角パイプで棚の枠を組みたい、アルミの板を金具に留めたい、でもネジを裏から押さえる手が入らない。そんなときに名前が出てくるのが「リベット止め」です。ただ、ネジと何が違うのか、どのくらいの強さなのか、どの材質を選べばいいのかは、パッケージを見てもなかなか分かりません。
先に結論を言うと、リベット止めは部品を変形させて(かしめて)抜けなくする、外すことを前提にしない留め方です。片側から作業できるのが最大の長所で、その代わりにネジのように回して外したり、締め直したりはできません。そしてもう一つ、意外と見落とされるのが母材とリベットの金属の組み合わせです。アルミとステンレスのように違う金属を雨の当たる場所で組み合わせると、接触部から腐食が進むことがあります。
この記事では、JIS の規格とリベットメーカーのロブテックスが公開している総合カタログ・強度規格表を一次情報にして、リベット止めの仕組み、ネジや溶接との違い、強度の数字の読み方、サイズと材質の選び方、そして電食(異種金属接触腐食)の避け方までを理屈から整理します。
・リベット止めが「かしめ」で抜けなくなる仕組みと、中実リベット/ブラインドリベットの違い
・ネジ・ボルト・溶接と比べたときの長所と弱点(外せない・孔が広がる場合がある)
・品番の数字から下穴径・板厚・強度を読む方法(JIS B 1087 とメーカー値)
・アルミ×ステンレスで錆びる理由と、メーカーが示す5つの電食対策
リベット止めとは?「かしめ」で抜けなくする仕組みと2つの系統

ネジは「回して締める」、リベットは「潰して広げる」
リベット止めをひとことで言うと、穴に通した部品の端を変形させて、抜けない形にしてしまう留め方です。ネジがらせん状の山と谷で材料に食い込み、回す力で締め付けるのに対して、リベットは回しません。穴を通した軸の端を潰したり広げたりして、板を両側から挟み込む形をつくります。この「変形させて固定する」作業がかしめです。
この仕組みの違いが、性質の違いにそのままつながります。ネジは回せば外れますが、リベットはかしめた部分をもとに戻す構造がありません。つまり、リベット止めは基本的に一度きりの留め方です。DIYでやりがちなのが、試しに仮留めのつもりでリベットを打ってしまい、位置がずれていても直せなくなるケースです。原因はネジの感覚で「あとで調整できる」と考えてしまうことにあります。
だからこそ、リベットを打つ前に、穴の位置合わせをクランプやテープで固定して確認しておくのがコツです。打った後に変えられないものは、打つ前に決め切る。これがリベット止め全体に通じる考え方です。
昔ながらの「中実リベット」はJIS B 1213で5つの頭形に分かれる
リベットには大きく2つの系統があります。1つめは、軸の中まで詰まった棒状の中実リベットです。橋や鉄骨の写真で見かける丸い頭が並んだ接合部は、この系統の仲間です。冷間で成形したリベットはJIS B 1213:1995(冷間成形リベット)で規定されていて、頭部の形は丸リベット・小形丸リベット・皿リベット・薄平リベット・なべリベットの5種類、材料は鋼・黄銅・銅・アルミニウムが対象になっています。
中実リベットは、板の両側に作業者がいる前提の部品です。片側で頭を受け止め、反対側に飛び出した軸の先をハンマーや専用工具で潰して2つめの頭をつくります。つまり、裏側に手や当て盤が届かない場所には打てません。角パイプの内側や、壁に付いたままの板に中実リベットを使おうとして、裏から受ける手段がなく作業が止まる、というのがよくある行き詰まり方です。
家庭のDIYで中実リベットを選ぶ場面は、裏表どちらにも手が届く薄い板どうしの接合に限られます。頭の形を選ぶときは、表面をフラットにしたいなら皿リベット、出っ張りを気にしないなら丸リベット、というように規格の頭形の名前で探すと商品を見つけやすくなります。
DIYの主役は片側から打てる「ブラインドリベット」
2つめの系統が、ホームセンターでリベッターとセットで並んでいるブラインドリベットです。「ブラインド」は裏側が見えない、という意味で、片側からの作業だけで締結できるのが最大の特徴です。中空の筒状のボディに、マンドレルと呼ばれる芯棒が通った構造になっています。
リベッターでマンドレルを引っ張ると、マンドレルの頭がボディの先端を内側から押し広げ、裏側でボディが膨らんで板を挟み込みます。一定の力に達するとマンドレルがちぎれて、表側には頭だけが残ります。ロブテックスの総合カタログでは、作業の流れを「母材に下穴をあける→ブラインドリベットを挿入する→リベッターをセットする→ハンドル操作を行う→締結が完了する」の5段階で示しています。
やりがちな失敗は、ちぎれたマンドレルの破片をそのまま放置することです。細い鋼の棒なので、床に落ちていると踏んだり、家電の中に入り込んだりします。作業場所の下に箱やシートを置いて受け止めておくと片付けが楽になります。ブラインドリベットは、この後の章で扱う強度・サイズ・材質の話の中心になる部品です。
かしめ=部品を塑性変形させて、抜けない形にして固定すること。
母材=リベットで留められる側の板や部材。
ボディ=ブラインドリベットの筒状の本体。かしめた後に残る部分。
マンドレル=ボディの中を通る芯棒。リベッターで引っ張られ、最後にちぎれて抜ける部分。
かしめ板厚=そのリベットで留められる母材の合計の厚み。
ネジ・ボルト・溶接と比べて、リベットは何が得意で何が苦手?
いちばんの強みは「裏に手が入らなくても留められる」こと
リベット止めを選ぶいちばんの理由は、片側からの作業で済むことです。ボルトとナットで留める場合は、表からボルトを差し込み、裏でナットを押さえる必要があります。ロブテックスのカタログでも、ブラインドリベット締結のメリットとして、ボルト(ビス)・ナット止めは両側からの作業が必要なのに対して、ブラインドリベットは片側からの作業でよい、と図で比べています。
同じカタログでは、もう一つのメリットとして手の入らない箇所(角パイプ等)への締結を挙げています。角パイプの中にナットを入れて押さえるのは、パイプの端から遠い位置ほど現実的ではありません。ここで木ネジやタッピングビスを使おうとして、薄い金属の壁ではネジ山が十分にかからず空回りする、というのがDIYでよくある失敗です。原因は、ネジが効くだけの厚みが母材にないことです。
こうした場所では、ブラインドリベットなら穴をあけて差し込み、表から引くだけで裏側を広げられます。脚立やアルミ面格子のように、薄い金属をパイプや枠に留める製品に使われている例もカタログに載っています。
弱点は「外せない」こと。後で分解するならネジを選ぶ
リベットの弱点は、長所と表裏一体です。かしめて変形させるからこそ抜けないのであって、回して外す構造がありません。ネジなら緩めて部品を交換できますが、リベットで留めた部分を外したいときは、リベットそのものを壊すしかなくなります。壊すときに母材の穴を傷めれば、同じ位置に同じサイズのリベットを打ち直せなくなることもあります。
やりがちなのは、メンテナンスで外す可能性のある部分(中に電池や配線を入れる箱のふた、季節で付け替える部品など)までリベットで留めてしまうことです。原因は、作業のしやすさだけで留め方を選んでしまうことにあります。
選ぶ基準はシンプルで、「この部分を将来外すか」を最初に考えます。外す可能性があるならネジやボルト、外さないならリベット、と分けるだけで後悔が減ります。裏に手が入らないのに外す必要もある、という場面向けの部品については、最後の章で紹介します。
溶接と違って火も熱も使わず、金属とプラスチックも留められる
金属どうしを一体化する方法には溶接もありますが、溶接は熱で材料を溶かしてつなぐため、溶接機・保護具・火の気への対策が必要で、家庭で気軽にできる作業ではありません。リベット止めは熱を使わない機械的な接合なので、ハンドリベッターとドリルがあれば始められます。
もう一つの違いは、異なる材料どうしを留められることです。ロブテックスのカタログは、ブラインドリベット締結の使用例として、金属同士・プラスチック類同士の締結のほか、異種母材(金属とプラスチック類等)の締結も可能、と案内しています。溶接では金属とプラスチックはつなげません。
ただし、「異なる材料を留められる」ことと「異なる金属を組み合わせても問題がない」ことは別の話です。金属どうしの組み合わせによっては、雨や湿気で接触部から腐食が進むことがあります。この点は後の章で詳しく扱います。溶接の代わりになるからといって、溶接と同じ強さが出るわけでもない点にも注意が必要です。
「リベットは緩まない」は言い過ぎ。孔が広がる場合がある
ネジは振動で緩むことがあるので、リベットなら緩まない、と考えたくなります。たしかにリベットには回転して緩む仕組みはありません。しかし、ゆるみがまったく起きないわけではありません。
青森県産業技術センターの研究報告は、鉄系材料とアルミニウム合金の接合にはリベット締結がよく使われるとしたうえで、製品の使用中に振動や熱膨張、腐食が接合部に加わるため、リベット孔が拡がり接合部に緩みが生じる場合がある、と述べています。報告で扱われているのは SUS304 と A5052 という異なる金属の組み合わせです。
家庭のDIYに置き換えると、屋外で日差しと雨にさらされ、風で揺れる門まわりのパネルや、何度も開け閉めする扉の部品などが当てはまります。こうした場所では、リベットを打ったら終わりではなく、ときどきガタつきや錆の出方を目で確認するのがコツです。
| 項目 | ブラインドリベット | ボルト・ナット | 溶接 |
|---|---|---|---|
| しくみ | ボディを裏側で膨らませて挟む(かしめ) | ねじの締め付けで挟む | 熱で母材を溶かして一体化 |
| 作業する側 | 片側だけでよい | 両側から必要 | 接合部に手が届く必要あり |
| 外せるか | 回して外す構造はない | 外して付け直せる | 外す前提ではない |
| 異なる材料 | 金属とプラスチック類も可(金属の組み合わせは電食に注意) | 可(同じく電食に注意) | 金属とプラスチックは不可 |
| 家庭での導入 | ハンドリベッター+ドリル | レンチ・ドライバー | 溶接機と保護具が必要 |
リベット1本はどれくらいの力に耐える?引張とせん断の数字の読み方

強さは「引っ張る方向」と「ずらす方向」の2つで表される
リベットの強さは、1つの数字ではなく、力のかかる向きで分けて表されます。リベットの軸の方向に引き抜こうとする力に対する強さが引張強度、2枚の板を互いにずらす方向にかかる力に対する強さがせん断(剪断)強度です。
この試験の方法を決めているのが、JIS B 1087:2004(ブラインドリベット-機械的試験)です。ISO 14589:2000 を基礎にした規格で、10~35 ℃の環境温度で実施する試験として、せん断試験・引張試験・マンドレル頭部の保持性能試験・装着前のマンドレルの耐プッシュアウト力試験・マンドレル破断荷重試験の5つを規定し、機械的試験は呼び径が 6.4 mm以下のリベットに適用するとしています。
やりがちなのは、パッケージに書かれた数字が1つだけ目に入り、それがどちら向きの強さかを確かめないまま使うことです。棚板を受ける金具のように板どうしがずれる向きに力がかかるのか、吊り下げのように軸方向に抜ける向きなのかで、見るべき数字が変わります。メーカーの表では、必ず「引張」と「剪断」の欄を分けて確認しましょう。
ロブテックスNSAの呼び4は「引張980N以上・剪断760N以上」
具体的な数字を見てみます。ロブテックスの強度規格表では、ボディがアルミニウム・マンドレルがスティールの NSA 呼び4のシリーズ(下穴径 3.4mm)について、引張強度 980N以上、剪断強度 760N以上を社内規格の最小値として示しています。一つ細い呼び3のシリーズ(下穴径 2.6mm)は、引張強度 530N以上、剪断強度 400N以上です。
数字の並びを見ると、同じリベットでも剪断強度のほうが引張強度より小さい値になっていることが分かります。また、呼び3から呼び4に1段太くするだけで、どちらの値も大きく上がります。太さを1段上げることが、強度を確保するいちばん分かりやすい手段だということです。
注意したいのは、これはロブテックスの NSA シリーズの値であって、メーカーや材質(アルミ・スチール・ステンレス)によって異なることです。他社品や別材質のリベットに当てはめず、使う製品のメーカーが公開している強度表で確認しましょう。
その数字は「リベット自体が切れる強さ」で、母材の強さではない
強度規格表には、見落としやすい注記があります。引張強度・剪断強度はリベット自体が破断するまでの強度であり、試験では、リベット自体の強度を測定するため、変形等をしない硬度が 40~50(HRC)の鋼板を使用している、という条件です。
つまり、表の数字は「板は絶対に壊れない」という前提で、リベットだけがちぎれるまでの力です。実際のDIYでは、留める相手は薄いアルミ板やプラスチック板です。リベットより先に、母材の穴が広がったり、板が裂けたりすることがあります。表の数字が大きいから安心、と考えるのは早計です。
また、規格表は製品の改善・改良により予告なく仕様を変更する場合があると明記しています。数値を設計の手がかりにするなら、その時点の最新の表を確認するのが基本です。メーカーのカタログでも、適正かしめ板厚・下穴径は指定寸法を守り、安全率を十分に考慮して施工するよう注意しています。
状況:薄いアルミ板の棚受けを、強度表の剪断強度の数字を本数分足し算して「これだけ載せても大丈夫」と判断してしまう。
原因:表の値はリベット自体が破断するまでの強度で、変形しない硬い鋼板で測った値です。薄い母材では、リベットより先に穴が広がったり板が裂けたりします。
対策:数字は「リベットの太さを比べる目安」にとどめ、人が乗る・頭上に物を載せるといった用途にはリベット止めだけで支える設計をしないこと。メーカーの注意どおり、安全率を十分に見込みます。
サイズはどう選ぶ?品番の数字で下穴径と板厚がわかる
呼びの数字×0.8でボディの太さが出る
ブラインドリベットの袋には「4-2」「NSA42」のような数字が書かれています。ロブテックスのカタログによると、品番の最初の数字はボディの太さの呼びで、サイズの呼び×0.8で換算できるとしています。呼び3ならφ2.4mm、呼び4ならφ3.2mm、呼び5ならφ4.0mm、呼び6ならφ4.8mm、呼び8ならφ6.4mmです。
この数字はもともとインチ系の呼び方に由来しているため、ミリの切りのいい数字にはなりません。ここでやりがちなのが、呼びの数字をそのままミリの太さだと思い込み、その数字の径のドリルで下穴をあけてしまうことです。穴がボディより太すぎると、かしめたときにボディが穴の中で遊び、締結が甘くなります。
サイズを選ぶときは、まず呼びの数字を見て、カタログの換算表でボディ径を確認する習慣をつけましょう。換算はロブテックスの表記での説明で、メーカーごとに品番の付け方が異なる可能性がある点も覚えておくと安心です。
下穴はボディより「ほんの少しだけ」大きく
下穴の径は、ボディが通り、かつ遊びすぎない大きさにします。ロブテックスの NSA シリーズでは、呼び3(φ2.4mm)の下穴径がφ2.5〜2.6mm、呼び4(φ3.2mm)がφ3.3〜3.4mm、呼び5(φ4.0mm)がφ4.1〜4.2mmと案内されています。どれもボディ径より少しだけ大きい幅です。
理由は、ブラインドリベットが穴の中でボディが膨らみ、裏側で広がることで締結するからです。穴が大きすぎるとボディが穴を埋めきれず、裏側の広がりも小さくなります。逆に小さすぎると、リベットが穴に入らないか、無理に押し込んで母材を変形させてしまいます。
DIYでよくある失敗は、手持ちのドリルセットにちょうどいい径がないからと、一回り大きい径で妥協することです。リベットのサイズを決めたら、それに合う下穴径のドリル刃を先にそろえておくのがコツです。打ち方の手順そのものは、次の記事で詳しく扱っています。

2つめの数字は「留められる厚み」。×1.6で最大かしめ板厚
品番の2つめの数字は、留められる母材の厚みを表します。ロブテックスのカタログでは、表示サイズ×1.6でおおよその最大かしめ板厚が換算できるとしています。たとえば NSA42 のかしめ板厚は 1.0〜3.2mm、NSA43 は 1.6〜4.8mm、NSA44 は 3.2〜6.4mm です。
ここで大事なのは、かしめ板厚は1枚の板の厚みではなく、重ねた母材の合計だという点です。薄い板と厚い金具を重ねるなら、2枚を足した合計の厚みで選びます。やりがちな失敗は、厚い側の板だけを測って選び、合計が範囲を超えてしまうことです。逆に、範囲より薄すぎる母材に長いリベットを使うと、裏側で広がる部分がうまく形にならないことがあります。
板厚は、ノギスがあれば重ねた状態で測るのが確実です。範囲の上限ぎりぎりではなく、合計の厚みが範囲の中に余裕を持って収まる品番を選びましょう。
| 呼び | ボディ径 | 下穴径 | 強度(最小値) |
|---|---|---|---|
| 3 | φ2.4mm | φ2.5〜2.6mm | 引張 530N以上/剪断 400N以上 |
| 4 | φ3.2mm | φ3.3〜3.4mm | 引張 980N以上/剪断 760N以上 |
| 5 | φ4.0mm | φ4.1〜4.2mm | メーカーの強度表で確認 |
出典:ロブテックス総合カタログ・強度規格表(NSA:ボディ アルミニウム/マンドレル スティール)。強度はリベット自体が破断するまでの社内規格値。他社品・他材質には当てはめないでください。
アルミの板にステンレスのリベットは大丈夫?電食で錆びる理由
違う金属が水でつながると、小さな電池ができる
金属の組み合わせで錆び方が変わる現象を異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)といいます。日本建設業連合会の鉄骨工事Q&Aは、これを異種金属が直接接続されて、両者間に電池が構成されたときに生じる腐食、と説明しています。一般には電食と呼ばれますが、同資料は JIS Z 0103-1996 では電食は迷走電流腐食と同義語と定義されている、と補足しています。
ロブテックスのカタログも、異種金属の接触部では雨が漏れたり湿気の多い環境の水溶液中で電位差を生じ、局部電池を構成して電気化学反応が起こる、と説明しています。ポイントは、リベットと母材の両者とも耐食性があるからといって安心できないことで、水分や塩分の多い環境では両者の接触部で腐食が起こる、と注意しています。
つまり、ステンレスもアルミもそれぞれ錆びにくい金属ですが、組み合わせて水が介在すると話が変わります。屋内の乾いた場所と、屋外で雨がかかる場所とでは、同じ組み合わせでも結果が違ってくるわけです。
腐食電位の表で見ると、アルミは「錆びる側」に回りやすい
どちらの金属が錆びるかは、腐食電位の差で決まります。ロブテックスのカタログに載っている常時海水中における各種材料の腐食電位の表では、304ステンレスが −0.1〜−0.05 V、炭素鋼・鋳鉄が −0.7〜−0.6 V、アルミニウム5000系が −0.8〜−0.75 V、亜鉛・亜鉛メッキが −1.05〜−1.0 V となっています。
電位が低い(マイナスが大きい)側を卑、高い側を貴といい、組み合わせたときに腐食が進むのは卑の側です。表を見ると、アルミはステンレスより大きく卑の側にあります。だから、アルミとステンレスを組み合わせると、アルミのほうが錆びる側に回ります。
同じカタログは、電食の起こりやすい条件として、電位差が大きい・水と接触する・高温多湿である・塩分が多い・卑側金属の面積が小さい、の5つを挙げています。海に近い家のベランダまわりや、雨が溜まる場所はこの条件が重なりやすい、と考えておくとよいでしょう。亜鉛メッキの仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

「ステンレス板にアルミリベット」がいちばん悪い組み合わせ
見落とされやすいのが、面積の比率です。ロブテックスのカタログは3つの接合例を挙げています。ステンレス母材へのアルミリベット止めは、電位差が大きく卑であるアルミリベットの腐食が促進され、リベットの面積も小さいので著しく腐食が進行する、最もよくない使用例としています。
一方、アルミニウム母材へのステンレスリベット止めは、卑であるアルミ母材の面積が大きいので腐食の進行は遅く、環境条件により使用可能、としています。同じアルミとステンレスの組み合わせでも、どちらがリベットでどちらが母材かで結果が逆になるわけです。
理由は、腐食が卑の側に集中するからです。小さなアルミリベットが大きなステンレス板と組むと、腐食がリベットに集中します。逆に大きなアルミ板が小さなステンレスリベットと組めば、腐食は広い面積に分散します。アルミニウム母材への鉄リベットについても、亜鉛メッキ部分が腐食し、その後母材のアルミニウムが腐食するが、スピードは遅く環境条件により使用可能、と説明されています。
状況:ステンレスの金具やプレートを、手元にあったアルミボディのリベットで屋外に留めた。
原因:電位差が大きく、しかも卑のアルミが小さなリベット側にあるため、雨水を介して腐食がリベットに集中します。ロブテックスのカタログが最もよくない使用例として挙げている組み合わせです。
対策:母材と同じ材質のリベット(ステンレス母材ならステンレスリベット)を選ぶ。どうしても組み合わせが必要なら、塗装や樹脂材料で金属どうしを絶縁します。
メーカーと業界団体が挙げる対策は「同じ材質」と「絶縁」
対策は、ロブテックスのカタログに5つ示されています。母材と同じ材質のリベットを使う、電位差の小さいリベットを使う、メッキ等により電位差を小さくする、塗装により絶縁する、樹脂材料による絶縁、です。日本建設業連合会のQ&Aも、同一材料を使う・塗装により絶縁する・樹脂材料により絶縁する、の3つを挙げており、方向性は一致しています。
もう一つの手がかりが水を溜めないことです。日本アルミニウム協会の資料では、アルミ合金の連結部を模した宮古島の暴露試験で、無処理のステンレスビスの場合は水抜き穴の無いものに白さびが多く発生し、水抜き穴のあるものはそれ程ではなかった、と報告しています。
家庭のDIYに置き換えると、屋外ではまず母材と同じ材質のリベットを選び、それができなければ接触面に塗装をしてから留める、雨水が溜まるくぼみをつくらない、の順に考えると整理しやすくなります。
頭の形と材質はどう選ぶ?使う場所で変わるリベットの種類
丸頭・皿頭・ラージフランジは「表面」と「母材の硬さ」で選ぶ
ブラインドリベットの頭の形は、仕上がりと母材の性質で選びます。ロブテックスのカタログでは、標準の丸頭(NSA)のほかに、上面が平らで座面が円錐形になっており取り付け面を平らにしたい場所に最適な皿頭(NSA-K)、ボディのツバが大きくプラ板・FRP材・ベニア板等の軟質材を締結するのに最適なラージフランジ(NSA-LF)が紹介されています。
理由は、頭が母材を押さえる面積にあります。プラスチックのような柔らかい板に標準の丸頭を使うと、押さえる面積が小さいため、頭が板にめり込んだり、穴のまわりが割れたりしやすくなります。ツバの大きいラージフランジは、力を広い面で受けるのでこれを避けやすくなります。
皿頭を使う場合は、母材側に円錐形の座面をつくる皿もみ加工が必要になる点に注意しましょう。表面をフラットにしたい理由(引っかかり防止、見た目など)が本当にあるかを確認してから選ぶと、余計な加工が増えずに済みます。
雨や水がかかる場所は「シールドタイプ」が候補になる
標準的なブラインドリベットは、マンドレルがちぎれた後に、ボディの中心に穴が残ったり、マンドレルの頭がボディの中に残ったりします。この構造では、リベットの中心部から水が入り込む余地があります。
ロブテックスのカタログで紹介されているシールドタイプ(NSA-C)は、ボディの頭部が密閉しており防水性に優れ、マンドレルの芯ぬけ(頭落ち)もない、と説明されています。また、AP というタイプは、適正かしめ板厚の範囲が広く一種類で広範囲のかしめが可能で、気密性に優れ、軟質材に適している、とされています。
やりがちな失敗は、屋外の箱や雨よけのカバーなど、水を入れたくない場所に標準タイプを使い、リベットの穴から雨水が入ってしまうことです。水の侵入が気になる場所では、頭が密閉したタイプを選ぶか、まず雨水が溜まらない配置を考えるのが基本です。
材質はアルミ・スチール・ステンレス。強さと錆びにくさで選ぶ
ボディの材質も重要な選択肢です。ロブテックスのカタログでは、ボディアルミ・マンドレルスチールの NSA を最もポピュラーな材質の組み合わせ、マンドレルもボディもアルミニウム製の NA を軽量リベットと紹介しています。ステンレス製は耐食性にすぐれ、サビを嫌う場所に最適、という位置づけです。
選び方の基準は、母材の材質に合わせることが出発点になります。前の章で見たとおり、電食を避けるには母材と同じ材質のリベットを使うのが第一の対策だからです。アルミの板ならアルミボディ、ステンレスの板ならステンレス、という組み合わせを基本に考えます。
見落とされやすいのが、材質によって工具の負担が変わることです。ステンレスのリベットは硬く、ハンドリベッターで扱える範囲が限られます。材質を決めるときは、手持ちのリベッターの取扱説明書で使える材質とサイズを確認してからにしましょう。
| 屋内でアルミ板・角パイプを留めたい人 | アルミボディの標準丸頭(NSA のような組み合わせ)が出発点。母材と材質がそろい、ハンドリベッターでも扱いやすい |
| プラ板・FRP・ベニア板を留めたい人 | ツバの大きいラージフランジ(メーカー公式で軟質材向けと案内)。頭のめり込み・割れを避けやすい |
| 屋外・水まわりのステンレス部材 | ステンレスボディ。アルミリベットは避ける。工具がステンレスに対応しているか取扱説明書で確認 |
| 表面を平らに、水も入れたくない場所 | 平らにしたいなら皿頭(皿もみ加工が必要)、水の侵入を避けたいなら頭部が密閉したシールドタイプ |
リベット止めが向かない場面と、代わりに選びたい留め方
外す必要があるのに裏に手が入らないなら「ブラインドナット」
リベット止めの弱点は外せないことでした。では、角パイプのように裏に手が入らず、しかも後でボルトを外したい場合はどうするか。ここで候補になるのがブラインドナットです。
ロブテックスのカタログは、ブラインドナットを、ナットとリベットの両方の長所を兼ね備えたブラインドファスナーと説明しています。タップ立ての難しい薄板やパイプ、角パイプ、溶接のできないプラスチック板にも、片側から取り付けられる、という部品です。リベットと同じように片側からかしめて固定し、その中にめねじが残るので、あとはボルトで部品を付け外しできます。
注意点は、取り付けに専用のナッターが必要になることです。リベッターとは別の工具で、カタログでもエア・電気・アタッチメント・ハンドの各ナッターが紹介されています。使う予定のブラインドナットのサイズに対応した工具かどうかを、メーカー公式の仕様で確認してから選びましょう。
実は、ハンドリベッターで何でも打てるわけではない
意外と知られていないのが、ハンドリベッターには打てるリベットの範囲が決まっていることです。ロブテックスの家庭用ハンドリベッター HR300(全長260mm・重量600g)のようなタイプは、リベット径φ2.4〜4.8mmの範囲で使う前提で、さらに材質によって使える径が絞られます。
同社のカタログは、ハンドリベッターでは困難な大径リベットやステンレス製のかしめにはエアーや電動のリベッターを使う、という位置づけで機種を分けています。つまり、太いリベットや硬いステンレスのリベットを家庭用のハンドリベッターで無理に打とうとすると、握る力が足りずにマンドレルが切れなかったり、工具に負担をかけたりします。
道具をそろえる順番としては、先に打ちたいリベットの径と材質を決め、それに対応するリベッターを選ぶのが確実です。工具を先に買ってから、そのリベッターで打てないリベットが必要だと気づく、という遠回りを避けられます。エアーリベッターを使う場合は、カタログが示す使用空気圧 0.5〜0.6MPa を守ることも注意事項に挙げられています。
保護めがねと取扱説明書は、リベット止めでも省略しない
リベット止めは火も熱も使わないため、安全面を軽く見られがちです。しかし、ロブテックスのカタログに掲載された安全上の注意では、ハンドリベッターについて作業時は保護めがねを着用してくださいと警告しています。マンドレルがちぎれる瞬間には力が一気に解放されるため、破片が飛ぶ可能性があるからです。
また、ブラインドリベット全般について、適正かしめ板厚・下穴径は指定寸法を守り、安全率を十分に考慮して施工すること、作業前に必ず使用するリベッターの取扱説明書をよく読むこと、が注意事項として挙げられています。エアーリベッターでは、切断されたマンドレルの排出口を人に向けないよう保持するよう警告している機種もあります。
下穴をあけるドリル作業も含めて、保護めがねは作業の最初から最後まで着けておくのが基本です。取扱説明書はメーカー公式サイトで案内されていますので、手元の機種のものを確認しておきましょう。
ネジが空回りするときの考え方は、こちらの記事が参考になります。

まとめ
最初の一歩は、留めたい部材の材質と、重ねたときの合計の厚みを測ることです。その2つが分かれば、リベットの材質・呼び・品番が自然に絞り込め、合わせるドリル刃とリベッターも決まります。
※数値はロブテックスの公開資料と JIS の記載に基づきます。製品仕様は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

コメント