竹で花器や照明、竹垣の部材をつくろうとして、手持ちのドリルで穴をあけたら縦に裂けてしまった。そこから竹用ドリルという道具を調べ始めた人は多いはずです。竹は木の仲間のように見えますが、繊維のそろい方が木とは違う材料なんです。
先に結論をお伝えします。竹用ドリルは、縦に繊維が走って割れやすい竹のために、刃先を工夫した穴あけ用のビットです。兵庫県三木市のドリルメーカーであるスターエムが、尺八の製造者からの依頼を受けて商品化したと地元紙で紹介されています。ただ、刃先を替えるだけで割れがなくなるわけではありません。竹をしっかり固定すること、仕様に書かれた回転数と使用機器を守ることがセットになります。
この記事では、林野庁の竹材の解説、マキタのドリルドライバー取扱説明書、販売店に掲載された竹用ドリルの仕様をもとに話を進めます。竹が割れる理由、刃先の違い、インパクトドライバーで使うときの考え方、穴あけの手順、安全の注意までを理屈から整理します。
・竹用ドリルが生まれた経緯と、木工用ドリルで竹が割れやすい理由
・刃先径8.0mm・最大穴あけ深さ40mmなど、仕様表の読み方
・インパクトドライバー(14.4V以上)で使うときの回転数の考え方
・クランプ固定から始める穴あけ手順と、取扱説明書が求める安全の注意
竹用ドリルとは?尺八づくりの依頼から生まれた専用ビット

竹の割れを抑えるために刃先を工夫したビット
竹用ドリルは、竹に穴をあけるために刃先の形を工夫した先端工具です。電動工具に取り付けて使うビットの一種で、見た目はふつうの木工用ドリルとよく似ています。違いが出るのは、材料に最初に食い込む刃先の部分です。
この道具が必要とされる理由は、竹という材料の性質にあります。神戸新聞の記事では、竹専用ドリルを商品化した背景として「縦に繊維が走る竹は、一般的な木工用ドリルを使うと割れやすい」と説明されています(神戸新聞)。木工用ドリルは木材に穴をあける前提で設計されているため、繊維が一方向にそろった竹では、刃が食い込む力がそのまま裂ける力として働いてしまう場面があるわけです。
家でやるDIYでよくあるのは、棚づくりで使っている木工用ドリルを竹にそのまま流用し、穴の周囲から縦に割れが走ってしまうケースです。竹は丸く中空なので、割れが入ると節から節まで一気に広がることもあります。
選ぶときは、商品名だけでなくパッケージや販売ページの対応素材の欄に竹が入っているかを確認しましょう。竹用と書かれていても、使用機器や回転数の条件は製品ごとに違うので、仕様欄まで目を通すのが確実です。
尺八の製造者からの依頼で商品化された背景
竹用ドリルは、竹を加工する現場の困りごとから生まれた道具です。神戸新聞の記事によると、スターエムは1923年創業の木工用ドリルメーカーで、記事掲載時点から約10年前に尺八の製造者からの依頼を受け、刃先を工夫して竹専用ドリルを商品化したと紹介されています。
尺八は竹の管に指穴をあけてつくる楽器です。穴の周りに割れが入れば音にも見た目にも影響するので、割れにくい穴あけへの要求が強い分野といえます。そうした現場からの依頼に、木工用ドリルを長く手がけてきたメーカーが刃先の工夫で応えた、という流れです。
ここで注意したいのは、記事が伝えているのは刃先を工夫したという事実までで、刃先の角度や形状の詳しい設計値は公開資料からは確認できないことです。ネット上には竹用ドリルの仕組みをくわしく解説した文章も見かけますが、メーカーが公表していない設計の話を、事実として受け取らないようにしたいところです。
道具の背景を知っておくと、竹用ドリルが竹の繊維を相手にするための道具だということが腑に落ちます。そのうえで、仕様欄の対応素材・使用機器・回転数を確認して使う、という順番で考えると迷いません。
仕様を見ると何がわかる?8.0mmの1本を例に
仕様表を読むと、その竹用ドリルをどの工具で、どれくらいの深さまで、どの速さで使えばよいかがわかります。ここではスターエムの竹用ドリル601-080(8.0mm)を例に、販売店(カインズ)の商品ページに掲載された値を整理します。
なお、この製品はメーカー公式の製品ページを確認できておらず、以下はすべて販売店の商品ページに掲載された値です。購入前には、手に取ったパッケージの表示とも照らし合わせてください。
| 種類・方式 | 竹用ドリル(六角軸)。材質は炭素鋼(ニッケルめっき)、生産国は日本 |
| 主な仕様 | 刃先径8.0mm/全長80mm/軸径6.35mm(六角軸)/最大穴あけ深さ40mm/重量17g |
| 向いている作業・材料 | 一般木材、堅木、竹、塩ビ、アクリル、硬質ゴム。使用機器はインパクトドライバー(14.4V以上)、ドリルドライバー(14.4V以上)、電動ドリル、ボール盤 |
| 使い方のコツ・注意 | 適正回転数は3,000回転/分以下。刃先が鋭角タイプで位置決めしやすいとされる |
価格と購入先はどこで確かめる?
価格は販売店や時期によって変わるため、この記事では金額を載せず、確認する場所だけをお伝えします。竹用ドリルはホームセンターの先端工具売り場や各社の通販で扱われていることがありますが、取扱いの有無は店舗ごとに違います。
確認の軸になるのは、価格よりも先に、自分の工具と穴の大きさに合う仕様かどうかです。竹用ドリルは刃先径ごとに品番が分かれていることが多く、同じシリーズでも刃先径が違えば全長や最大穴あけ深さが変わる可能性があります。今回の601-080で掲載されている全長80mm・最大穴あけ深さ40mmという値も、8.0mmの1本についての値です。別の径を選ぶなら、その径の仕様欄を個別に確認する必要があります。
やりがちなのは、通販の検索結果で竹用と名前のつく商品をまとめて比べ、軸の形や使用機器の欄を見ずに買ってしまうことです。六角軸か丸軸かで取り付けられる工具が変わるので、ここを見落とすと手持ちの工具に付かないことがあります。
購入前は、刃先径・軸径・使用機器・適正回転数の4項目を、手持ちの工具の取扱説明書と並べて確認しておくと失敗が減ります。
なぜ竹は木工用ドリルで割れやすいのか
組織がすべて軸方向にそろっているから
竹が割れやすい一番の理由は、組織が縦一方向にそろっていることです。林野庁の竹材の解説では「竹材は、すべての組織が軸方向に平行に並んでいるため、繊維方向に強度があり」と説明されています(林野庁 竹材の性質)。
これ、引っ張りや曲げには強い反面、繊維と繊維の間を引き離す方向の力には逆らいにくい構造なんですよ。竹を縦に割る竹割りが成り立つのも、繊維が一方向にそろっているからです。ドリルの刃先が竹に食い込むと、刃が押し広げる力が繊維の間に入り込み、くさびを打ち込んだのと似た状態になります。繊維方向に強いという性質が、穴あけでは割れの通り道になってしまうわけです。
家でよくあるのは、竹の筒を横から見て、節と節の間のまん中に穴をあけようとするケースです。繊維が切れずにつながっている区間なので、割れが入ると節の手前まで縦に伸びやすくなります。
穴の位置を決めるときは、竹の繊維が縦に走っていることを意識し、刃先が食い込む瞬間の押し広げる力をどう抑えるかを考えるのが出発点です。
軸方向:竹の稈(かん)が伸びる縦の方向のこと。林野庁の解説では、竹材の組織はすべてこの方向に平行に並ぶとされています。
繊維方向:繊維が並ぶ向き。竹ではほぼ軸方向と同じで、この向きには強い一方、繊維どうしを引き離す力では割れの原因になります。
六角軸:ビットの差し込み部分が六角形のもの。インパクトドライバーの差込口に入る形です。
表皮に近いほど繊維が密で、内側と外側で性質が違う
竹は、外側と内側で同じ材料ではありません。林野庁の解説では、表皮に近いほど繊維の密度が高く、しなやかで折れにくいとされています。つまり竹の肉厚の中に、密な層と比較的まばらな層が重なっているイメージです。
この性質は、ドリルが竹を貫いていく途中で、刃が受ける抵抗が変わることを意味します。外側の密でしなやかな層、内側の層、という具合に、刃先が進むにつれて当たる材の性質が変わるわけです。穴あけの途中で手応えが変わったときに慌てて押し込むと、刃先の押し広げる力が急に強まり、割れのきっかけになりかねません。
竹細工でよくあるのは、表皮のツルツルした面に刃先を当てて、滑ったはずみで力を入れ直すことです。表皮の側は密で硬さもあるので、刃先が定まるまで時間がかかる場面があります。
コツは、穴あけの間ずっと同じ調子で押すことにこだわらず、手応えの変化を感じたら押す力をゆるめて刃に仕事をさせることです。具体的な送りの速さは公開資料に数値がないので、材の反応を見ながら控えめにするのが安全です。
成分は木材とほぼ同じなのに、割れ方が違う理由
竹の成分そのものは、木材とほぼ同様だとされています。林野庁の解説にもそう書かれています。それでも割れ方が違うのは、成分ではなく組織の並び方、つまり構造の違いによるものと考えると理解しやすいです。
木材は樹種によって組織の並びや密度がさまざまで、年輪の重なりもあります。一方の竹は、先ほどの林野庁の解説のとおり組織がすべて軸方向にそろい、しかも中が空洞の筒です。肉厚が限られた筒に、繊維が一方向だけに並んでいる。この形が、刃先の押し広げる力に対して逃げ場の少ない構造になっていると考えられます。
やりがちな誤解は、竹も木だから木工用の道具でそのまま扱えるはず、という思い込みです。材料の中身が似ていても、形と並び方が違えば工具の効き方も変わります。
木材のほうの密度や樹種ごとの違いは、別の記事でくわしくまとめています。木と竹を見比べると、竹の特殊さがよくわかるはずです。

やりがちな失敗:手持ちの木工用ドリルでそのまま竹に穴をあける
竹の穴あけで多い失敗は、木材用に買ったドリルをそのまま竹に使い、穴のまわりから縦に割れを走らせてしまうことです。原因は、ここまで見てきた竹の構造と、木工用ドリルの前提とのずれにあります。
神戸新聞の記事が伝えるとおり、縦に繊維が走る竹は一般的な木工用ドリルでは割れやすいとされています。木材なら問題なく通る刃でも、竹では刃先が食い込む瞬間の力が繊維の間を押し広げてしまうためです。
状況:棚づくりで使った木工用ドリルを、竹の花器や竹垣の部材にそのまま使う。
原因:竹は組織が軸方向にそろっていて、刃先の押し広げる力が繊維の間に入りやすい。
対策:対応素材に竹が入ったビットを選び、竹をクランプや万力で固定してから、仕様の回転数を守って穴をあける。
対策は、道具・固定・回転数の3つをそろえることです。竹用ドリルを用意しても、竹が動いたり回転数が仕様を超えたりすれば割れの原因は残ります。どれか1つで解決しようとせず、3つをまとめて見直すのが近道です。
刃先が鋭角だと何が変わる?仕様表の読み方

位置決めが簡単になるのは、刃先が一点で当たるから
竹用ドリル601-080の販売ページでは、刃先の特徴について「刃先が鋭角タイプで材への位置決めが簡単です」と書かれています(カインズ 商品ページ)。結論として、狙った位置に刃先を置きやすいことが、この刃先の利点として案内されています。
竹は表面が丸く、表皮がなめらかです。平らな板とは違い、刃先を当てたときに接する面が狭く、狙いがずれやすい材料だと考えられます。刃先が鋭角で一点に当たる形なら、回し始める前に刃先を目的の位置へ置きやすくなる、という理屈です。
やりがちなのは、刃先の位置が定まらないまま高い回転で回し始めることです。刃先が表皮の上を走ると、穴の位置がずれるだけでなく、慌てて押し付け直す動きが割れのきっかけになります。
位置決めのコツは、刃先を当てた状態で回し始め、刃先が竹に入ったことを確認してから少しずつ進めることです。なお、鋭角の刃先がどの程度割れを抑えるかという定量的なデータは公開資料にないため、刃先の形だけに頼らず固定と回転数も合わせて管理しましょう。
対応素材は竹だけではない
竹用という名前ですが、601-080の対応素材として掲載されているのは「一般木材、堅木、竹、塩ビ、アクリル、硬質ゴム」です(カインズ 商品ページ)。竹専用というより、竹にも使えるよう工夫された木工系のドリルと捉えるのが実態に近いです。
この幅の広さは、DIYでは使い回しの面で助かります。竹垣の支柱まわりに木材を組み合わせたり、照明の台座に塩ビやアクリルを使ったりと、竹細工では異素材と組み合わせる場面が少なくありません。対応素材に入っている材料なら、同じ1本で穴をあけられる可能性があります。
注意したいのは、ここに金属が入っていないことです。対応素材の欄にない材料へ流用すると、刃先を傷めたり、思わぬ引っかかりが出たりするおそれがあります。たとえば竹垣を留める金物に穴を追加したいときは、別の金属用ビットを用意しましょう。
竹用ドリルを買うときは、名前ではなく対応素材の欄を見る習慣をつけると、ほかの材料との組み合わせ作業でも迷わなくなります。
最大穴あけ深さ40mm・全長80mmの読み方
601-080の掲載値では、全長が80mm、最大穴あけ深さが40mmです。全長のうち、実際に材料へ入っていける長さの上限が40mmだと読み取れます。残りの長さは、工具に差し込む軸の部分や、刃と軸のつなぎの部分にあたると考えるのが自然です。
この値が大事になるのは、竹の筒を貫通させたいときです。竹は中空なので、片側の肉厚を貫いて終わる穴なのか、筒の反対側まで抜ける穴なのかで必要な深さが変わります。反対側まで一度に抜こうとすると、竹の太さによっては最大穴あけ深さを超えてしまうことがあります。
やりがちなのは、穴が浅いからと軸の部分まで押し込んでしまうことです。最大穴あけ深さを超えた使い方は、仕様が想定していない範囲になります。
コツは、作業前に竹の太さを測り、穴の深さが最大穴あけ深さに収まるかを確認しておくことです。収まらない場合は、片側ずつ穴をあけて位置を合わせるなど、深さの範囲内で作業を組み立てます。
| 項目 | 601-080の掲載値 | 何がわかるか | 確認のポイント |
|---|---|---|---|
| 刃先径 | 8.0mm | あく穴の大きさ | 通したい部材の太さに合うか |
| 全長/最大穴あけ深さ | 80mm/40mm | 材に入れられる長さの上限 | 竹の太さと貫通させるかどうか |
| 軸径 | 6.35mm(六角軸) | 取り付けられる工具 | 手持ち工具の差込口・チャック |
| 適正回転数 | 3,000回転/分以下 | 回してよい速さの上限 | 工具の変速・回転数の表示 |
| 使用機器 | インパクト・ドリルドライバー(各14.4V以上)、電動ドリル、ボール盤 | 想定している工具の種類 | 手持ち工具の電圧と種類 |
| 対応素材 | 一般木材、堅木、竹、塩ビ、アクリル、硬質ゴム | 流用できる材料の範囲 | 金属は含まれていない |
刃先径8.0mmと軸径6.35mmの六角軸
刃先径と軸径は別の値です。601-080では、穴の大きさを決める刃先径が8.0mm、工具に差し込む軸は6.35mmの六角軸と掲載されています。あく穴の大きさは刃先径で、付けられる工具は軸の形で決まる、と分けて考えるのがポイントです。
六角軸は、インパクトドライバーの差込口にそのまま入る形です。ドリルドライバーのチャックでもつかめる場合が多く、たとえばマキタの充電式ドライバドリルDF481D(2021年に後継のDF486Dが出た従来機)の取扱説明書では、チャック能力が1.5〜13mmと記載されています。6.35mmの軸はこの範囲に入ります。
やりがちなのは、刃先径だけを見て選び、軸の形を確認しないことです。丸軸のビットはインパクトドライバーの差込口には入りません。逆に六角軸なら、インパクトとドリルドライバーの両方で使える可能性が広がります。
穴の大きさに合わせてビットを選ぶ考え方は、大径の穴をあけるボアビットでも同じです。軸の太さが刃先径によって変わる例も含めて、別の記事で整理しています。

インパクトドライバーで使ってもいい?電圧と回転数の考え方
使用機器に14.4V以上の2機種が並ぶ意味
601-080の使用機器には、インパクトドライバー(14.4V以上)とドリルドライバー(14.4V以上)が並んでいます。結論として、この製品はインパクトドライバーでの使用も想定されていると読めます。ただし電圧の条件がついている点は見落とせません。
バッテリーの電圧は、工具が出せる力の大きさに関わる値です。14.4V以上という条件は、穴あけに必要な力を安定して出せる工具を想定していると考えられます。電圧が足りない工具で無理に回すと、途中で回転が落ちて刃先が材に引っかかり、そこで力を入れ直す動きが割れのきっかけになるおそれがあります。
家でよくあるのは、小型の10.8Vクラスの工具しか持っていないのに、そのまま使ってしまうケースです。使用機器の条件から外れる使い方になるので、まずは手持ち工具のバッテリーに書かれた電圧を確認しましょう。
インパクトドライバーの電圧ごとの違いは、別の記事でもくわしく扱っています。電圧はバッテリー本体と工具の銘板の両方に表示されているので、作業前に一度見ておくと安心です。
適正回転数3,000回転/分以下は何を表すか
適正回転数3,000回転/分以下という表示は、このビットを回してよい速さの上限です。1分あたりの回転数でこれを超えない範囲で使うことが、製品側の前提になっています。
回転数の上限が決められている理由について、販売ページに詳しい説明はありません。ただ、回転が速いほど刃先が材に当たる回数は増え、材への入り方も変わります。繊維が一方向にそろった竹では、刃先が材に入る瞬間の衝撃をできるだけ穏やかにしたい、と考えると上限の意味が見えてきます。
やりがちな失敗は、手持ちの工具を最高速のまま使い、表示の回転数を超えてしまうことです。インパクトドライバーやドリルドライバーには、トリガーの引き具合で回転が変わる変速の仕組みや、回転数の切り替えがついている機種が多くあります。その工具の最高回転数がどれくらいかは、取扱説明書や銘板の仕様欄で確認できます。
コツは、工具の仕様欄で無負荷回転数を確認し、3,000回転/分を超える可能性があるなら、切り替えやトリガーの加減で回転を抑えることです。速さを出すより、刃先が竹に入る瞬間を丁寧にするほうが、割れを防ぐうえで理にかなっています。
ドリルドライバーで使うときのチャックと六角軸
ドリルドライバーでも、六角軸の竹用ドリルはチャックにくわえて使えます。マキタの充電式ドライバドリルDF481Dの取扱説明書では、チャック能力が1.5〜13mm、木工穴あけ能力がφ50mmと記載されています。軸径6.35mmはチャック能力の範囲内です。
ドリルドライバーは打撃をせずに回転だけで穴をあける工具です。インパクトドライバーのように回転方向の打撃が加わらないため、刃先が材に入るときの動きは比較的なめらかになると考えられます。竹のように割れやすい材料で、刃の入り方を穏やかにしたい場面では、選択肢として検討する価値があります。
注意したいのは、取り付けの確実さです。同じ取扱説明書には、ビットなどの工具類は取扱説明書に従って確実に取り付けるよう書かれており、その理由として「確実でないと、はずれたりし、けがの原因になります。」と示されています(マキタ DF481D 取扱説明書)。
チャックで六角軸をくわえるときは、軸の角がチャックの爪にしっかり当たっているかを確認してから締めましょう。他社の工具では表記や手順が異なることがあるので、必ず手持ち工具の説明書で確認してください。
電動ドリル・ボール盤も挙がっている
使用機器の欄には、インパクトドライバーとドリルドライバーのほかに、電動ドリルとボール盤も挙がっています。充電式のドライバー系だけでなく、コード式の電動ドリルや据え置きのボール盤でも使える想定ということです。
ボール盤は、ドリルを垂直に下ろしていく据え置きの機械です。手持ち工具と違い、刃がまっすぐ下りるので、穴の角度がぶれにくいのが特徴です。竹のように丸く、刃先が逃げやすい材料では、角度のぶれが少ないことは割れを防ぐうえでも有利に働くと考えられます。
一方で、どの機器でも共通するのが回転数の上限です。電動ドリルやボール盤は機種によって回転数の設定方法が違うため、3,000回転/分以下に合わせられるかを各機種の取扱説明書で確認する必要があります。
竹の穴あけは固定から始まる|割れにくい手順

クランプや万力で固定する理由
竹に穴をあけるとき、最初にやるべきことは竹を固定することです。マキタの充電式ドライバドリルDF481Dの取扱説明書では、安全上の注意として材料をしっかり固定するよう求めており、「材料を固定するために、クランプや万力などを利用してください。」と書かれています(マキタ DF481D 取扱説明書)。
同じ説明書では、その理由として、手で保持するより安全で、両手で充電工具を使えることが挙げられています。両手で工具を支えられれば、刃先の向きや押す力が安定します。竹は丸く転がりやすいので、固定していないと刃先が当たった瞬間に竹ごと回ったり、ずれたりします。そのずれを止めようと押す力を強めると、刃先の押し広げる力も強まってしまいます。
竹細工でよくあるのは、作業台の端に竹を置き、片手で押さえながらもう片方の手で工具を回すやり方です。手軽に見えますが、取扱説明書が勧める方法ではありません。
固定の方法は、作業台にクランプで留める、万力にはさむなど、手持ちの道具に合わせて選べます。大事なのは、刃先を当てても竹が動かない状態を作ってから回し始めることです。
丸い竹を押さえるときの考え方
丸い竹を固定するときは、竹の丸みでクランプが滑らないこと、締め付けすぎて竹をつぶさないことの2点を意識します。竹は中空の筒なので、平らな板と同じ感覚で締めると、締める力が筒の側面に集中します。
林野庁の解説のとおり竹は繊維方向には強い材料ですが、筒を横から押しつぶす力は繊維と繊維の間に働きます。穴あけで割れやすい理由と同じ構造が、締め付けでも割れのきっかけになりうるわけです。どれくらいの力なら安全かという数値は公開資料にないため、竹が動かない程度で止めるのが現実的です。
万力で竹をはさむときに竹の丸みに合う当て木を使う方法もありますが、これは固定を安定させるための工夫の一つで、取扱説明書が求めているのはあくまで材料をしっかり固定すること自体です。
状況:短い竹だからと、片手で竹を握り、片手で工具を回す。
原因:丸い竹は刃先が当たると回ったりずれたりしやすく、止めようとして押す力が強まる。片手では工具の向きも安定しない。
対策:取扱説明書のとおり、クランプや万力で竹を固定し、両手で工具を支えてから回し始める。
位置決めしてから回す
固定が済んだら、刃先を穴の位置に置き、刃先が竹に入ったのを確かめてから進めます。刃先が鋭角タイプの竹用ドリルは位置決めが簡単とされていますが、その利点を活かすには、回し始めの瞬間を丁寧にすることが欠かせません。
理由は、刃先が表皮の上で定まらないまま回転を上げると、刃先が滑って狙いがずれるうえ、慌てて押し直す動きが割れのきっかけになるからです。竹の表皮側は繊維が密で、刃先が入るまでに時間がかかる場面があります。
やりがちなのは、最初から回転を上げて一気に通そうとすることです。工具の変速を使い、ゆっくり回し始めて刃先が入ってから回転を上げていくと、刃先の動きが落ち着きます。ここでも3,000回転/分以下という上限は守ります。
深い穴は最大穴あけ深さを超えない段取りで
竹の筒を貫通させたいときは、一度で抜こうとせず、最大穴あけ深さの範囲で作業を組み立てます。601-080なら最大穴あけ深さは40mmです。竹の太さがこれを超えるなら、一度で反対側まで抜くのは仕様の範囲外になります。
竹は中空なので、片側の肉厚を抜けたところで刃先は一度空洞に出ます。そこから反対側の内側に刃先が当たるとき、外から位置を確認できないため、穴の位置がずれやすくなります。反対側にも穴が必要なら、外側から改めて位置を決めて別にあけるほうが、ずれも割れも抑えやすいと考えられます。
やりがちなのは、空洞に出た瞬間に手応えがなくなり、そのまま勢いで反対側にぶつけてしまうことです。手応えが変わったら押す力をゆるめるのが基本です。
穴の抜けぎわで起きる失敗や、回転数・下穴・固定の考え方は、木材や金属も含めた穴あけ全般の記事で詳しくまとめています。

実は道具より先に、竹そのものの状態を見たい
林野庁が最良とする3〜5年生の竹
意外と知られていないけれど、竹の割れにくさは道具だけでなく、使う竹そのものの状態にも左右されます。林野庁の解説では「竹の種類や用途によって異なりますが、竹材として利用するのは3~5年生の竹が最良で、伐採時期は一般的に生長の休止時期である晩秋から初冬が適期」とされています(林野庁 竹材の性質)。
竹は年数によって状態が変わる材料で、林野庁は材として使うなら3〜5年生がよいと案内しています。DIYで扱う竹は、購入した竹材のほか、知人の竹林から分けてもらったものなど出どころがさまざまです。何年生の竹なのかわからないまま使うことも多いでしょう。
やりがちなのは、穴あけで割れたときに原因をすべてドリルのせいにして、ビットを替え続けることです。竹の状態に原因がある可能性を考えないと、道具を替えても同じ失敗を繰り返しかねません。
竹材を購入するときは、販売元が年数や伐採時期を表示しているか確認してみましょう。表示がなければ問い合わせてみるのも一つの方法です。
伐採は晩秋から初冬が適期とされる理由
林野庁の解説では、伐採時期は生長の休止時期である晩秋から初冬が適期とされています。ポイントは、生長が止まっている時期だという理由づけです。竹が盛んに伸びている時期を避けて伐ることが、材として使うための前提になっています。
竹垣や竹細工の材料を自分で伐り出す場合、この時期を意識するかどうかで、手元に来る竹の状態が変わると考えられます。ただし、時期を外すとどのような性質になるのかといった具体的な数値は、林野庁のページには示されていません。ここでは適期があるという事実だけを押さえておけば十分です。
やりがちなのは、思い立った季節にすぐ竹を伐り、そのまま加工に入ってしまうことです。急ぐ作業でなければ、伐る時期から計画しておくと、材料選びの段階で失敗の芽を減らせます。
竹材を自分で用意するなら、まずは伐採の時期を計画に組み込み、そのうえで穴あけの道具と手順をそろえる。この順番で考えると、道具だけに頼らない竹の扱い方ができます。
含水率や乾燥割れは、公的資料に数値がない
竹の乾燥と割れの関係はよく話題になりますが、林野庁の竹材の性質のページには、含水率や乾燥割れについての数値の記述はありません。乾燥させてから穴をあけるべきか、何日乾かせばよいかといった具体値は、少なくともこの公的資料からは確認できないということです。
ネット上では、竹は何か月乾かすべきといった情報も見かけます。ただ、その根拠が示されていないものも多く、竹の種類や太さ、保管環境によっても条件は変わるはずです。根拠のわからない数値を正解として受け取るのは避けたいところです。
やりがちなのは、伐ったばかりの竹にも乾ききった竹にも、同じ感覚で穴をあけてしまうことです。状態が違えば手応えも変わる可能性があるので、本番の前に端材で試し穴をあけ、割れの出方を確認しておくと安心です。
竹の割れは、ドリルの刃先だけで決まるものではありません。林野庁は材として使う竹を3〜5年生が最良、伐採は晩秋から初冬が適期としています。道具をそろえる前に竹の出どころと状態を確かめ、本番前に端材で試し穴をあける。この順番が、割れの失敗を減らす近道です。
安全と使い分け|手袋・ビット交換・作業別の考え方
軍手のような巻き込まれやすい手袋は避ける
電動工具で穴をあけるとき、軍手のように回転部に巻き込まれやすい手袋は着用しないのが基本です。マキタの充電式ドライバドリルDF481Dの取扱説明書では、軍手など巻き込まれる恐れがある手袋を着用しないよう求め、その理由として「回転部に巻き込まれ、けがの原因になります。」と書かれています(マキタ DF481D 取扱説明書)。
竹は表皮のささくれや切り口の繊維が手に刺さりやすく、手を守ろうと軍手をはめたくなる材料です。けれども、回転するビットのそばでは、布の手袋が繊維ごと引き込まれる危険があります。手を守るつもりの手袋が、かえって事故の原因になるわけです。
竹の切り口から手を守ろうとして軍手をはめたまま回転工具を使うのは、取扱説明書が避けるよう求めている使い方です。手を守る工夫は、竹をクランプや万力で固定して手を回転部から離すことから考えましょう。保護具の選び方は、使う工具の取扱説明書の注意事項に従ってください。DF481Dの取扱説明書では、作業時は常に保護メガネを使用し、粉じんの多い作業では防じんマスクを併用するよう求めています。
ビット交換はバッテリを抜いてから
竹用ドリルを取り付けたり取り外したりするときは、必ずバッテリを抜いてから行います。マキタの取扱説明書では「ビットや付属品などの取り付け・取りはずしの際は必ずバッテリを抜いて」と書かれています(マキタ DF481D 取扱説明書)。
取扱説明書はその理由を「本機が作動して、けがの恐れがあります。」と示しています。交換の最中に工具が動き出せば、チャックや先端工具を触っている手がけがをするということです。竹の作業では、穴の大きさに合わせてビットを替えたり、竹用ドリルと木工用・金属用のビットを行き来したりと、交換の回数が増えがちです。回数が増えるほど、バッテリを付けたまま交換する油断も起きやすくなります。
やりがちなのは、ちょっとした交換だからとバッテリを付けたままチャックを回すことです。慣れてくるほど省略したくなる手順ですが、取扱説明書が必ずと書いている点は守りましょう。
取り付けたあとは、ビットが確実に固定されているかを確かめます。六角軸なら差込口に奥まで入っているか、チャックなら爪が軸をしっかりくわえているかを、回す前に一度見ておくと安心です。
作業直後のビットと切りくずは熱くなっている
穴をあけた直後の竹用ドリルと切りくずには、手で触れないようにします。マキタの取扱説明書では「作業直後のビットや切りクズは大変熱くなっていますので、触れないでください。」とし、その理由を「やけどの原因になります。」と示しています(マキタ DF481D 取扱説明書)。
穴あけでは、刃先と材がこすれ合うことで熱が生じます。竹は繊維が密な表皮側を刃が通るので、穴あけの途中で手応えが続く場面があります。続けて何か所も穴をあけると、ビットに熱がこもりやすくなると考えられます。
やりがちなのは、穴あけが終わってすぐ、詰まった切りくずを指で取り除こうとすることや、ビットを交換しようと素手でつかむことです。どちらも熱くなった部分に直接触れる動きです。
連続して穴をあけるときは、ビットが冷めるのを待つ時間を作業計画に入れておきましょう。切りくずは手ではなく、ブラシなどで払うようにすると、熱にも竹の繊維のささくれにも触れずに済みます。
シーン別:尺八・竹細工、竹垣の部材、異素材との組み合わせ
竹用ドリルの使い方は、作業の目的によって気をつける点が変わります。読者のタイプ別に整理すると、次のようになります。
竹細工や竹の楽器づくりをしたい人は、穴の位置と仕上がりの見た目が重要です。竹専用ドリルが尺八の製造者からの依頼で生まれたという経緯を考えると、まさにこの用途が出発点です。固定と位置決めを丁寧にし、本番前に端材で試し穴をあけて割れの出方を確認しましょう。
竹垣など屋外の部材をつくりたい人は、竹の本数が多く、穴あけの回数も増えがちです。ビットに熱がこもりやすくなるので、冷ます時間を挟み、交換時のバッテリ抜きを省略しないことが大切です。竹を留める金物に穴を追加する場合は、竹用ドリルの対応素材に金属が含まれていない点に注意してください。
竹と塩ビ・アクリルを組み合わせたい人は、601-080の対応素材に塩ビやアクリルも含まれている点が役立ちます。ただし材料が変われば手応えも変わるので、それぞれ回転数の上限を守り、材ごとに試し穴をあけてから本番に入るのが安心です。
まとめ
竹の穴あけで割れを防ぐには、竹用ドリルという道具、クランプや万力による固定、仕様に書かれた回転数と使用機器の条件という3つをそろえることが大切です。どれか1つを替えるだけでは、竹が縦に割れる原因は残ってしまいます。最初の一歩としては、手持ちの工具の取扱説明書を開いて電圧と回転数を確認し、竹の端材を固定して試し穴を1つあけてみてください。手応えと割れの出方を確かめてから本番に入れば、竹ならではの失敗をぐっと減らせます。
※製品の仕様や取扱いは変更されることがあります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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