ホームセンターの木材売り場で2×4材を手に取り、メジャーを当てると、厚さが2インチに届かないことに気づきます。棚板にする合板のラベルには特類や1類と書いてあり、角材にはD15やSD20という記号が付いています。木材の規格は、DIYを始めた人が最初につまずきやすいところです。
先に結論をお伝えします。DIYで目にする木材の規格は、農林水産省が定める日本農林規格(JAS)のうち、製材のJAS(JAS 1083)、ツーバイ材のJAS(JAS 0600)、合板のJAS(JAS 0233)、接着たて継ぎ材のJAS(JAS 0015)の4つを押さえれば、ほとんど読み解けます。名前と実寸がずれる理由、乾燥の度合いを示す記号、合板の接着の程度は、どれもこの規格の中で決められています。
この記事では、規格の原文と都道府県・林野庁の公的資料をもとに、ツーバイ材の寸法型式、製材の区分と含水率の表示、木が反ったり縮んだりする仕組み、合板の種類を順に解説します。最後に、室内の棚・屋外・長い材が欲しいときなど、場面別に規格の見方を整理しました。
・木材の規格を決めているJASの4つの規格と、JASマークの意味
・2×4材の実寸が38×89 mmになる理由と、寸法型式の読み方
・D15・SD20など含水率の表示と、木が反る・縮む仕組み
・合板の特類・1類・2類の違いと、場面別の木材の選び方
木材の規格はだれが決めている?JASとJISの役割分担

木材の品質と寸法を決めているのは農林水産省のJAS
木材製品の品質・寸法・表示のルールを決めているのは、農林水産省の日本農林規格、いわゆるJASです。工業製品のJISではなく、木材は農林物資としてJASの側で規格化されています。
林野庁の資料では、木材のJASには製材、集成材、合板、フローリング、CLT(直交集成板)、接着重ね材、接着合せ材などの11品目の規格があると整理されています。製品の種類ごとに、別々の規格書がある仕組みです。
DIYでよく出会うものに当てはめると、角材や板材は製材のJAS(JAS 1083)、2×4や1×4のようなツーバイ材は枠組壁工法構造用製材のJAS(JAS 0600)、ベニヤ板と呼ばれがちな合板は合板のJAS(JAS 0233)です。ここでやりがちなのが、ツーバイ材も角材と同じ製材のJASだと思い込むこと。実際には、製材のJASは枠組壁工法構造用製材を対象から外しており、ツーバイ材は別の規格で寸法が決まっています。
コツは、売り場で材を見たら、まず「これはどの規格の製品か」を分けて考えることです。角材・板材・ツーバイ材・合板では、ラベルの記号の意味も寸法の決まり方も違います。
JASマークは「認証を受けた事業者が自分で付ける」しるし
JASマークは、国や販売店が製品ごとに貼るものではありません。登録認証機関から認証された認証事業者が、自らの製品にJASマークを付けることができる、という仕組みです。
つまり、JASマークがある材は、規格に沿った品質管理のもとで作られ、等級や含水率などの表示がJASのルールで書かれていることを示しています。反対に、マークのない材は、規格の数字を製造側が保証しているとは限りません。
意外と知られていないけれど、木材の種類によってJAS認証の広がり方は大きく違います。林野庁の白書(平成30年度版)には「JAS制度に基づく認証を取得した事業者の割合は、合板工場では7割を超えているものの、製材工場では1割程度にすぎず」と書かれています。合板ではJAS品に出会いやすい一方、角材や板材ではJASマークのない材のほうが多い、と考えておくと売り場で混乱しません。
注意点として、ホームセンターで売られているDIY用の材は、JAS認証品とは限りません。表示の有無は製品ごとに、ラベルや包装、売り場の表示で確認するのが確実です。
JIS Z 2101は木材を「どう測るか」の規格
木材にもJISはありますが、役割はJASと違います。JIS Z 2101:2009「木材の試験方法」は、木材の性質を測るときの試験のやり方を定めた規格です。
JASが製品の品質と表示を決める規格なのに対し、JISのこの規格は測定方法の共通ルールという位置づけになります。たとえば製材のJASでは、含水率の判定にJAS 1083-2で定めた含水率試験を使うと書かれており、製品ごとの規格の中に試験の手順が組み込まれています。
DIYでやりがちなのは、JISマークを探して木材を選ぼうとすることです。木材そのものの品質表示はJASの側にあるため、売り場で見るべきはJASの表示や、含水率・等級の記号です。JIS Z 2101は、研究機関や製造現場で木材の強さや含水率を比べるときの「物差し」と考えると整理しやすくなります。
規格を調べるときは、規格番号と年の版をセットで確認してください。同じ番号でも版が変われば中身が改正されていることがあります。
規格には「版」がある|2025〜2026年に改正が続いている
木材のJASは、制定されたあとも改正が重ねられています。規格を引用するときは、いつの版の数字かを確認するのが基本です。
農林水産省の公開資料では、枠組壁工法構造用製材のJAS 0600は1974年7月8日制定・2025年10月31日改正、合板のJAS 0233は2003年2月27日制定・2026年4月13日改正、接着たて継ぎ材のJAS 0015は2021年2月24日制定・2026年4月13日改正と記載されています。製材のJAS 1083についても、2026年に改正の告示が出ています。
やりがちな失敗は、古いブログやカタログの表をそのまま信じることです。改正で区分の名前や表示の書き方が変わることがあり、数年前の情報では今の表示と食い違う場合があります。
角材・板材は製材のJAS(JAS 1083)、ツーバイ材はJAS 0600、合板はJAS 0233、たて継ぎ材はJAS 0015と、製品ごとに規格が分かれています。JIS Z 2101:2009は試験方法の規格で、製品の品質表示はJASの側にあります。調べるときは規格番号と版(年)をセットで確認しましょう。
2×4材が2インチ×4インチではない理由|ツーバイ材の寸法型式
2×4は「寸法型式」という名前、実寸は規格表で決まっている
2×4(ツーバイフォー)という呼び方は、寸法そのものではなく、JAS 0600で決められた「寸法型式」の名前です。実寸は規格の表に別に書かれていて、乾燥材の寸法型式204は厚さ38 mm×幅89 mmです。
規格の表を読むと、呼び名の1桁目が厚さ側(1・2・3・4)、2桁目以降が幅側(4・6・8…)に対応していることがわかります。もともとインチに由来する呼び方ですが、規格本文にインチ換算の説明はなく、決まっているのはあくまで表に書かれたmmの値です。
家でやるDIYでやりがちなのが、名前から寸法を計算して設計図を描いてしまうことです。2インチ×4インチのつもりで棚の内寸を出すと、材を並べたときに思った幅にならず、棚板の長さや金具の位置がずれます。1×4(寸法型式104)も同じで、乾燥材の規定寸法は厚さ19 mm×幅89 mmです。
コツは、設計の段階から規格表の実寸で数字を組むことです。名前は「どの断面の材か」を伝える記号、寸法は表から拾う、と役割を分けて覚えると間違えにくくなります。

乾燥材(D)と未乾燥材(G)で寸法が違う
同じ204でも、乾燥材と未乾燥材では規定寸法が違います。乾燥材は38×89 mmで、未乾燥材は厚さ・幅ともにそれよりひと回り大きい値が、JAS 0600の表で別の欄に分けて書かれています。
理由は、木が乾くと縮むからです。JAS 0600では、含水率が19 %を超えるものを未乾燥材、19 %以下のものを乾燥材と定義しています。未乾燥材はこれから乾いて縮む分を見込んだ寸法で作られている、と考えると、表で数字が分かれている理由が理解しやすくなります。
表示のルールもあり、寸法型式名に未乾燥材は「G」、乾燥材は「D」を付けて記載することになっています。さらに、含水率の平均値が15 %以下のものはD15と表示できます。204Dや206D15のようなラベルは、この組み合わせです。
注意したいのは、未乾燥材を室内の家具にそのまま使うケースです。乾く過程で寸法が変わるため、組んだあとにすき間が出たり反ったりしやすくなります。家具や棚に使うなら、Dの付いた乾燥材を選ぶのが規格の考え方に沿った選び方です。
厚さ・幅は±1.5 mmまで許されている
規格の寸法はぴったりの値ではなく、許容差の範囲が決められています。JAS 0600では、厚さと幅の許容差は±1.5 mm、長さはプラス側は制限なし、マイナス側は0です。
木材は工業製品のように削り出すものではなく、切って乾かして仕上げる材料なので、個体差をゼロにはできません。そのため規格は「この範囲に入っていれば合格」という幅を持たせています。長さだけマイナスが許されていないのは、表示より短い材が混ざると使えなくなるからと考えられます。
DIYでよくある失敗は、2×4を何本か並べて天板を作ったとき、隣り合う材の厚さがわずかに違って段差が出ることです。許容差の範囲内なので、規格違反ではありません。同じ寸法型式でも、1本ずつ厚さと幅が少しずつ違うのは前提として考えておく必要があります。
コツは、天板や面をそろえたい部分では、購入時に材どうしを重ねて厚さを見比べ、近いものを組み合わせることです。仕口や金具の位置を決めるときも、実際の材を当ててから墨付けすると、許容差によるずれを吸収できます。
太い材・幅広の材も同じ表にある|204Wと4×4
JAS 0600の寸法型式は、2×4だけではありません。厚さ38 mmの系列で幅64 mmから286 mmまで、さらに厚さ64 mmや89 mmの太い材まで、ひとつの表に並んでいます。
中には、204を2枚合わせにした寸法の204Wもあり、乾燥材で厚さ76 mm、幅89 mmと決められています。名前の仕組みがわかれば、表のどこを見ればよいか迷わなくなります。
次の表は、JAS 0600:2025の規定寸法から、DIYで目にしやすい寸法型式を抜き出したものです。
| 寸法型式 | 乾燥材(厚さ×幅) | 未乾燥材との関係 |
|---|---|---|
| 104 | 19×89 mm | 未乾燥材はひと回り大きい寸法 |
| 106 | 19×140 mm | 未乾燥材はひと回り大きい寸法 |
| 203 | 38×64 mm | 本記事では省略 |
| 204 | 38×89 mm | 未乾燥材はひと回り大きい寸法 |
| 206 | 38×140 mm | 未乾燥材はひと回り大きい寸法 |
| 208/210/212 | 38×184 mm/38×235 mm/38×286 mm | 本記事では省略 |
| 304/306 | 64×89 mm/64×140 mm | 本記事では省略 |
| 404/406 | 89×89 mm/89×140 mm | 本記事では省略 |
出典は農林水産省が公開しているJAS 0600 枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材です。表にない寸法型式や未乾燥材の寸法を使う場合は、規格の原文で該当する行を確認してください。
造作用・構造用・下地用はどう違う?製材のJASの区分

製材のJASは「どこに使うか」で区分が分かれる
ツーバイ材以外の角材や板材は、製材のJAS(JAS 1083)の対象です。この規格は、使い道ごとに区分が分かれているのが特徴です。
農林水産省の審議資料の章立てでは、造作用製材、目視等級区分構造用製材、機械等級区分構造用製材、下地用製材、広葉樹製材という区分が並んでいます。同じ杉の角材でも、見える場所に使う造作用か、建物を支える構造用か、見えない下地に使う下地用かで、求められる品質や表示の内容が変わる、という考え方です。
DIYでありがちなのは、売り場の材がどの区分の製品かを気にせず、見た目だけで選ぶことです。たとえば仕上がりの見た目を重視する棚の側板に、下地用として作られた材を使うと、表面の状態が想定と違うことがあります。区分はそのまま、製造側が想定した使い道を表しています。
見るべきは、JASマークのある材ならラベルに書かれた区分名です。マークのない材でも、売り場の表示に造作用・下地用などの書き分けがあれば、規格の区分を参考にしている可能性があります。最新の区分と表示の書き方は、2026年の改正内容とあわせて農林水産省の資料で確認してください。
造作用と下地用は「見える場所」か「見えない場所」か
造作用製材と下地用製材の違いは、使う場所が人の目に触れるかどうかです。どちらも針葉樹を材料とする製材ですが、目的がはっきり分けて定義されています。
農林水産省の審議資料では、造作用製材について「製材のうち,針葉樹を材料とするものであって,敷居,鴨居,壁その他の建築物の造作に使用すること」を主な目的とするものと書かれています。一方の下地用製材は、建築物の屋根、床、壁等の下地、つまり外部から見えない部分に使うことを主な目的とするものです。
具体例で考えると、部屋の見切り材や棚の前面に出る部分は造作用の考え方、壁の中に入れる受け材や床下の材は下地用の考え方に近い場所です。DIYでやりがちなのは、下地用の安い材を化粧面にそのまま使い、節や表面の粗さが目立ってしまうことです。
コツは、仕上がりが見える部分と隠れる部分で材を分けて買うことです。見える部分には造作用や仕上げ材を、隠れる部分には下地用を、と役割を分けると、材料選びの基準がはっきりします。
板類と角類を分けるのは「木口の短辺75 mm」
製材のJASでは、断面の形で板類と角類を分けています。その境目になるのが、木口(切り口)の短辺75 mmという数字です。
審議資料の定義では、板類は「木口の短辺が75 mm未満で、かつ木口の長辺が短辺の4倍以上のもの」です。角類は、木口の短辺が75 mm以上のもの、そして短辺が75 mm未満でも長辺が短辺の4倍未満のものを指します。厚さだけでなく、厚さと幅の比で分けているのがポイントです。
やりがちな勘違いは、薄ければ板、太ければ角材と感覚で決めてしまうことです。規格の上では、短辺が75 mm未満でも、幅が短辺の4倍に届かない断面は角類に入ります。売り場で板材の棚に置かれていても、規格上の区分は違うことがあるわけです。
この区分は等級の基準や表示の内容に関わるため、製材の規格を調べるときは、まず自分の材が板類か角類かを確かめてから該当する項目を読むと迷いません。
木口(こぐち)=材を長さ方向に直角に切った断面のこと。
板類=木口の短辺が75 mm未満で、長辺が短辺の4倍以上のもの。
角類=木口の短辺が75 mm以上のもの、または短辺が75 mm未満で長辺が短辺の4倍未満のもの。
仕上げ材(SD)/未仕上げ材(D)=石川県林業試験場の資料の注記による表示の区別。審議資料では、未仕上げ材は人工乾燥処理後に寸法仕上げをしない製材とされています。
SDとDの違いは「乾燥後に仕上げたかどうか」
製材の含水率表示に出てくるSDとDは、乾燥の度合いではなく、仕上げの有無を表しています。石川県林業試験場の資料では、SDは仕上げ材、Dは未仕上げ材と注記されています。
審議資料の説明では、未仕上げ材は人工乾燥処理をしたあと、寸法仕上げをしない製材です。木は乾くと縮むので、乾燥後に削って寸法を整えた材がSD、乾燥したままの材がDという関係になります。
具体的には、SD15とD15は、どちらも含水率の基準は15 %ですが、表面と寸法の仕上がりが違います。DIYでやりがちなのは、Dの材をそのまま家具の見える部分に使い、表面の粗さや寸法のばらつきに後から気づくことです。
コツは、自分でカンナや電動工具で削る予定がなければ、見える部分には仕上げ済みのSDを選ぶことです。後から削って仕上げる前提なら、Dの材でも用途に合います。
木材規格の含水率表示D15・SD20は何を示す?
含水率は「木そのものの重さ」に対する水の割合
含水率は、木材にどれだけ水が含まれているかを示す数字です。石川県林業試験場の資料では、木材を木繊維(Wo)とその中に含まれる水分(Ww)に分け、Ww/Wo×100(%)で表される値と説明されています。
ここで大事なのは、分母が「水を含んだ木全体の重さ」ではなく「木繊維そのものの重さ」だという点です。そのため、伐ったばかりの木では含水率が100 %を超えることもある、という独特の数字の動き方をします。
やりがちな誤解は、含水率15 %を「重さの15 %が水」と受け取ることです。規格の数字は木繊維に対する比率なので、日常の割合の感覚とは少し違います。数字の大小で乾き具合を比べる、という使い方をすれば十分です。
測り方の規格としては、JASの製品ごとに含水率試験が定められており、木材全般の試験方法としてJIS Z 2101:2009があります。家庭で目にする数字は、こうした試験の結果に基づいてラベルに表示されたものです。
繊維飽和点は約30 %、空気中で落ち着くのは14〜16 %
木材の乾燥には、2つの節目があります。繊維飽和点と平衡含水率です。この2つを知ると、なぜ規格の含水率が15〜25 %あたりに集まっているのかが見えてきます。
石川県林業試験場の資料では、細胞のすき間にある自由水がなくなった状態を繊維飽和点といい、「含水率は約30%まで低下します。さらに結合水も減少し、空気中」の湿度と釣り合ったところで落ち着く、と説明されています。この釣り合った状態の含水率が平衡含水率で、同じ資料には、地域や季節により変動するものの、日本ではほぼ14〜16%と書かれています。
ポイントは、木が縮み始めるのは繊維飽和点を下回ってからだということです。自由水が抜けている間は寸法はほとんど変わらず、細胞の壁に含まれる結合水が抜け始めると縮みが始まります。
つまり、平衡含水率に近いところまで乾かしてある材ほど、家の中に置いてからの寸法変化が小さく済みます。同じ資料でも、平衡含水率に達した木材は、その後の伸び縮みが抑制されると説明されています。
用途ごとに選べる含水率の数字が決まっている
製材のJASでは、用途の区分ごとに、表示できる含水率の数字が決まっています。どの区分の材かによって、選べる記号が違うのです。
石川県林業試験場の資料の表1(針葉樹)では、次のように整理されています。製材のJASの数値は2026年に改正の告示が出ているため、最新版の表記は農林水産省の資料で確認してください。
| 構造用製材 | 15、20又は25%(D15、D20、D25、SD15、SD20) |
| 造作用製材 | 15又は18%(D15、D18、SD15、SD18) |
| 下地用製材 | 15又は20%(D15、D20、SD15、SD20) |
| 記号の読み方 | SDは仕上げ材、Dは未仕上げ材。後ろの数字が含水率の基準(石川県林業試験場の資料の注記) |
この表から読み取れるのは、見える場所に使う造作用ほど、含水率の上限が低めに設定されていることです。造作用には25 %の区分がなく、15 %か18 %のどちらかです。見た目に関わる材ほど、使い始めてからの縮みや反りを抑える必要があるという考え方が反映されています。
DIYでは、室内の家具や棚に使う材なら、15 %の表示がある材を選ぶと、日本の平衡含水率(ほぼ14〜16%)との差が小さく、置いてからの寸法変化を抑えやすくなります。
天然乾燥と広葉樹は表示の決まり方が違う
含水率の表示は、人工乾燥した針葉樹だけのものではありません。天然乾燥の材や広葉樹にも、それぞれの表示の基準があります。
審議資料では、天然乾燥処理を施した旨の表示をする材は、含水率試験の結果、含水率の平均値が30 %以下であることが求められています。繊維飽和点の約30 %とほぼ同じ水準で、人工乾燥材の15〜25 %より高い数字です。広葉樹製材の人工乾燥の表示では、D10が10 %以下、D13が13 %以下という、針葉樹より低い数字が並んでいます。
やりがちな誤解は、天然乾燥と書いてあれば室内の家具にそのまま使えると考えることです。天然乾燥の表示の基準は、平衡含水率の14〜16%よりずっと高いところにあります。室内に置けばさらに乾いて縮む余地が残っている、と考えておくのが安全です。
コツは、乾燥方法の名前ではなく、表示されている含水率の数字そのものを見ることです。数字が平衡含水率に近いほど、使い始めてからの変化は小さくなります。
状況:未乾燥材(G)や乾燥の表示がない材を買ってきて、その日のうちに室内の棚を組んだら、しばらくして棚板と側板の間にすき間が出たり、板が反ったりした。
原因:含水率が高い材は、室内の平衡含水率(日本ではほぼ14〜16%)に近づく過程で縮みます。組み立てたあとに縮むと、ビスや接合部のまわりにずれが出ます。
対策:室内の家具や棚には、ツーバイ材ならD(乾燥材)やD15、製材ならD15・SD15など含水率の低い表示がある材を選ぶこと。表示がない材は、含水率が保証されていない前提で扱います。
板が反る・割れるのはなぜ?木の縮み方は方向で違う
木は「軸・放射・接線」の3方向で縮み方が違う
木材が反ったり割れたりする根本の理由は、方向によって縮み方が違うことにあります。木は均一に縮む素材ではありません。
石川県林業試験場の資料では、スギの気乾状態までのおよその収縮率は、軸方向0.03%、放射方向1.1%、接線方向3.5%と示されています。軸方向は木の長さ方向、放射方向は年輪の中心から外へ向かう方向、接線方向は年輪に沿った方向です。長さ方向はほとんど縮まないのに、年輪に沿った方向はよく縮む、という差があります。
同じ資料では、放射方向と接線方向の収縮率の差異が割れやそりを生じると説明されています。年輪に沿った面が大きく縮み、それと直角の面はあまり縮まないため、板の両面で縮み方がそろわず、反りとして現れるわけです。
DIYでやりがちなのは、長さ方向と同じ感覚で幅方向の寸法も変わらないと考えることです。長いほうはほぼ動かず、幅のほうが動く、と覚えておくと、設計で逃げを取る場所が見えてきます。
幅10cmの板目板で3〜4mm縮むこともある
収縮率のパーセントだけでは、実際にどのくらい動くかイメージしにくいかもしれません。公的資料には、具体的な例も示されています。
石川県林業試験場の資料では、例えば幅10cmの板目板では、乾燥により接線方向で3〜4mm収縮すると説明されています。板目板は、幅の方向がちょうど年輪に沿った接線方向になりやすい板なので、幅の変化が大きく出ます。
この数字は、生材から気乾状態まで乾いたときの例です。乾燥材ではこの縮みの多くが製造の段階で済んでいますが、表示のない材や未乾燥材では、使い始めてから同じ程度の変化が起こる余地があります。天板を何枚も並べてはぎ合わせると、それぞれの縮みが足し算されて目立つすき間になります。
コツは、幅の広い板や板をはぎ合わせた面では、木が幅方向に動く前提で、金具や固定の方法に逃げを持たせることです。長さ方向はほとんど動かないので、気にするべきは幅方向です。
スギの気乾状態までの収縮率は、軸方向0.03%、放射方向1.1%、接線方向3.5%(石川県林業試験場の資料)。長さ方向はほとんど動かず、年輪に沿った方向が大きく動きます。反りや割れは、放射方向と接線方向の収縮率の差異から生じると説明されています。
実は、乾燥材でも伸び縮みはゼロにならない
乾燥材を選べば寸法が変わらない、と思われがちですが、実は乾燥材でも伸び縮みは続きます。乾燥材の利点は、動きを「止める」ことではなく「小さくする」ことです。
理由は、平衡含水率が一定ではないからです。石川県林業試験場の資料にあるとおり、平衡含水率は地域や季節により変動し、日本ではほぼ14〜16%の幅があります。夏の湿った時期と冬の乾いた時期では、同じ部屋の同じ材でも含水率が上下し、それに合わせてわずかに膨らんだり縮んだりします。
やりがちな失敗は、乾燥材だからと、引き出しや扉のすき間をぎりぎりに作ることです。湿気の多い季節に材が膨らみ、引き出しが動きにくくなることがあります。
コツは、乾燥材を選ぶことと、可動部に少し余裕を残すことをセットで考えることです。規格の含水率表示は、動きの量を小さくするための目安と理解しておくと、設計で無理をしなくなります。
人工乾燥材は増えている|建築用材では半数に
流通している製材のうち、人工乾燥された材の割合は増えています。売り場で乾燥材に出会いやすくなっている背景には、こうした流れがあります。
林野庁の白書(平成30年度版)では、「製品品出荷量に占める人工乾燥材の割合は増加傾向にあり、平成29(2017)年には41.5%となっている」と、ある一文がそのまま引けるわけではないので、ここは要約で紹介します。白書によると、製材品出荷量に占める人工乾燥材の割合は平成29(2017)年に41.5%、建築用材に限ると50.0%でした。
裏を返すと、人工乾燥されていない製材もまだ多く流通しているということです。DIYでやりがちなのは、売り場に並んでいるから乾燥済みだろうと思い込むことです。前の章で見たように、製材工場のJAS認証は1割程度なので、ラベルに含水率の表示がない材も珍しくありません。
注意点として、乾燥の有無は見た目だけでは判断しにくいものです。含水率の表示やDの記号を確認し、表示がなければ乾燥の程度は不明として扱うのが確実です。

合板の特類・1類・2類はどこで使い分ける?
普通合板と構造用合板は「建物を支えるかどうか」で分かれる
合板のJAS(JAS 0233:2026)では、合板がいくつかの種類に分かれています。DIYでよく比べるのが、普通合板と構造用合板です。
規格の定義では、構造用合板は、化粧ばり構造用合板以外の合板で、建築物の構造耐力上主要な部分に使用するものです。普通合板は、コンクリート型枠用合板、構造用合板、化粧ばり構造用合板、天然木化粧合板、特殊加工化粧合板以外の合板と定義されています。つまり、ほかの特定の用途に当てはまらない合板が普通合板です。
DIYでやりがちなのは、構造用合板を「普通合板より高級な合板」と受け取ることです。構造用合板は建物の構造を支える用途を想定した規格で、見た目の仕上がりを求めた製品ではありません。表面を見せたい家具には、化粧合板のほうが目的に合う場合もあります。
コツは、まず「その合板で何を支えるか、どこを見せるか」を決めてから種類を選ぶことです。強さを求める床下地や壁下地は構造用、表面を見せる部分は化粧合板、それ以外の用途は普通合板と、目的で分けると迷いません。
接着の程度は3段階、湿気の当たり方で選ぶ
合板の特類・1類・2類は、接着の程度、つまり接着層がどんな湿気の環境に耐えられるかの区分です。強さの順位ではなく、使う場所の水分環境で選ぶものです。
JAS 0233では、特類は「屋外又は常時湿潤状態となる場所(環境)において使用することを主な目的とし,4.1 の要件を満たすもの」と定められています。1類はコンクリート型枠用合板と、断続的に湿潤状態となる場所で使うことを主な目的とするもの、2類は時々湿潤状態となる場所で使うことを目的とするものです。
表示の規定では、構造用合板などは接着の程度を「特類」または「1類」と記載し、普通合板は「1類」または「2類」と記載することになっています。普通合板には特類の表示がない、という点は覚えておくと売り場で役立ちます。
| 項目 | 特類 | 1類 | 2類 |
|---|---|---|---|
| 想定する環境 | 屋外又は常時湿潤状態となる場所 | 断続的に湿潤状態となる場所(コンクリート型枠用合板を含む) | 時々湿潤状態となる場所 |
| 表示される主な種類 | 構造用合板など | 構造用合板など・普通合板 | 普通合板 |
| 選ぶときの注意 | 普通合板には特類の表示がない | 湿気がかかる時間が長い場所は特類を検討 | 常に湿る場所や屋外は想定外 |
合板の標準寸法は種類ごとに幅がある
合板の大きさにも規格上の目安があります。JAS 0233の附属書C(参考)に、種類ごとの標準寸法が示されています。
普通合板は厚さ2.3~24.0 mm、幅610~1 220 mm、長さ910~3 030 mmです。構造用合板と化粧ばり構造用合板は厚さ4.0~50.0 mm、幅610~1 240 mm、長さ1 800~3 330 mm、天然木化粧合板は厚さ3.2~6.0 mm、幅610~1 220 mm、長さ1 820~2 430 mmと、種類によって範囲が違います。コンクリート型枠用合板は厚さ12.0~24.0 mm、特殊加工化粧合板は厚さ2.3~9.0 mmです。
やりがちな誤解は、合板の大きさは1種類に決まっていると思い込むことです。規格が示しているのは範囲であり、どのサイズが売り場に並ぶかは製品や販売店によります。また、この附属書は参考扱いなので、標準寸法から外れた製品があっても規格違反というわけではありません。
コツは、設計の前に、買える合板の実際の寸法と厚さを確認しておくことです。厚さの選択肢は種類によって違うため、構造用か普通合板かを決めてから厚さを選ぶと、無駄な切断を減らせます。
屋外に2類の合板を使って接着層を傷める失敗
接着の程度の区分を知らないと、合板の使い方で失敗しやすくなります。代表的なのが、屋外や水まわりに、想定環境の違う合板を使うケースです。
2類は、時々湿潤状態となる場所での使用を目的とした区分です。雨が当たる屋外や、常に湿る場所は、規格上は特類の想定環境にあたります。2類の接着層にとって想定より厳しい環境に置くことになるため、性能が想定どおりに発揮されない恐れがあります。
状況:ベランダに置く物置台の天板に、室内用と同じ普通合板(2類)を使った。雨や結露で湿ったり乾いたりを繰り返すうちに、表面の板が浮いてきた。
原因:2類はJAS 0233で「時々湿潤状態となる場所」向けの区分です。屋外や常時湿潤の環境は特類の想定で、2類の接着層にとっては想定外の条件になります。
対策:屋外や常に湿る場所には、接着の程度が特類の合板を選び、ラベルの接着の程度の表示を確認すること。普通合板には特類の表示がないため、構造用合板などの特類品から探します。塗装による保護は塗料メーカーの使用方法に従ってください。
注意したいのは、特類を選べば何もしなくてよい、というわけではない点です。接着の程度は接着層の区分であり、木そのものの腐りにくさや表面の劣化まで保証するものではありません。屋外では、合板の種類選びと表面の保護を分けて考えるのが確実です。
木材規格から逆算するDIYの材料選び|場面別の目安
室内の棚・家具を作る人は「乾燥」と「仕上げ」の表示を見る
室内の棚や家具を作るなら、まず含水率の低い乾燥材を、次に仕上げの有無を見て選ぶのが規格に沿った選び方です。
理由は、ここまで見てきたとおり、室内に置いた材は平衡含水率(日本ではほぼ14〜16%)に向かって乾き、その過程で縮むからです。ツーバイ材ならDやD15の表示がある乾燥材、製材なら造作用のD15やSD15のように15 %の表示がある材を選ぶと、使い始めてからの変化を小さくできます。
具体例として、1×4や2×4で棚を組むなら、乾燥材の規定寸法(1×4は19×89 mm、2×4は38×89 mm)で設計し、厚さと幅は±1.5 mmの許容差がある前提で、組む前に材を当てて確認します。見える面に使う材は、自分で削らないなら仕上げ材(SD)を選ぶと表面を整える手間が減ります。
やりがちな失敗は、ビスの位置を板の端に寄せすぎて、乾燥による縮みや固定時の力で割ってしまうことです。下穴の考え方は別の記事で詳しく解説しています。

屋外・水まわりで使う人は合板の「接着の程度」を最優先に
ベランダの台や水まわりの棚など、湿気や雨が当たる場所に合板を使うなら、最初に確認するのは接着の程度です。
JAS 0233では、屋外又は常時湿潤状態となる場所は特類の想定環境です。断続的に湿る場所は1類、時々湿る場所は2類と、湿気の当たり方で3段階に分かれています。屋外に置くなら特類、室内でも水がかかる時間が長い場所なら特類か1類、というように環境から逆算して選びます。
製材を屋外で使う場合、この記事で扱った規格の範囲では、含水率の表示はわかっても、腐りにくさまでは読み取れません。樹種による違いや塗装の考え方は、樹種の記事や塗料メーカーの使用方法をあわせて確認してください。
注意点として、屋外の構造物で人が乗るものや大きな荷重がかかるものは、材の規格だけでなく、固定方法や設計の考え方も関わってきます。手に負えない規模のものは、無理に自作しない判断も大切です。
長い材や細い材が欲しい人は「たて継ぎ材」も選択肢
短い材をつないで長くした材に、接着たて継ぎ材があります。JAS 0015:2026という独立した規格があり、フィンガージョイントのように木口どうしを接着して長尺にした材を対象にしています。
この規格では、含水率は15 %以下と定められています。木口の最大寸法は短辺45 mm・長辺120 mmで、比較的細い断面の材が対象です。附属書A(参考)の標準寸法では、たとえば短辺15 mmで長辺75 mmから120 mmまでといったように、短辺ごとに選べる長辺の組み合わせが並んでいます。
DIYで見かけるのは、継ぎ目のあるホワイトウッドの細い材などです。継ぎ目があるからといって品質が劣るとは限らず、JAS品であれば含水率15 %以下という基準を満たしています。一方で、継ぎ目の模様が見た目に出るため、仕上がりを重視する部分では好みが分かれます。
コツは、見えない骨組みや長さが必要な部分にたて継ぎ材を、見せたい部分に一枚ものの材を、と役割で使い分けることです。表示がない材は、JASの基準を満たしているとは限らない点に注意してください。
売り場で迷わないための確認の順番
規格の知識は、売り場で順番に当てはめると使いやすくなります。名前より先にラベルの記号と数字を見る、というのが基本です。
突っ張り式の柱で2×4や1×4を使う場合も、この順番は同じです。規格の実寸がわかっていれば、金具との相性や必要な長さを正しく計算できます。
まとめ
木材の規格は、難しい専門書を読まなくても、製材・ツーバイ材・合板・たて継ぎ材の4つのJASに分けて考えれば、売り場のラベルがそのまま読めるようになります。名前と実寸が違うのは寸法型式が呼び名だから、乾燥材を選ぶのは平衡含水率に近いほど使い始めてからの縮みが小さいから、合板の類を選ぶのは接着層が想定する湿気の環境が違うから、と理由がわかれば材料選びで迷う場面は減っていきます。最初の一歩として、次にホームセンターへ行ったときは、手に取った材のラベルでDやSD、特類・1類・2類の表示を探し、この記事の表と照らし合わせてみてください。
※規格は改正されることがあります。最新情報は農林水産省・林野庁の公式サイトでご確認ください。

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