ理由
・6山・14山・18山・24山で切れる厚みが変わる仕組み
・刃厚0.9mmと1.3mm、全長150mm〜300mmの使い分け
・替刃が折れる・すぐ切れなくなる原因と、取扱説明書が案内する対策
レシプロソー 替刃は「何を切るか」から選ぶ|取扱説明書の一覧表が答えを持っている

木用・金属用・解体用に分かれているのは、切る相手で刃の条件が逆になるから
レシプロソーの替刃は、まず「木材用」「金属(鉄・ステンレス)用」「釘入り木材や設備の解体用」といった用途で分かれています。理由は単純で、素材によって刃に求められる条件がほぼ正反対になるからです。
木材は柔らかく、切りくず(おがくず)がたくさん出ます。そのため、歯と歯の間隔を広くとって、切りくずを素早く外へ吐き出せる刃が向いています。一方、鉄やステンレスは硬く、切りくずは細かい代わりに、歯1枚1枚にかかる負担が大きくなります。こちらは歯を細かく並べて、たくさんの歯で少しずつ削るほうが刃が長持ちします。
家のDIYでやりがちなのが、「手元にあった刃が金属用だったから、そのまま2×4材を切った」というケースです。金属用の細かい歯で厚い木材を切ると、歯のすき間がおがくずで詰まって進みが遅くなり、摩擦熱で刃が焼けやすくなります。逆に木材用の粗い刃で薄い鉄板を切ると、歯が板に引っかかって本体が暴れます。
パッケージの表面や刃そのものに印刷された「対応素材」の表示をまず確認しましょう。ベッセルのセーバーソーブレードのように、切断できる材料をアイコンで刃面に印刷している製品もあり、手元に複数の刃があっても見分けがつくように工夫されています。
「別販売品のご紹介」の表を読めば、切れる材料と厚みが一目でわかる
替刃選びで一番頼りになるのは、実は本体の取扱説明書です。マキタの充電式レシプロソー(JR147D/JR187D)の取扱説明書には、「別販売品のご紹介」としてレシプロソーブレードの一覧表が載っています。
この表の列は、主要切断材料、切断能力(軟鋼板・非鉄金属・プラスチック・パイプ・ALC・木材)、全長と厚み、1インチ当たりの山数、部品番号という並びです。たとえばBIM45は「木材(釘可)・木材解体用」で、全長150mm・厚み1.3mm・6山、木材は10〜75mm(釘入り可)とされています。BIM54は「鉄・ステンレス用」で、全長200mm・厚み0.9mm・14山、軟鋼板は3〜6mmです。
つまり、「切りたい材料の列に数字が入っていて、その範囲に自分の材料の厚みが収まっている刃」を選べばよい、ということになります。逆に「―」になっている素材は、その刃の対象外です。
注意したいのは、表の欄外に「取り付けモデルにより、能力は異なります」と書かれている点です。切断能力は本体のストローク長やパワーとの組み合わせで変わるので、自分の本体の取扱説明書に載っている表で確認するのが確実です。
刃の取付部が本体に合うかは、本体側の説明書で確かめる
用途が合っていても、本体に取り付けられなければ意味がありません。レシプロソーの替刃は、根元の差し込み部分(本体のブレードクランプやスリーブに差し込む部分)の形が本体側の取付方式と合っている必要があります。
たとえば同じマキタでも、JR144D/JR184Dの取扱説明書では、ブレードクランプにレシプロソーブレードの差し込み口とジグソーブレードの差し込み口があり、ブレード締め付けボルトを六角棒レンチで締める方式と説明されています。一方、JR187Dはドライビングスリーブのレバーを解除位置にしてブレードを奥まで差し込む方式です。同じメーカー内でも、取付の仕組みは機種によって違います。
やりがちなのは、他社製の替刃を「形が似ているから大丈夫だろう」と差し込み、固定が甘いまま使ってしまうことです。固定が不完全だと、作業中に刃が抜けたり折れたりする原因になります。
確認の手順としては、本体の取扱説明書の「別販売品」欄と「ブレードの取り付け」の項を読み、替刃側のパッケージにある適合表示と照らし合わせます。迷ったら、本体メーカーの純正品から選ぶのが確実です。
替刃選びの答えは、本体の取扱説明書の「別販売品」の表にあります。①切りたい材料の列に数字が入っているか、②自分の材料の厚みがその範囲に収まるか、③本体に取り付けられる刃か、の3点を確かめれば、大きく外すことはありません。
山数(1インチ当たりの歯の数)で何が変わる?6山と24山の理屈
山数(TPI)=刃の1インチ当たりに並ぶ歯の数のこと。マキタの取扱説明書では「1インチ当たりの山数」、ベッセルのカタログでは「14山(14TPI)」のように表記されています。数字が小さいほど歯は粗く、大きいほど細かくなります。
ピッチ=歯と歯の間隔。ベッセルの木用ブレードの資料では「ピッチ3.0mm」のようにmmで示されています。山数とは逆に、数字が大きいほど歯は粗くなります。
木材用が6山前後と粗いのは、おがくずを吐き出すため
木材用の替刃は、6山前後の粗い歯が中心です。マキタの取扱説明書の表でも、木材用のBIM45・BIM46・BIM47、木材の高速切断用とされる23Bはいずれも6山です。
理由は、木材を切るとおがくずが大量に出るからです。レシプロソーの刃は前後に往復しながら材料を削りますが、削ったおがくずは歯と歯の間のすき間(歯室)に入って運び出されます。歯が細かいとこのすき間が小さく、厚い木材ではすぐにおがくずで埋まってしまいます。埋まった歯は材料を削れず、こすれるだけになって熱が出ます。
ベッセルの2026年の木用ブレードの資料でも、生木や太枝向けのブレードは木工用(ピッチ3.0mm)より大きいピッチ3.5mmにして、鋸屑の排出性を高めたと説明されています。湿った木ほどおがくずがまとまって詰まりやすいので、歯の間隔をさらに広げているわけです。
やりがちな失敗は、「細かい歯のほうが切り口がきれいそう」と、厚い角材に山数の多い刃を使うことです。切り口がきれいになる前に刃が詰まって進まなくなります。厚い木材ほど、山数の少ない刃を選ぶのが基本です。
薄い金属ほど山数を増やす|表の数字が「厚みと山数」の関係を示している
金属用の替刃は14山・18山・24山と、木材用よりずっと細かくなります。そして面白いのは、山数が増えるほど「切れる板の厚み」が薄いほうへずれていくことです。
マキタの取扱説明書の表では、軟鋼板の切断能力が、14山のBIM54で3〜6mm、18山のBIM56で1.5〜4.5mm、24山のBIM60で〜3mmとなっています。ベッセルのセーバーソーブレードのカタログでも、金属用のチーターブレードは14山で鉄3〜8mm、18山で1.5〜4mm、24山で〜3mmと、同じ傾向で並んでいます。
なぜ薄い板ほど細かい歯が必要かというと、薄い板を粗い歯で切ると、板の厚みの中に歯が1枚しかかからない瞬間ができ、歯が板の縁に引っかかってしまうからです。引っかかると刃が跳ね、本体が振られ、歯が欠けたり板がゆがんだりします。細かい歯なら、常に複数の歯が板に当たって少しずつ削れるので、引っかかりにくくなります。
コツは、切りたい鉄板やパイプの肉厚を先に測ってから、表で「その厚みが範囲に入る山数」を探すことです。薄いパイプやダクトのような材料に14山を当てると、引っかかって切りにくく感じるはずです。
「10&14山」のような混合歯は、釘や鉄が混じる材料のための妥協点
替刃の中には「10&14山」のように、2つの山数が書かれたものがあります。これは1枚の刃の中で歯の細かさが変わっている刃で、マキタの表ではBIM48〜BIM50が「鉄・ステンレス・設備解体用」の10&14山とされています。
解体や補修の現場では、木材の中に釘やビスが残っていたり、木と鉄が組み合わさった材料を切ったりすることがあります。粗い歯だけだと鉄に当たったときに歯が欠けやすく、細かい歯だけだと木の部分で詰まりやすい。その間を取って、両方をある程度こなせるようにしたのが混合歯です。
家のDIYでは、古い棚や家具をばらして処分するときや、釘が抜けなくなった木材を切り離すときに出番があります。ただし、どちらの素材でも専用刃ほどの速さや仕上がりにはなりません。
「1枚あれば何でも切れる」と考えるより、「釘が混じっているかもしれない材料用」と割り切るのがコツです。表の木材の列に「(釘入り可)」と書かれているかどうかも、選ぶときの手がかりになります。
刃厚0.9mmと1.3mm、長さ150mm〜300mmはどう選べばいい?

薄い0.9mmは速く切れて切りしろが少ない、ただし力仕事には向かない
レシプロソーの替刃の厚みは、メーカーの表では0.9mm前後の薄刃と、1.3mm前後の厚刃に大きく分かれています。マキタの表では、鉄・ステンレス用のBIM54やBIM56が0.9mm、木材解体用のBIM45やBIM47が1.3mmです。
薄刃の利点は、切るときの抵抗が少ないことです。ベッセルのカタログでは、刃厚0.9mmのチーターブレードについて、切断時の抵抗が少ないので高速切断が可能で、切りしろも少なくすむと説明されています。さらに、曲げても折れにくい「しなり刃」とされています。
ただし、薄い刃は横からの力に弱く、大きく曲がりやすいという面もあります。厚い材料を強く押しながら切ると、刃がたわんで切り口が曲がったり、往復のたびに刃が材料の中でこすれて熱を持ったりします。
薄い鉄板やパイプ、まっすぐ切りたい作業には薄刃、というのが基本の使い分けです。しなりを活かして、壁や床から突き出たものを際で切る用途にも向いています。
厚い1.3mmは曲がりにくく、解体や釘入り材で力が伝わる
厚刃は、曲がりにくさが大きな特長です。ベッセルのカタログでは、刃厚1.27mmのライノブレードについて、曲がりにくいので切断時に力が伝わりやすく、パワフルな作業に向いていると説明されています。釘入り木材などの複合材にも使えるとされています。
レシプロソーは、刃が前後に往復しながら、刃を押し付ける力で材料に食い込んでいきます。押し付ける力を受け止めるのは刃そのものなので、刃が薄いとたわみ、厚いとそのまま切る力に変わります。解体のように太い木材や、釘が混じる材料を力強く切りたいときは厚刃が有利です。
反対に、厚刃で薄い鉄板を切ると、切りしろが広いぶん抵抗が増え、仕上がりも粗くなりがちです。厚刃を「頑丈だから何にでも使える刃」と考えると、繊細な作業でかえって切りにくくなります。
選ぶときは、表やパッケージの「全長/厚み」の欄を見て、「解体・釘入り・太物なら厚め、金属・薄物なら薄め」と決めておくと迷いません。
刃の長さは「材料の太さ+余裕」で決める|長すぎても短すぎても困る
替刃の全長は、マキタの表では150mm・200mm・225mm・250mm・300mmと段階的に用意されています。長さによって、切れる材料の太さが変わります。BIM45(全長150mm)は木材10〜75mm、BIM47(全長300mm)は木材10〜225mmとされていて、同じ6山の木材用でも長さで切断能力が変わることがわかります。
長い刃が必要なのは、往復運動のあいだも刃の先端が材料の向こう側に出ていなければならないからです。JR187Dの取扱説明書では、ストローク長は32mm、全長300mmの木材用ブレードを使った時の木材の切断能力は厚さ255mmとされています。刃が短いと、往復のたびに先端が材料の中に入り込んで、材料の奥に当たってしまいます。
一方で、長い刃ほど先端が振れやすく、狙った線からずれやすいという弱点があります。ベッセルが2026年4月に出荷を始めた全長175mmの木工用ショートモデル(SBW-1017-1)は、全長が短く刃全体に腰があるため、動作時に左右へ振れにくいと説明されています。
コツは「切りたい材料の太さに、必要な余裕を足した長さ」を選ぶことです。2×4材程度なら長い刃は必要なく、むしろ短めの刃のほうが扱いやすくなります。丸ノコ用の刃の見方と比べたい人は、こちらも参考になります。

刃の材質と歯の並び方|同じ山数でも切れ味が違う理由
バイメタルは「しなる本体」と「硬い刃先」を溶接した2層構造
替刃のパッケージでよく見かけるのが「バイメタル(BIM)」という表記です。マキタの表でも、品番の頭に「BIM」がつく刃が多数並んでいます。
ベッセルのカタログによると、同社のバイメタルハイス鋼のブレードは、本体の「ばね鋼」にハイスピード鋼(ハイス)を刃部として溶接接合したものと説明されています。ばね鋼はしなやかで折れにくく、ハイスは硬くて摩耗に強い。性質の違う2つの金属を組み合わせることで、「刃先は硬いのに、刃全体は折れにくい」という、相反する性質を両立させているわけです。
さらにベッセルのカタログでは、コバルトを配合することで、難削材であるステンレス鋼にも対応するとしています。ステンレスを切る予定があるなら、表やパッケージで「ステンレス可」の表示を確かめましょう。
やりがちな失敗は、安さだけで材質表示のない刃を選び、鉄を切ったらすぐに歯が丸くなってしまうことです。金属を切る予定があるなら、材質の表示と対応素材を確かめてから選ぶのが無難です。
歯の並び方は3種類|荒切り・振動の少なさ・仕上がりで役割が違う
山数が同じでも、歯の「並び方(セット)」によって切れ方が変わります。ベッセルのカタログでは、刃先の形として3つのタイプが説明されています。
1つ目は「オルタネートセット」で、歯が左右交互に配置された刃です。荒切り目的で、スピード重視の切断に適しているとされています。2つ目は「レイカーセット」で、アサリ加工で左右に広げた歯と、まっすぐに配置された歯を組み合わせた刃です。高速カットで振動が少なく、効率的な作業ができるとされています。3つ目は「ウェーブセット」で、歯が波状に配置された刃です。バリが少なく静かで、切断面も滑らかに仕上がるとされています。
歯を左右に振る(アサリをつける)のは、刃の厚みより少し広い溝を掘って、刃本体が材料にこすれないようにするためです。こすれが減れば摩擦熱が減り、刃が材料に挟まれにくくなります。
パッケージの裏面やメーカーのカタログで、この「セット」の表記を探してみてください。仕上がりを気にする金属の切断なら滑らかさ重視、木材の荒切りならスピード重視、と選び分けられます。
| 山数 | マキタの例(全長/厚み) | 主な対象と切断能力 | ベッセルの例 |
|---|---|---|---|
| 6山 | BIM45(150mm/1.3mm) BIM47(300mm/1.3mm) |
木材(釘入り可)10〜75mm/10〜225mm | ― |
| 9山 | ― | 塩ビ・木材解体・ALC | ライノブレード(刃厚1.27mm) |
| 10&14山 | BIM48(200mm/1.3mm) | 鉄・ステンレス・設備解体(軟鋼板4〜6mm) | ライノブレード解体用(鉄3〜13mm) |
| 14山 | BIM54(200mm/0.9mm) | 鉄・ステンレス(軟鋼板3〜6mm) | チーターブレード(鉄3〜8mm) |
| 18山 | BIM56(150mm/0.9mm) | 鉄・ステンレス(軟鋼板1.5〜4.5mm) | チーターブレード(鉄1.5〜4mm) |
| 24山 | BIM60(150mm/0.9mm) | 薄い鉄板・ダクト(軟鋼板〜3mm) | チーターブレード(鉄〜3mm) |
出典:マキタ 充電式レシプロソー(JR147D/JR187D)取扱説明書「別販売品のご紹介」、ベッセル セーバーソーブレード カタログ。切断能力は取り付ける本体によって異なります。
実は「長くて厚い刃ほど万能」ではない|意外と見落とす本体との相性
意外と知られていないけれど、同じ替刃でも、どの本体に付けるかで切れる量が変わります。マキタの表の欄外にも「取り付けモデルにより、能力は異なります」と書かれています。
分かりやすいのがストローク長(刃が1往復で動く距離)です。JR187Dの取扱説明書ではストローク長32mm、JR184Dでは13mmとされています。JR184Dの取扱説明書に載っている切断能力は、パイプがΦ50mm(長さ152mmの鉄工用ブレード使用時)、木材が厚さ50mm(長さ152mmの木工用ブレード使用時)です。ストロークが短い片手サイズの本体は、一度に削る量が少ないぶん、太い材料ほど時間がかかります。
ここでやりがちなのが、コンパクトな本体に長くて厚い解体用の刃を付けて、太い角材を一気に切ろうとすることです。本体の能力を超えた太さの材料に挑むと、刃が材料の中で止まりがちになり、本体が振られたり、刃に無理な力がかかったりします。
替刃を選ぶ前に、自分の本体の取扱説明書の「仕様」欄で、ストローク長と切断能力を確認しておきましょう。そのうえで、切断能力の範囲に収まる材料と刃の組み合わせを選ぶのが、刃にも本体にも無理をさせないコツです。
取り付けで失敗しないために|差し込む前の1分でやること

交換は「スイッチを切ってバッテリーを抜く」から始まる
替刃の交換は、必ずスイッチを切り、バッテリーを抜いてから行います。JR187Dの取扱説明書でも、ブレードの取り付け・取りはずしの際は必ずスイッチを切り、バッテリを抜くように案内されています。ベッセルのカタログの使用上の注意にも、ブレード交換時は必ず動力源を遮断するよう書かれています。
理由は、交換中に誤ってスイッチの引金に指がかかったとき、刃が往復して手を傷つけるおそれがあるからです。レシプロソーの引金は、引き加減で速度が変わる仕組みのため、軽く触れただけでも刃が動き出すことがあります。
もう一つ気をつけたいのが、作業直後の刃の熱です。取扱説明書では、作業直後のノコ刃は大変熱くなっているので触れないよう注意されています。特に金属を切った直後の刃は、摩擦熱で高温になっています。
交換するときは、手袋をしたうえで、刃が冷めるのを待ってから外しましょう。刃先や切削クズにも注意が必要です。
切粉を拭かずに差し込むと、刃が抜けたり折れたりする
取り付けで見落としやすいのが、差し込む前の「掃除」です。JR187Dの取扱説明書では、ブレードおよび取り付け面の切粉などを拭き取るよう注意されていて、拭き取らないとブレードがはずれたり、折れたりしてけがの原因になると説明されています。
レシプロソーの刃は、差し込み部の小さな面で本体に固定され、1分間に最大3,000回(JR187Dの高速時)という往復の力をそこだけで受け止めています。差し込み口に切粉やおがくずが挟まっていると、刃が奥まで入らなかったり、固定がわずかにずれたりします。そのわずかなずれが、往復のたびに刃を揺らし、根元に繰り返し力をかけてしまいます。
状況:木材を切ったあと、続けて金属を切ろうと急いで刃を差し替えた。差し込み口にはおがくずが残ったまま。
原因:切粉が挟まって刃が奥まで入らず、固定が不完全になる。作業中に刃が抜けたり、根元から折れたりしやすくなる。
対策:差し込む前にブレードと取り付け面の切粉を拭き取り、差し込んだあとは刃を引っ張って抜けないことを確かめる。
コツは、刃を差し替えるたびに「拭く→差し込む→引っ張る」をセットにすることです。引っ張って確かめる一手間で、固定の甘さにはその場で気づけます。
ジグソーの刃を挿せる本体もある|差し込み口の違いを知っておく
本体によっては、レシプロソー用の刃だけでなく、ジグソー用の刃を差し込めるものもあります。JR144D/JR184Dの取扱説明書では、ブレードクランプにジグソーブレードの差し込み口があり、レシプロソーブレードとは別の差し込み口に挿入する図が載っています。
ジグソーの刃は細身で、曲線切りを想定した刃です。そのため、片手サイズのレシプロソーで小さな曲線を切りたいときに、ジグソーの刃が役立つ場面があります。
ただし、差し込み口が違うのに無理に挿したり、締め付けボルトをゆるめたまま運転したりするのは禁物です。JR184Dの取扱説明書では、ブレード締め付けボルトをゆるめたまま運転すると故障の原因になると注意されています。
自分の本体がジグソーの刃に対応しているかどうかは、取扱説明書の「ブレードの取り付け・取りはずし方」の図で確認しましょう。ジグソーそのものの使い方や刃の選び方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

替刃が折れる・すぐ切れなくなるのはなぜ?3つの原因と対策
シューを材料から離すと、反動が刃に返ってくる
替刃が折れる原因として取扱説明書でまず注意されているのが、シューを材料から離して切ることです。シューとは、刃の根元側にある当て板のような部品で、材料に押し当てて本体を安定させる役割があります。
JR187Dの取扱説明書では、シューを材料から離して使用したり、急激にブレードをひねるような切断はしないよう注意されていて、ブレードが折れたりしてけがの原因になると説明されています。さらに、シューを材料から離して使用すると反動が大きくなりブレードの破損原因となる、とも書かれています。
レシプロソーの刃は、引くときに材料を削り、そのときの反動は本体を材料側へ引き寄せる向きに働きます。シューが材料に当たっていれば、この反動をシューが受け止めてくれます。ところがシューが浮いていると、反動を受け止めるものがなくなり、本体が前後に暴れて、その力が細い刃に集中します。
切り始めは、シューを材料にしっかり押し当て、刃を材料に軽く接触させてから、引金を少し引いて低速で始めます。刃が材料に切れ込んだら、引き加減を調整して好みの速度で切る、というのが取扱説明書の手順です。
途中で刃をひねる・こじると、細い刃は一気に曲がる
切っている途中で切り口が曲がってきたとき、本体をひねって修正したくなります。これが、刃を折る2つ目の原因です。取扱説明書でも、急激にブレードをひねるような切断はしないよう注意されています。
レシプロソーの刃は細長く、幅の方向(刃の高さ方向)には強い一方、横の方向には弱い形をしています。切り口の溝に挟まれた状態で横にひねると、刃は溝の縁を支点にしてねじられ、往復の力も加わって曲がったり折れたりします。薄刃ほどしなりはしますが、ひねりながら往復させ続ければ限界を超えます。
状況:板を線に沿って切っていたら、途中で切り口がずれてきた。本体を傾けて線に戻そうとしたら、刃が曲がって動かなくなった。
原因:溝に挟まれた刃に横からひねる力がかかり、往復の力と重なって刃が曲がる。そのまま続けると折れて飛ぶおそれがある。
対策:一度スイッチを切って刃を抜き、線から少し手前の位置から切り直す。切り始めに材料をしっかり固定し、シューを押し当てて線の真上から始める。
ずれに気づいたら、ひねって修正するより「止めて、抜いて、切り直す」ほうが、刃も材料も傷めずに済みます。
押し付けすぎ・切削油なしの金属切断は、刃を焼いて寿命を縮める
3つ目の原因は、刃に無理な負荷をかけることです。ベッセルのカタログの使用上の注意には、過負荷はブレード破損の原因となるのでやめるよう書かれています。
早く切りたくて本体を強く押し付けると、歯が材料に深く食い込みすぎて、往復の動きが止まりかけます。止まりかけた刃は材料とこすれ合うだけになり、摩擦熱で刃先が焼けて硬さを失います。焼けた刃先は丸くなり、次からはさらに切れにくくなる、という悪循環に入ります。
金属を切るときは、熱への対策も必要です。JR187Dの取扱説明書では、金属を切断する場合は切削油を塗布するよう案内されています。また、金属の切断では熱い切粉が出るので、必ず手袋を着用するよう注意されています。
コツは、本体の重さを利用する程度の力で押し、刃が自分で切り進むのを待つことです。進みが明らかに遅くなったら、押す力を足すのではなく、刃の状態(歯が丸くなっていないか、詰まっていないか)を確かめましょう。
刃の一部だけ切れなくなったら、シュー位置の調整で寿命を延ばせる
替刃は、全体が一様に摩耗するわけではありません。いつも同じ位置の歯だけが材料に当たっていると、その部分だけが早く丸くなり、ほかの歯はまだ使えるのに切れ味が落ちたように感じます。
JR187Dの取扱説明書では、ブレードの一部だけ切れ味が悪くなったような場合には、ブレードの刃部全体が有効に使用できるようにシューの位置を調整するよう案内されています。シューの位置は5段階に調整でき、ブレードの寿命が長くなるとされています。
シューの位置を変えると、材料に当たる歯の範囲がずれ、まだ鋭い歯を使えるようになります。替刃を買い直す前に試す価値のある方法です。
ただし、歯が欠けている、刃が曲がっている、ひびが入っている、といった状態の刃は交換が必要です。取扱説明書でも、落としたりぶつけたりしたときは、刃や本体に破損・亀裂・変形がないかを点検するよう注意されています。
家のDIYでよくある作業別|どの替刃を選ぶ?
2×4材や角材を切る|6山前後の木材用で、材料の太さに合った長さを
棚づくりや廃材の処分で、2×4材や角材を切る場面は家のDIYでよくある作業です。この場合は、6山前後の木材用の刃が基本になります。
マキタの表では、木材用のBIM45(全長150mm)が木材10〜75mm、23B(全長150mm)が木材90mm以下とされています。2×4材程度の太さなら、全長150mmクラスの木材用で足ります。JR184Dの取扱説明書に載っている1回の充電での作業量の参考値でも、BL1830Bのバッテリーで木材(2×4)が約50本とされていて、片手サイズの本体でも2×4材の切断は想定された作業です。
やりがちな失敗は、「長いほうが太いものも切れるから」と、最初から300mmの解体用の刃を買ってしまうことです。2×4材程度では長さが余り、先端が振れて切り口が曲がりやすくなります。
家具や棚の材料を寸法どおりに切りたいなら、レシプロソーより丸ノコやジグソーのほうが向いています。レシプロソーは、解体や粗切り、狭い場所での切断が得意な工具だと考えておくとよいでしょう。
釘やビスが残った古材を切る|「釘入り可」の表示を探す
古い棚や家具をばらして処分するときは、木材の中に釘やビスが残っていることがよくあります。木材専用の刃で釘に当たると、歯が欠けやすくなります。
この場合は、表の木材の列に「(釘入り可)」と書かれた刃を選びます。マキタの表では、BIM45が「木材(釘可)・木材解体用」、BIM46・BIM47が「木材(釘可)・ALC・木材解体用」、BIM48〜BIM50が10&14山の「鉄・ステンレス・設備解体用」で、木材も釘入り可とされています。ベッセルのライノブレードも、釘入り木材などの複合材に使えると説明されています。
釘入り材を切るときは、厚刃(1.3mm前後)のほうが向いています。釘に当たったときの衝撃で刃がたわみにくく、力が逃げにくいからです。
注意点として、釘に当たった瞬間は切れる速度が急に変わり、本体が振られやすくなります。本体を両手でしっかり保持し、シューを材料に押し当てたまま切りましょう。取扱説明書でも、使用中は本機を確実に保持するよう警告されています。
塩ビ管・鉄のパイプやアングルを切る|肉厚を測ってから山数を決める
物干しや棚の支柱に使ったパイプ、アングル材を切る場面もあります。この場合は、材料の「肉厚」に合わせて山数を選びます。
鉄のパイプやアングルは、14山〜18山の金属用が中心です。マキタの表では、14山のBIM54が軟鋼板3〜6mm、18山のBIM56が1.5〜4.5mmとされています。肉厚が薄いパイプほど18山や24山の細かい歯を選ぶ、と考えると分かりやすいでしょう。JR184Dの取扱説明書では、鉄工用(鋼管・鋼材)のBIM42が18山とされています。
塩ビ管は、木材用やプラスチック用の刃で切れます。JR184Dの表では、BIM41が「プラスチック(木用)」の6山とされています。ベッセルのライノブレード(9山)も塩ビに対応すると示されています。
金属を切るときは、熱い切粉が出るので手袋を着け、切削油を塗布するよう取扱説明書で案内されています。ベッセルのカタログでも、保護メガネ・保護手袋の着用が注意事項に含まれています。
壁や床の際で切る|埋設物の確認が先、刃選びはその次
リフォームや補修で、床や壁から出っ張ったものを際で切りたい場面もあります。こうした作業では、しなりのある薄刃や、振れにくい短い刃が使いやすくなります。
ただし、壁や床を切る作業で何より先にすべきなのは、刃選びではなく埋設物の確認です。JR187Dの取扱説明書では、作業する箇所に電線管・水道管やガス管などの埋設物がないことを作業前に十分確かめるよう警告されています。埋設物に刃が触れると、感電や漏電・ガス漏れのおそれがあるとされています。
壁の中の配線や配管の移設・修理は、電気工事士などの資格が必要な作業や、専門の事業者が扱う工事にあたります。家のDIYでは、配線・配管に関わる箇所を切らないことが前提です。
際の切断には、レシプロソーのほかにマルチツールという選択肢もあります。刃の規格や選び方の考え方が違うので、比べてみたい人はこちらも参考にしてください。

まとめ:レシプロソー 替刃は「素材→山数→刃厚と長さ」の順に選ぶ
レシプロソーの替刃は、種類が多いぶん迷いやすいものの、山数・刃厚・長さ・材質にはそれぞれ「切りくずの逃がし方」「力の伝わり方」「材料との当たり方」という理屈があります。その理屈が分かれば、売り場で並ぶ刃の違いも読み解けるはずです。最初の一歩として、手元の本体の取扱説明書で「別販売品のご紹介」の表を開き、これから切りたい材料の列と厚みを確かめるところから始めてみてください。
※替刃の品番・仕様・切断能力は改良などで変わることがあります。最新情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。

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