金物や鋼材の表示で「ZAM」という3文字を見かけて、「ステンレスの仲間?ガルバリウムと同じ?」と手が止まったことはありませんか。めっきの種類は名前が似ているうえに見た目も近いので、表示だけでは中身を想像しにくいんですよね。
先に結論をお伝えすると、ZAMは日本製鉄の高耐食めっき鋼板のブランドで、亜鉛に約6%のアルミニウムと約3%のマグネシウムを加えためっきを鋼板にかけたものです。日本製鉄の公式資料では、溶融亜鉛めっきなどほかのめっき鋼板と比べて、切断端面や曲げ加工部の赤錆に強いと案内されています。ただし「錆びない金属」ではありません。表面の傷、ステンレスなど別の金属との組み合わせ、溶接部や切り口の補修といった扱い方で、持ち味を活かせるかどうかが変わります。
この記事では、めっきの組成という仕組みから入り、ガルバリウム鋼板・溶融亜鉛めっきとの違い、切った面が錆びにくいとされる理由、家でのDIYでやりがちな失敗と対策までを、日本製鉄の公式ページと日本建設業連合会の資料をもとに整理します。
・ZAMのめっき組成(亜鉛・約6%アルミ・約3%マグネシウム)と、つくれる板厚・付着量の範囲
・ガルバリウム鋼板・溶融亜鉛めっきとの違いを、組成と公式資料の比較から読む方法
・切断端面や曲げ部が錆びにくいとされる理由と、それでも起きる錆の原因
・傷・異種金属接触腐食・補修塗装・溶接で、メーカーが注意を促しているポイント
zam(ZAM)とは?亜鉛・アルミ・マグネシウムを組み合わせためっき鋼板

正体は日本製鉄が世界で初めて商業製品化した高耐食めっき鋼板
ZAMは、鉄の板(鋼板)の表面を金属のめっきで覆った「めっき鋼板」の一種で、日本製鉄のブランド名です。カタカナでは「ザム」と表記されることもあります。日本製鉄のZAM公式ページでは、同社が世界で初めて商業製品化した高耐食めっき鋼板ブランドと位置づけられています。
なぜ鉄にめっきをかけるのかというと、鉄はそのままだと水と酸素で赤錆が出やすいからです。表面を別の金属で覆っておけば、鉄が直接水や空気に触れにくくなります。ZAMはこの覆う金属の配合を工夫して、錆への強さを高めたものだと考えると理解しやすいです。
家でのDIYでやりがちなのが、「ZAM」の表示を見て「ステンレスの一種だろう」と思い込むケースです。中身は鋼板にめっきをかけたもので、ステンレスとは別の材料です。そのため、切った面や傷の扱い、組み合わせるビスの選び方など、ステンレスとは違う注意点があります。
購入時は、製品の表示や仕様書に「ZAM」「日本製鉄」の記載があるかを見て、めっき鋼板であることを確認しておきましょう。仕様の詳細はメーカー公式ページの案内を確認するのが確実です。
約6%のアルミと約3%のマグネシウムが入っている意味
ZAMの性格を決めているのは、めっきの組成です。日本製鉄のZAMに関するQ&Aページでは、めっきについて「Zn(亜鉛)、約6%のAl(アルミニウム)、約3%のMg(マグネシウム)を基本組成としています。」と説明されています。つまり主役は亜鉛で、そこにアルミニウムとマグネシウムを少量加えた合金めっきです。
同じページでは、めっき層の中身が「Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、Zn2Mg(マグネシウム)の緻密な3元共晶組織となっています。」とも案内されています。3種類の成分が細かく入り混じった、目の詰まった組織になっているということです。めっきは表面の薄い層で鉄を守る仕組みなので、この層の性質がそのまま鋼板の錆への強さに関わってきます。
やりがちな誤解は、「アルミが入っているならアルミ板に近い」と考えることです。アルミニウムは約6%で、めっきの大部分は亜鉛です。アルミが主役のめっきとは別物なので、似た名前の材料と性質を混同しないようにしましょう。
見分けるときは、名前の印象ではなく「めっきの基本組成」がどう書かれているかを確認するのがコツです。メーカー公式のQ&Aや製品資料には組成が明記されています。
つくれる板厚・板幅・めっき付着量の範囲
ZAMは薄板から厚めの板まで幅広くつくられています。日本製鉄のQ&Aページでは「板厚は0.25~6.0mm、板幅は600~1325mmです。」とされ、めっき付着量は「両面合計で60~350g/m2です。」と案内されています(日本製鉄 ZAM Q&A)。製造は瀬戸内製鉄所と日鉄鋼板㈱東日本製造所で行われていると記載されています。
めっき付着量とは、鋼板の表面にどれだけの量のめっき金属がついているかを面積あたりの重さで表したものです。めっきは錆から鉄を守る層なので、同じ組成なら付着量によって性能の出方が変わります。ここに幅があるということは、同じZAMでも製品ごとに仕様が違う可能性がある、ということでもあります。
よくある失敗は、「ZAMと書いてあるから、どの製品も同じ性能」と考えてしまうことです。板厚やめっき付着量は製品によって異なるので、屋外に長く置く部材などでは仕様の確認を飛ばさないことが大切です。
確認するときは、製品の仕様表にある板厚とめっき付着量の記載を見ましょう。記載がない場合は、販売元の仕様書やメーカー公式の資料を確認するのが確実です。
| 種類・方式 | 日本製鉄の高耐食めっき鋼板ブランド。めっき基本組成はZn、約6%Al、約3%Mg |
| 主な仕様(板厚・板幅・付着量) | 板厚0.25~6.0mm/板幅600~1325mm/めっき付着量は両面合計で60~350g/m2 |
| 向いている用途(公式の案内) | 耐食性が要求される用途・ドブ漬けめっき代替用途が中心(例:プレハブ住宅資材、農業用資材、形鋼や形物のめっき部材、防音壁等道路関連材料、架線金具等電力関連材料など) |
| 使い方のコツ・注意 | 表面を傷つけない・汗や指紋をつけない・水濡れ結露に注意。異種金属との接触、溶接時のヒューム増加にも注意 |
めっき付着量=鋼板の表面についているめっき金属の量。面積あたりの重さで表し、ZAMでは両面合計で示されます。
犠牲防食=イオン化傾向の違いによって、めっきの金属が先に溶けることで下の鉄を守る働き。亜鉛めっきの表面に傷ができても鉄を守る効果として説明されます。
赤錆=下地の鉄そのものが錆びて出る赤茶色の錆。めっき鋼板の比較では「耐赤錆性」が物差しになります。
ガルバリウム鋼板・溶融亜鉛めっきとZAMは何が違う?
溶融亜鉛めっきとの違いは「亜鉛に何を足したか」
溶融亜鉛めっきは、溶かした亜鉛に鋼材を浸けて表面を亜鉛で覆う、昔からある防錆方法です。日本建設業連合会の資料では、「万が一溶融亜鉛めっき表面に傷ができてしまった場合も、イオン化傾向の違いによる電気化学的な犠牲防食作用によって鉄を守るという効果があります。」と説明されています。
ZAMはこの亜鉛を主役にしたまま、アルミニウムとマグネシウムを加えたものです。日本製鉄のZAM特性比較ページでは、溶融亜鉛めっきやZn-5%Alめっきと比べて「優れた耐赤錆性を有しています」と案内されています。亜鉛めっきの延長線上にあり、配合で錆への強さを高めた材料という位置づけです。
やりがちなのは、「亜鉛めっき」と書かれた金物とZAMを同じ扱いにしてしまうことです。どちらも亜鉛系ですが、メーカーの比較資料では赤錆の出方に差があるとされています。屋外で長く使う部材では、この差が選ぶ理由になります。
見分けのコツは、表示が「溶融亜鉛めっき」「電気亜鉛めっき」「ZAM」のどれかを確認することです。同じ「亜鉛めっき」でも、溶融か電気かで膜の厚さや性格が変わります。

ガルバリウム鋼板はアルミが主役のめっき
ZAMとよく比べられるのがガルバリウム鋼板です。日本製鉄の建材用鋼板のページでは、ガルバリウム鋼板のめっきについて「アルミニウム-亜鉛合金(めっき金属の組成はAℓ55%、Zn43.4%、Si1.6%)」と記載されています。めっきの半分以上がアルミニウムで、亜鉛が主役のZAMとは配合の考え方が逆です。
同じページでは、ガルバリウム鋼板について「亜鉛鉄板に比べ、3~6倍の耐久性がある」「めっき層に多量のアルミニウムを含んでいるため、亜鉛鉄板より優れた耐熱性がある」と案内されています。外観は銀白色の細かいスパングル(花模様)が特徴とされています。耐熱性については、公式ページ自身が「めっき層に多量のアルミニウムを含んでいるため」と理由を書いています。
よくある混同が、「アルミと亜鉛が両方入っているから、ZAMとガルバは同じようなもの」という見方です。実際には、アルミが55%か約6%かで、めっきの主役が入れ替わっています。名前の響きではなく、組成の数字で比べると違いがはっきりします。
比べるときは、各メーカー公式ページのめっき組成の欄を並べて見るのがコツです。どちらも日本製鉄の公式ページに組成が明記されています。
3種類を並べると見えてくること
日本製鉄のZAM特性比較ページでは、比較相手として溶融亜鉛めっき、溶融Zn-5%Al合金めっき、溶融55%Al-Zn合金めっきが挙げられています。そのうえで、切断端面については「いずれのめっき鋼板と比較しても優れた端面耐食性(耐赤錆性)を示します」、曲げ加工部については「いずれのめっき鋼板よりも加工部の耐食性(耐赤錆性)に優れています」と案内されています(日本製鉄 ZAM特性比較)。
ここで押さえたいのは、比べている物差しが「耐赤錆性」、つまり下地の鉄が錆びて赤くなるまでの強さだという点です。耐熱性や外観といった別の物差しでは、ガルバリウム鋼板の特長として公式に挙げられている項目もあります。どの性能で比べた話なのかを分けて読むことが大切です。
やりがちな失敗は、ひとつの比較結果だけで「どの場面でもZAMが上」と考えてしまうことです。メーカー資料はそれぞれの条件で比較したもので、用途によって重視する性能は変わります。下の表は、日本製鉄の公式ページと日本建設業連合会の資料に記載された内容だけを並べたものです。
| 項目 | ZAM | ガルバリウム鋼板 | 溶融亜鉛めっき |
|---|---|---|---|
| めっきの主な組成 | Zn、約6%Al、約3%Mg | Al55%、Zn43.4%、Si1.6% | 亜鉛 |
| 公式資料が挙げる強み | 耐赤錆性。端面・曲げ加工部の耐食性 | 亜鉛鉄板に比べ3~6倍の耐久性。優れた耐熱性 | 傷ができても犠牲防食作用で鉄を守る |
| ZAMの比較資料での扱い | 比較の基準 | 比較相手。端面・加工部の耐赤錆性はZAMが優れるとされる | 比較相手。耐赤錆性はZAMが優れるとされる |
| 外観・その他 | 端面は時間とともに保護被膜で落ち着いた色に | 銀白色の細かいスパングル(花模様) | ステンレスボルトとの組み合わせに注意 |
出典:日本製鉄 ZAM公式ページ・建材用鋼板ページ、日本建設業連合会の資料
切った面が錆びにくいのはなぜ?端面と曲げ部の耐食性

切りっぱなしの端面でも赤錆が出にくいとされる
めっき鋼板の弱点は、切った面(切断端面)です。表面はめっきで覆われていても、切断した瞬間に断面では鉄の生地がむき出しになります。そのためめっき鋼板では、端面からの赤錆が気になりやすいわけです。
この端面について、日本製鉄のZAM特性比較ページでは「いずれのめっき鋼板と比較しても優れた端面耐食性(耐赤錆性)を示します」と案内されています(日本製鉄 ZAM特性比較)。比較相手には溶融亜鉛めっきやガルバリウム鋼板と同じ系統の55%Al-Zn合金めっきも含まれています。
家でのDIYで差が出やすいのは、カットした金具の端や、穴をあけた周りです。たとえば屋外で使う部材を必要な長さに切った場合、切り口は避けて通れません。端面に強いという性質は、まさにこうした場面に関わってきます。
ただし「端面に強い」と「端面が錆びない」は別の話です。メーカーは溶接部や切断端面の補修方法も別ページで案内しています。また使用上の注意では、「水中や頻繁に流水に曝される用途では、ZAM®の特長である安定した保護被膜層が形成されにくくなるため、亜鉛めっきに対するZAM®の優位性が発揮されず、早期に赤錆が発生する場合があります。」とされ、「万一表面を傷つけた場合は、補修を行なって下さい。」とも案内されています。詳しくは後半の補修の見出しを参考にしてください。
端面の色が変わるのは劣化ではなく「保護被膜」
意外と知られていないけれど、ZAMの切り口は時間がたつと色が変わります。初めて見ると「錆びてきた?」と心配になる変化ですが、日本製鉄の特性比較ページでは、端面について「時間の経過とともに、保護被膜に覆われ落ち着いた色に変化します」と説明されています(日本製鉄 ZAM特性比較)。
つまり、端面の色の変化は、むき出しの部分が被膜で覆われていく過程として説明されているわけです。新品のときのピカピカした切り口と比べると見た目は変わりますが、それ自体が赤錆というわけではありません。
やりがちな失敗は、この色の変化を錆と勘違いして、ヤスリやワイヤーブラシで削り落としてしまうことです。削ると表面に傷がつき、後で触れるように耐食性や塗装性に悪影響が出るおそれがあります。良かれと思った手入れが逆効果になるパターンです。
見分けるときは、色が「落ち着いた色」なのか、下地の鉄が錆びた「赤茶色の錆」なのかを確認しましょう。赤茶色の錆が出ている場合は、補修を検討するタイミングです。
曲げた部分でも差が出る理由
もうひとつの弱点が、折り曲げた部分(曲げ加工部)です。板を曲げると外側のめっきが引き伸ばされ、細かい割れが入ることがあります。そこから下地の鉄に水や酸素が届くと、錆の起点になりやすいわけです。
この曲げ加工部について、日本製鉄の特性比較ページでは「いずれのめっき鋼板よりも加工部の耐食性(耐赤錆性)に優れています」と案内されています(日本製鉄 ZAM特性比較)。また、公式の特長には「優れたプレス加工性」も挙げられています。曲げたり押し出したりして形をつくる部材に使いやすいということです。
家でのDIYで関係するのは、L字やコの字に曲げられた金具・部材です。完成品として売られている金物は工場で曲げ加工されているものが多く、その曲げ部の錆にくさがZAMを選ぶ理由のひとつになります。
ただし、自分でさらに曲げ直したり、バイスで強く挟んで傷をつけたりすると話は別です。メーカーは加工時に表面を傷つけないよう注意を促しています。
ZAMの強みは、めっき鋼板の弱点になりやすい「切断端面」と「曲げ加工部」の耐赤錆性だと、日本製鉄の比較資料で案内されています。端面が時間とともに落ち着いた色になるのは保護被膜によるもので、赤錆とは別物です。とはいえ「錆びない材料」ではないので、傷・異種金属・補修の扱いは別に考えましょう。
傷・汗・結露……加工前後にやりがちな失敗と補修の考え方
表面の傷が耐食性と塗装性を落とす
ZAMの持ち味は、表面のめっき層があってこそです。日本製鉄のZAM使用上の注意では、「加工にあたって表面を傷つけると耐食性、塗装性に悪影響を及ぼします」と注意が書かれています。傷はめっき層を削り取ってしまうので、錆への強さだけでなく、塗料ののりにも影響するということです。
なぜ塗装性まで落ちるのかというと、塗装はめっき表面に塗料を密着させる作業だからです。表面が荒れたり、めっきが部分的になくなったりすると、塗料の下地の条件が場所ごとに変わってしまいます。
家でのDIYでやりがちなのは、作業台の上で部材を引きずる、金属のバイスで直接挟む、ドリルの切り粉を払わずにこすってしまう、といった場面です。どれも作業中は気にならない小さな傷ですが、屋外で使ううちに傷の部分から差が出てきます。
対策としては、部材を置く場所に当て布や板を敷き、バイスで挟むときは当て木をかませるのが基本です。切り粉は息で吹かずに、ブラシなどでそっと払い落としましょう。
素手・水濡れ・結露で起きること
見落としやすいのが、保管と扱い方です。日本製鉄のZAM使用上の注意では、取り扱いの項目として、表面を傷つけないこと、汗や指紋をつけないこと、水濡れや結露に注意することが挙げられています(日本製鉄 ZAM使用上の注意)。
注意事項は理由までは書いていませんが、めっき表面に汗の塩分や水分が長く残ると、その部分だけ条件が変わってしまうと考えられます。指紋の跡が残ったまま塗装すると、塗料ののりにムラが出ることも考えられます。水濡れや結露も同じで、湿ったまま重ねて置くと、乾きにくい部分ができてしまいます。
家でやりがちなのは、買ってきた板や金具を、ガレージや物置の床に直置きしたり、雨の日に濡れたまま重ねて保管したりすることです。冬場に寒い屋外から暖かい室内へ持ち込むと、表面に結露が出ることもあります。
扱うときは作業用の手袋をつけ、濡れたら乾いた布で拭き取ってから保管しましょう。重ねて置く場合は、間に風が通るようにすると水分が残りにくくなります。
原因は、保護被膜による色の変化と赤錆の区別がついていないことです。削るとめっき表面に傷がつき、日本製鉄の注意事項にあるとおり耐食性・塗装性に悪影響が出るおそれがあります。対策は、まず色が「落ち着いた色」か「赤茶色の錆」かを見分けること。削ったりして表面を傷つけてしまった場合は、日本製鉄の使用上の注意にあるとおり補修を行いましょう(推奨はZn-Al系塗料)。
切断端面・溶接部の補修はZn-Al系塗料が推奨されている
切った面や溶接した部分を補修したいときは、塗料の種類が大切です。日本製鉄のZAM補修塗装のページでは、「溶接部および切断端面部の補修にはZn-Al系塗料を推奨いたします。」と案内されています。
同じページには、溶接部の補修後の耐食性を確かめた腐食試験(JASO M609-91)の塗装方法として、ワイヤーブラシによる前処理、有機溶剤による脱脂、刷毛塗り、乾燥60℃・10分、膜厚約40μmという条件が記載されています。これは試験片の条件で、家での補修手順として示されたものではない点に注意してください。
やりがちな失敗は、手元にある一般的な錆止め塗料や、別の用途の塗料で済ませてしまうことです。メーカーが推奨しているのはZn-Al系塗料で、別系統の塗料では同じ結果になるとは限りません。
同ページでは「補修塗料の使用方法や品質性能、環境規制対応など詳細につきましては、それぞれのメーカーにお問い合わせ下さい。」とも書かれています。塗料の乾燥時間や使い方は、使う塗料のメーカー公式の案内に従いましょう。
補修塗料の上に、さらに塗れない場合がある
補修したあとに「上から好きな色で仕上げたい」と考える人も多いはずです。ただ、日本製鉄の補修塗装のページでは「補修塗料の上には塗装出来ない場合もございます。」と注意が書かれています(日本製鉄 ZAM補修塗装)。
理由は、塗料どうしにも相性があるからです。下に塗った補修塗料と上に重ねる塗料の組み合わせによっては、密着しなかったり、仕上がりに問題が出たりすることがあります。補修塗料はあくまで錆から守るための層で、上塗りの下地として使えるかどうかは別に確認が要ります。
やりがちなのは、補修した部分だけ上塗りを重ね、ほかの部分と色や艶をそろえようとするケースです。相性を確かめずに塗ると、後からその部分だけ塗膜が浮いてくるおそれがあります。
上塗りを考えている場合は、補修塗料と上塗り塗料、それぞれのメーカー公式の製品情報で「上塗り可能な塗料」の記載を確認しましょう。記載が見つからない場合は、塗料メーカーに問い合わせるのが確実です。
ステンレスのビスで留めて大丈夫?別の金属との組み合わせ
「卑な金属」が先に錆びる仕組み
金属どうしを接触させて使うと、組み合わせによっては一方の錆が進むことがあります。これを異種金属接触腐食といいます。日本製鉄のZAM使用上の注意でも、「異種金属と接触させて使用すると腐食電位の卑な金属の腐食が促進されます」と書かれています(日本製鉄 ZAM使用上の注意)。
「卑な金属」とは、ざっくり言えば、組み合わせた2つの金属のうち電気的に溶け出しやすい側のことです。水分があると、2つの金属のあいだで小さな電池のような状態ができ、溶け出しやすい側が先に傷んでいきます。
この仕組みは、亜鉛めっきが鉄を守る「犠牲防食」と表裏一体です。亜鉛が鉄より先に溶けることで鉄を守るのと同じ理屈で、組み合わせる相手によっては、めっき側が想定より早く消耗してしまうことがあるわけです。
大切なのは、「錆びにくい金属どうしなら安心」とは限らないという点です。単体の錆にくさだけでなく、組み合わせを見て選ぶ必要があります。
亜鉛めっきとステンレス・アルミ・裸の鋼材の組み合わせ
具体的にどの組み合わせに注意すればよいのか。日本建設業連合会の資料では、溶融亜鉛めっき鋼材について「溶融亜鉛めっき鋼材をステンレスボルトで締め付けると異種金属接触腐食による不具合が発生する可能性がありますので注意して下さい。」と説明されています。組み合わせで注意する相手として、裸鋼材・ステンレス鋼・アルミニウムが挙げられています。
この資料は溶融亜鉛めっき鋼材についての説明ですが、ZAMも亜鉛を主役にしためっき鋼板で、日本製鉄自身も異種金属との接触に注意を促しています。「錆びにくいからステンレスのビスで留めれば完璧」と考えるのは、理屈の上では逆効果になりうる組み合わせです。
家でのDIYでやりがちなのは、屋外用だからと手持ちのステンレスビスやボルトでZAMの金具を固定してしまうケースです。雨がかかる場所では、接触部に水分が残りやすく、異種金属接触腐食の条件がそろいやすくなります。

対策は3つ:同じ材料・塗装で絶縁・樹脂で絶縁
では、どう防げばよいのか。日本建設業連合会の資料では「異種金属接触腐食には、次の対策が考えられます。」として、同一材料を使う、塗装により絶縁する、樹脂材料により絶縁する、の3つが挙げられています(日本建設業連合会の資料)。
理屈はシンプルで、異種金属接触腐食は「違う金属が」「水分を介して」「触れ合っている」ときに起きます。同じ材料を使えば違う金属の組み合わせそのものがなくなり、塗装や樹脂で間を隔てれば、金属どうしが直接触れなくなります。どれも、条件のどれかをなくすという考え方です。
家でのDIYなら、たとえば固定する金物とビス・ボルトのめっきの種類をそろえる、接触面に樹脂製のワッシャーやスペーサーを挟む、といった形で取り入れられます。ただし、どの製品がどこまで絶縁できるかは製品ごとに違います。
樹脂のワッシャーなどを使う場合は、その製品のメーカー公式の仕様で材質と使用環境を確認しましょう。屋外で使うなら、紫外線や水への強さの記載もあわせて見ておくと安心です。
原因は、単体の錆にくさだけで組み合わせを決めてしまうことです。日本製鉄は異種金属との接触で卑な金属の腐食が促進されると注意しており、日本建設業連合会の資料でも亜鉛めっき鋼材とステンレスボルトの組み合わせに注意が促されています。対策は、同一材料を使う・塗装で絶縁する・樹脂で絶縁するの3つから、使う場所に合うものを選ぶことです。
どこで使われている?用途と、家のDIYで出会う場面
公式が挙げる用途は「耐食性が要求される用途」が中心
ZAMがどこで使われているのかを知ると、性格がつかみやすくなります。日本製鉄のQ&Aページでは「耐食性が要求される用途、ドブ漬けめっき代替用途などを中心に、多様な分野でご使用いただけます。」としたうえで、一例として「プレハブ住宅資材、農業用資材、形鋼や形物のめっき部材、防音壁等道路関連材料、架線金具等電力関連材料など」が挙げられています(日本製鉄 ZAM Q&A)。
例に並んでいるのは、屋外で使われることの多い部材です。こうした用途では、切断端面や曲げ加工部があることを前提に部材がつくられます。端面と加工部の耐赤錆性に強みがあるZAMの性格と、用途がよく噛み合っているわけです。
やりがちな誤解は、「プレハブや道路の材料だから、家のDIYとは関係ない」と考えてしまうことです。実際には、ホームセンターで売られている鋼製の金具や部材の表示にZAMの名前が出てくることがあり、知らないと選ぶ基準が持てません。
製品を見るときは、パッケージや仕様表の「材質」「表面処理」の欄を確認しましょう。そこに「ZAM」や「溶融亜鉛めっき」などの記載があれば、この記事の比較がそのまま選ぶ基準になります。
用途分野の広さが示していること
日本製鉄のZAM公式ページでは、用途分野として道路・土木、農酪・水産、鉄道、建材、工場、住宅、自動車部品、その他が挙げられています(日本製鉄 ZAM公式ページ)。また、特長として優れた耐食性、コストダウン、優れたプレス加工性、製造ライン、多彩な製品群の5つが示されています。
分野が広いのは、板厚が0.25~6.0mmと幅広く、めっき付着量にも幅があるからだと読み取れます。薄い板でプレス加工する部品から、厚めの板を使う構造部材まで、同じブランドで対応できるということです。
ここで気をつけたいのは、「用途分野に住宅があるから、どんな家まわりにも使える」と短絡しないことです。どの分野でどう使えるかは、製品ごとの仕様と使用環境で変わります。とくに外壁や屋根など建物そのものに関わる工事は、この記事の範囲外として扱います。
家でのDIYで使う場合は、購入する製品のメーカーが示す使用環境・用途の記載を確認するのが基本です。ZAMという材料名だけで判断せず、完成品としての仕様を見ましょう。
読者タイプ別:ZAMの部材を選ぶときに見るところ
同じZAMでも、使い方によって見るべきポイントは変わります。日本製鉄の公式資料と日本建設業連合会の資料から、家でのDIYの場面ごとに整理すると次のようになります。
屋外に金具や部材を据えたい人は、まずビス・ボルトとの組み合わせを確認しましょう。異種金属接触腐食の対策(同一材料・塗装で絶縁・樹脂で絶縁)が効いてくる場面です。自分で切ったり穴をあけたりする人は、切断端面と、その周りにつく傷が論点です。端面の耐赤錆性は公式資料で案内されていますが、表面の傷には注意が促されています。
塗装して色をつけたい人は、表面の汗・指紋・傷が塗装性に影響する点と、補修塗料の上には塗装できない場合がある点を先に押さえておきましょう。溶接を考えている人は、次の見出しで触れるスパッター・ヒュームの増加とワイヤー選びが要点です。
どのタイプでも共通するのは、「錆びにくい材料だから手入れ不要」とは考えないことです。扱い方で持ち味が活きるかどうかが決まります。

溶接・コストの話:知っておきたい加工の注意
溶接でスパッター・ヒュームが増える理由
ZAMを溶接する場合、めっき層があることが作業に影響します。日本製鉄のZAM使用上の注意では、「ZAM®を含むめっき鋼板は溶接時の熱により、めっきが蒸発するため、熱冷延鋼板に比べスパッター、ヒュームの発生量が増加します。安全対策を講じ溶接作業を実施下さい。」と書かれています。安全面の注意として、溶接全般に共通する感電・アーク光による目の障害・高熱物への接触による火傷・火事に加え、亜鉛の蒸発によるヒューム発生量の増大と、スパッター発生量の増加による火傷・火災が挙げられ、「特にヒュームはめっき鋼板の溶接においては不可避ですので適切な対策の実施をお願い致します。」とされています。
理由は、めっき金属が鉄より低い温度で溶けたり蒸発したりするからです。溶接の熱が加わると、表面のめっきが気化して、溶けた金属の飛び散り(スパッター)や、溶接で出る細かい煙(ヒューム)が増えます。裸の鉄板を溶接するときと同じ感覚で作業すると、条件が合わないわけです。
家で溶接を始めた人がやりがちなのは、めっき鋼板であることを意識せずに、普段どおりの換気と保護具で作業してしまうことです。ヒュームが増えるという前提を知っているかどうかで、作業場所の選び方が変わります。
溶接する場合は、溶接機と保護具のメーカーの取扱説明書にある注意事項に従い、換気や保護具の条件を確認しましょう。めっき鋼板の溶接についての記載がないかも、あわせて見ておくのがコツです。
アーク溶接は亜鉛めっき用ワイヤーとすき間がポイント
アーク溶接について、日本製鉄は具体的な対策も示しています。日本製鉄のZAM溶接性のページでは、「スパッタ、ブローホール、ピット等の改善のためには、亜鉛めっき用に開発されたワイヤーを使用してください」と案内されています。ブローホールやピットは、溶接部の中や表面にできる小さな穴のことです。
同じ溶接性のページでは、重ねすみ肉溶接ではブローホール、ピット等の溶接欠陥が多発するため、鋼板どうしの間にギャップ(すき間)を設けることが効果的で、「ギャップとしては0.6mm以上設けると欠陥は大幅に減少します。」とされています。重ねた板のあいだで蒸発しためっきの逃げ場をつくる、と考えると理屈が通ります。
やりがちな失敗は、手持ちの一般用ワイヤーで、板をぴったり重ねたまま溶接してしまうことです。仕上がりに穴が残り、溶接部の強さや見た目に影響が出るおそれがあります。
ワイヤーを選ぶときは、溶接材料メーカーの製品情報に「亜鉛めっき鋼板用」といった記載があるかを確認しましょう。溶接後の溶接部は、前の見出しで触れたZn-Al系塗料による補修の対象になります。
スポット溶接では電極の寿命が短くなる
もうひとつ、スポット溶接についての注意もあります。日本製鉄のZAM溶接性のページでは、スポット溶接について「電極の銅合金とめっき層中の亜鉛が反応し、電極が損耗することにより電極寿命が短くなりますので、事前に電極寿命を把握し、定期的にドレッシング、交換を実施してください。」と案内されています(日本製鉄 ZAM溶接性)。
スポット溶接は、銅合金の電極で板を挟み、電気を流して点で溶かしてつなぐ方法です。電極が直接めっき面に触れるので、めっきの亜鉛と電極の銅合金が反応しやすく、電極の先端が傷みやすくなるという理屈です。
家でのDIYでスポット溶接機を使う人は多くありませんが、使う場合は「裸の鋼板と同じペースで電極が持つ」と考えないことがポイントです。電極の先端が傷んだまま使い続けると、溶接の品質が安定しにくくなります。
電極の点検や交換の目安は、溶接機メーカーの取扱説明書を確認しましょう。めっき鋼板を溶接する場合の記載があれば、それに従うのが確実です。
実はコストダウンが特長に挙がっている
「高耐食」と聞くと、値段の高い特別な材料を想像しがちです。ところが、日本製鉄のZAM公式ページでは、特長の5つのひとつに「コストダウン」が挙げられています(日本製鉄 ZAM公式ページ)。耐食性と並んで、コスト面がブランドの特長として示されているわけです。
ただし、これはメーカーが部材をつくる側の視点で示している特長で、家でのDIYで買う完成品の値段がいくらになるかは、製品の形や板厚、販売店によって変わります。具体的な価格は、この記事では扱いません。
やりがちなのは、めっきの種類だけで「ZAMだから高い」「亜鉛めっきだから安い」と決めつけてしまうことです。価格の比較は同じ形・同じ板厚の製品どうしで行わないと、条件がそろいません。
選ぶときは、価格より先に使う場所で問題になる点(切断する・屋外に置く・別の金属と組む・塗装する)を整理しましょう。そのうえで、条件を満たす製品の中から価格を比べるのが、後悔しにくい順番です。
スパッター=溶接中に飛び散る溶けた金属の粒。
ヒューム=溶接の熱で金属が蒸発し、空気中で冷えてできる細かい粒子の煙。
ブローホール・ピット=溶接部の内部や表面にできる小さな穴。
重ねすみ肉溶接=板を重ね、その角の部分を溶接する方法。ZAMでは鋼板間にギャップを設けるよう案内されています。
まとめ:3つの扱い方で、錆びにくさを活かす
ZAMは「どんな使い方でも錆びない板」ではなく、めっき鋼板の弱点になりやすい切り口や曲げ部に強い材料です。その持ち味は、表面を傷つけない・汗や水分を残さない・別の金属と直接触れさせない、という扱い方で活きてきます。まずは手元にある金具や部材の「材質」「表面処理」の表示を確認し、留めるビスやボルトのめっきの種類がそろっているかを見るところから始めてみてください。日本製鉄のZAM使用上の注意のページも、一度目を通しておくと判断の軸ができます。
※製品の仕様や推奨事項は変更される場合があります。最新情報はメーカー公式サイトでご確認ください。

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