網戸が破れたり、ネットがたるんで波打ったりしてきたとき、「自分で張り替えられそう。でも何を買えばいいの?」と売り場で迷う人は多いはずです。網戸の張り替え用品の棚には、ローラーやカッター、太さ違いのゴム、目の細かさ違いのネットがずらりと並びます。どれが必須で、どれが家にある物で代用できるのかが見えにくいのが迷いの原因です。
結論から言うと、網戸の張り替えに使う道具は、網押さえローラー、マイナスドライバー(または目打ち)、仮止めクリップ、ブラシ、カッター(またははさみ)の5つで足ります。このうち専用品が欲しいのはローラーくらいで、ほかは洗濯ばさみや歯ブラシ、手持ちのカッターで代用できます。仕上がりを左右するのは道具の数ではなく、押さえゴムの太さが枠の溝に合っているか、そしてゴムを入れる途中で網をどう引っ張るか、という2点です。
この記事では、YKK APの公式コラムとホームセンターの手順解説をもとに、道具それぞれの役割と代用の可否、ゴムとネットの選び方、たるみを防ぐ手順の理屈、そしてDIYで張り替えないほうがよい網戸の見分け方までを順に解説します。
・網戸張替え道具5つの役割と、代用できる物・できない物
・押さえゴムの太さを古いゴムで確かめる理由と、再利用できる条件
・ネット素材(ポリプロピレン・ポリエステル・グラスファイバー)とメッシュ番号の違い
・たるみ・しわを防ぐ張り方の順序と、DIYで張り替えないほうがよい網戸
網戸張替え道具は5つと材料2つ|まず全体の地図をつかむ

作業の流れから逆算すると、必要な道具が自然に決まる
道具選びで迷わないコツは、売り場の棚からではなく作業の流れから考えることです。網戸の張り替えは、大きく分けると「古い網とゴムを外す」「溝を掃除する」「新しい網を仮止めする」「ゴムで網を押さえ込む」「余った網を切る」という5つの工程でできています。工程が5つなので、道具も工程ごとに1つずつ、つまり5つあれば足りる、という理屈です。なお、コメリの手順解説の「用意するもの」では網戸専用カッターと網戸仕上げはさみを別々に挙げていますが、どちらも通常のカッターナイフ・はさみで代用できるため、この記事では「切る道具」として1つにまとめています。
外す工程にはマイナスドライバーか目打ち、掃除にはブラシ、仮止めにはクリップ、押さえ込みには網押さえローラー、切る工程にはカッターかはさみ。こう並べると、どれか1つが欠けるとどの工程で詰まるかが見えてきます。たとえばクリップを用意し忘れると、ゴムを入れている途中で網がずれて、目が斜めに曲がった仕上がりになりやすくなります。
やりがちなのは、ローラーとネットとゴムだけを買って帰り、作業を始めてから「古いゴムが溝から抜けない」「網が動いて押さえきれない」と手が止まるパターンです。買い物に行く前に、この5工程を頭の中で一度なぞっておくと、買い忘れも買いすぎも防げます。
「道具」と「材料」を分けて考えると買い物がぶれない
網戸の張り替えでは、繰り返し使える道具と、張り替えるたびに消費する材料を分けておくと整理しやすくなります。道具は先ほどの5つ。材料は網戸ネットと網押さえゴム(網戸ロープとも呼ばれます)の2つです。道具は一度そろえれば次の張り替えでも使えますが、材料は網戸の枚数や枠の溝に合わせて毎回選ぶ必要があります。
この区別が大事なのは、材料のほうに「合う・合わない」があるからです。ローラーやカッターはどのメーカーの網戸にもおおむね使えますが、押さえゴムは太さが枠の溝に合っていないと網を固定できません。ネットも、網目の細かさや素材によって虫の入りにくさや耐久性が変わります。つまり、道具は「そろえる」もの、材料は「合わせる」ものです。
具体的な失敗としては、ネットだけ新調して古いゴムをそのまま使おうとしたら、ゴムが硬くなっていて溝に入らなかった、というケースがあります。ゴムが再利用できるかどうかには条件があり、後半で詳しく扱います。買い物メモを「道具」「材料」の2列に分けて書くだけで、確認すべき点がはっきりします。
張替えセットには何が入っていて、何が入っていないか
初めて張り替える人にとって手軽なのが、網戸メーカーやホームセンターが出している張替えセットです。たとえばYKK APの公式コラムでは、Parts Shopの商品を「網戸1枚分の張替えに必要な道具(網戸ネット[ブラックネット]・網戸ロープ・網張ローラー)をセットにした商品」と紹介しています。ネットとロープ(押さえゴム)という材料2つに、ローラーという道具1つが組み合わさった構成です。
ここで気づいてほしいのは、セットに入っているのは「網戸1枚分」の材料と、ローラーという中心的な道具だけだという点です。古いゴムを外すドライバー、仮止めのクリップ、溝を掃除するブラシ、余った網を切るカッターは、家にある物で用意する前提になっています。セットを買えば全部そろう、と思い込んで作業を始めると、外す工程や切る工程で手が止まります。
また、セットのロープが自分の網戸の溝に合うかどうかは、網戸のメーカーや製品によって変わります。メーカー純正のセットであれば同じメーカーの網戸に合わせやすい一方、他社の網戸に使う場合は太さを確認してからにしましょう。セットを選ぶときは、対応する網戸の種類と、何枚分なのかをパッケージで確かめるのが基本です。
| 道具 | 使う工程 | 代用できる物 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 網押さえローラー | ゴムを溝に入れる | 専用品を用意したい | 角は反対側の爪で押し込む |
| マイナスドライバー・目打ち | 古いゴムを外す | 手持ちの物で可 | 新しいゴムの押し込みには使わない |
| 仮止めクリップ | 網を枠に仮止めする | 洗濯ばさみ | 網目が框と平行か確かめて留める |
| ブラシ | 溝のほこりを落とす | 歯ブラシ | ゴムを外した直後に掃除する |
| 網戸専用カッター・仕上げはさみ | 余分な網や糸を切る | 一般のカッター・はさみ | 刃を長めに出し、フレームに沿わせる |
出典:コメリ「網戸の張り替え」、YKK AP 公式コラムの記載をもとに編集部で整理

ローラーとドライバー、どこで使い分けると網を破らずに済む?
網押さえローラーは「ゴムを均一な力で溝へ送る」ための道具
5つの道具のうち、専用品を用意したいのが網押さえローラーです。ホームセンターの手順解説でも「網押さえゴムを溝に押し込む時に非常に便利なローラーです。網戸の張り替え必須アイテム。」と書かれています。
なぜ専用品が必要かというと、ゴムを溝に入れる作業は「同じ深さ・同じ力で、長い距離を連続して押し込む」作業だからです。ローラーは円盤を転がしながら押すので、力が一点に集中せず、ゴムが溝の奥まで均一に収まります。指や平らな棒で押し込もうとすると、押した場所だけ深く入り、その間の部分が浮いてしまいます。ゴムが浮いた区間では網が固定されず、そこからたるみが広がっていきます。
ローラーの多くは、片側がゴムを押し込む円盤、もう片側がへら状の爪や小さな円盤になっています。円盤側で辺をまっすぐ転がし、反対側は角の処理に使う、という役割分担です。購入するときは、円盤の縁が溝に入る形になっているか、持ち手が握りやすいかを手に取って確かめましょう。長い辺を何度も往復するので、握りやすさは仕上がりの安定に直結します。
角は「反対側の爪」で押し込むのが理にかなっている
網戸の四隅は、張り替えでいちばん手こずりやすい場所です。ローラーの円盤は直線を転がすのは得意ですが、直角に曲がる角では円盤が枠にぶつかって奥まで届きません。そこでコメリの手順解説では、角はローラーの反対側の爪を使うと押し込みやすい、と案内されています。
理屈は単純で、爪は先端が細いぶん、円盤が入り込めない角の奥までゴムを押し込めるからです。角でゴムが浮いたままだと、その部分の網が引っ張られずに残り、角から斜めにしわが走る原因になります。辺は円盤でスッと転がし、角に来たら持ち替えて爪で押し込む。この持ち替えを省かないことが、四隅をきれいに収めるコツです。
やりがちなのは、角を円盤のまま無理に押し込もうとして、ゴムを溝からはみ出させてしまうケースです。はみ出したゴムは網を押さえる力が弱く、後からその角だけ浮いてきます。角に来たら一度手を止め、ゴムが溝に沿って曲がっているかを目で確かめてから爪で押し込みましょう。ゴムを角で切らずに曲げて通すか、角で切るかは網戸の構造によって違うため、古いゴムがどう入っていたかを外す前に観察しておくと迷いません。
マイナスドライバー・目打ちは「外す工程」専用と決めておく
古い押さえゴムは、長年溝に収まっていたぶん硬くなっていて、指だけではつまみ出しにくいことがあります。そこで使うのがマイナスドライバーや目打ちです。ゴムの端に先端を差し込んで少し持ち上げ、端が出てきたら指でつまんで引き抜いていきます。外す工程では、先端が細く硬い道具のほうが作業が早く進みます。
ただし、この道具は「外す工程専用」と決めておくのが大切です。コメリの手順解説では、新しいゴムの押し込みにドライバーを使うと溝を外して網を傷つけるおそれがあり、ローラーを使うほうが安全だと案内されています。ドライバーの先端は細く硬いため、押し込むときに力が一点にかかり、ゴムから滑ったときに張ったばかりの網へ直接刺さってしまうのです。
目打ちも同じで、先が尖っているぶん、外す工程では便利でも、張る工程では網を破るリスクが高くなります。作業台にはドライバーを置いたままにせず、外し終わったら一度片付けてしまうと、うっかり手に取ることを防げます。ドライバーを網戸以外の作業でも使う人は、先端が欠けたり丸くなったりしていないかも確認しておきましょう。先端が傷んでいると、ゴムに引っかからず滑りやすくなります。

ビスを締めている途中で、ドライバーが急にカリカリと空回りし始める。十字の溝をのぞくと角が丸くつぶれている。ねじがなめた状態になると、締めることも外すこともできな…
状況:角でローラーが入らず、手元にあったマイナスドライバーでゴムを押し込んだら、先端が滑って張ったばかりの網に穴があいた。
原因:ドライバーの先端は細く硬いため力が一点に集中し、ゴムから外れると網へ直接刺さる。
対策:新しいゴムの押し込みはローラーの円盤と反対側の爪だけで行う。ドライバーは古いゴムを外した時点で作業台から片付ける。
クリップ・ブラシ・カッター、脇役の道具で仕上がりが変わる理由

仮止めクリップは「網目を框と平行に保つ」ための道具
新しい網を枠に載せたら、ゴムを入れる前に仮止めクリップで網を留めます。クリップは洗濯ばさみで代用できる、とコメリの手順解説でも案内されている道具ですが、役割は軽く見ないほうがよい工程です。
仮止めの目的は、ゴムを入れている間に網がずれないようにすることと、網目を框(かまち、網戸の枠の部材)と平行に保つことの2つです。網は1本の辺を押さえ込むと、その辺に引っ張られて反対側が動きます。仮止めをしていないと、1辺目を押さえた時点で網全体が斜めにずれ、網目が枠に対して傾いたまま固定されてしまいます。網目が斜めになると見た目が悪いだけでなく、引っ張る力が網目に沿わず、部分的なたるみやしわが出やすくなります。
やりがちなのは、クリップを1辺に1つずつしか付けず、網の中央が波打った状態でゴムを入れ始めてしまうことです。クリップは各辺に複数付け、網全体が枠の上で平らに載っている状態をつくってからゴムに取りかかりましょう。留める前に、網目の横糸が框の上端とまっすぐ並んでいるかを目で確かめておくと、仕上がりのゆがみを減らせます。
ブラシで溝を掃除しないと、ゴムが奥まで入らない
古いゴムを外したあとの溝には、長年たまったほこりや砂、古いゴムの欠片が残っています。ここをブラシで掃除するのが次の工程です。ブラシは歯ブラシで代用できます。
掃除が必要な理由は、溝の中に異物が残っていると、新しいゴムがその上に乗り上げて奥まで入らないからです。ゴムが浅く入っていると、網を押さえる力が弱くなり、少し引っ張られただけで外れてきます。とくにサッシの網戸は屋外側にあるため、溝の底に砂ぼこりが固まっていることが少なくありません。見た目にはきれいでも、指でなぞるとざらつくことがあります。
具体的には、ゴムを抜き取った直後、まだ網を載せる前のタイミングで溝の全周をブラシでかき出すのが効率的です。網を載せてからでは溝が見えにくくなり、掃除できません。四隅の角は汚れがたまりやすいので、歯ブラシの先を立てて念入りにかき出しましょう。掃除のついでに、枠に曲がりやひびがないかも確認しておくと、張り替えだけで済むのか、枠ごと交換を考えるべきなのかの判断材料になります。
カッターは刃を長めに出し、フレームに沿わせて切る
ゴムを入れ終わったら、枠からはみ出した余分な網を切り落とします。コメリの手順解説では網戸専用カッターは「余分な網を切り取ります。」、網戸仕上げはさみは「網をカットした際に残った糸を切りそろえます。」とされ、どちらも通常のカッターナイフやはさみで代用できると案内されています。専用品がなくても、手持ちのカッターで作業できるということです。
一般のカッターで切るときのコツとして、同じ解説では、刃を長めに出してフレームに沿わせて切ると枠に傷がつきにくいと案内されています。刃を短く出したまま切ると、刃先を立てて押し当てる形になり、刃が枠の表面に食い込んで傷をつけやすくなります。刃を長めに出して寝かせ、フレームの縁をガイドにして滑らせると、刃先が枠に当たる角度が浅くなり、網だけを切りやすくなるわけです。
やりがちな失敗は、ゴムのすぐ際を狙いすぎて、ゴムまで切ってしまうことです。ゴムに切れ目が入ると押さえる力が落ち、そこから網が外れてきます。切る位置はゴムの外側、溝の縁に沿うラインを意識しましょう。網の端からほつれた糸が出ている場合は、はさみで切りそろえると見た目が整います。刃が鈍っていると網を引っ張って切ることになり、せっかく張った網が動くので、切れ味の落ちた刃は折って新しい刃先を出してから使います。
| 種類・方式 | 円盤を転がしてゴムを溝へ押し込む手工具。反対側に爪が付いたタイプがある |
| 使う工程 | 新しい押さえゴムを溝に入れる工程(辺は円盤、角は反対側の爪) |
| 代用の可否 | ドライバーでの代用は網を傷つけるおそれがあり、ローラー使用が安全とされる |
| 使い方のコツ・注意 | 残りの二辺は網を少し引っ張りながら入れる。角では反対側の爪で押し込む |
代用でいい道具と、代用しないほうがいい道具の線引き
ここまでの5つを整理すると、代用でいいものと、専用品を用意したいものの線引きが見えてきます。仮止めクリップは洗濯ばさみ、ブラシは歯ブラシ、カッター・はさみは一般のもので代用できる、とコメリの手順解説で案内されています。マイナスドライバーや目打ちも、家にあるもので足ります。
一方、網押さえローラーだけは専用品を用意したい道具です。理由はこれまで見てきたとおりで、ゴムを均一な力で連続して押し込むという役割を、ほかの道具では代わりにくいからです。ドライバーや指で押し込むと、力が一点に集中するか、逆に足りなくなるかのどちらかになり、網の破れやゴムの浮きにつながります。
この線引きを知っておくと、「専用道具を全部そろえないと始められない」という思い込みから解放されます。たとえば、ベランダの網戸1枚だけを張り替えたい人なら、ローラーと材料だけを買い、残りは家にあるもので用意すれば十分です。逆に、家じゅうの網戸を順に張り替える予定の人は、網戸専用カッターや仕上げはさみを用意しておくと、枚数が増えたときに作業が安定します。どこまで専用品にするかは、張り替える枚数で決めるのが現実的です。
網押さえゴムの太さは、なぜ古いゴムを持って行くのが確実なのか
ゴムの太さはメーカーごとに違う、という前提から始める
網押さえゴムは、網戸の張り替えで選び方を間違えやすい材料です。コメリの手順解説では「メーカーにより太さが違いますので、新しく購入する際は、使用していたゴムをご持参下さい。」と案内されています。
太さが違う理由は、網戸の枠に彫られた溝の幅が、メーカーや製品によって違うからです。ゴムは溝と網を一緒に押し込み、溝の壁とゴムの間で網を挟み込んで固定します。この挟み込む力は、溝の幅とゴムの太さの組み合わせで決まります。つまり、ゴムの太さは「好み」で選ぶものではなく、溝に合わせて決まっているものなのです。同じYKK APの網戸でも、製品によってゴムの太さが違うことがあります。
そのため、売り場でパッケージの太さ表示だけを見て選ぶより、外した古いゴムを実際に持って行き、並べて比べるほうが確実です。古いゴムは長年の使用で縮んだり潰れたりしていることがあるので、潰れていない部分を比べるのがコツです。持参できない場合は、網戸の枠に貼られたメーカーのラベルや、網戸の取扱説明書を手がかりにしましょう。
太すぎても細すぎても、網が固定されない理屈
ゴムの太さが溝に合わないと、どんなことが起きるのでしょうか。理屈はシンプルで、挟み込む力のバランスが崩れるからです。
ゴムが太すぎる場合は、溝に入りきらず、ローラーで押しても途中で浮き上がってきます。無理に押し込もうとして力をかけると、網がゴムに引っ張られて溝の中で偏り、しわの原因になります。さらに強く押し込んだ拍子に網が破れることもあります。逆に細すぎる場合は、ゴムは簡単に溝へ入りますが、溝の壁との間に余裕が残るため、網を挟み込む力が足りません。張った直後はきれいに見えても、網が少し引っ張られただけでゴムごと抜けてきます。
この「細すぎて抜ける」失敗は、作業中には気づきにくいのが厄介なところです。張り終えた時点では平らに見えるので安心してしまい、数日後に網がたるんで初めて気づく、という流れになりがちです。ゴムを入れたら、指で軽くゴムを押してみて、溝の中でぐらつかずにしっかり収まっているかを確かめましょう。押したときにゴムが溝の中で動くようなら、太さが合っていない可能性があります。
実は、古いゴムは新品にしなくていい場合がある
意外と知られていないのが、押さえゴムは必ずしも毎回新品にしなくてもよい、という点です。コメリの手順解説では、古いゴムについて「今まで使っていたゴムも、引っ張って切れなければ使えます。」と案内されています。
再利用を判断するときに見るのは、ゴムを軽く伸ばしたときに切れないかどうかです。ゴムは紫外線や温度変化にさらされて劣化すると弾力を失い、伸ばすとひびが入ったり、ちぎれたりします。こうなったゴムは溝の中で網を押し返す力も弱くなっているので、新品に替えましょう。一方、伸ばしても切れず、弾力が残っているゴムなら、もう一度溝に入れても網を挟み込む役割を果たせるということです。
ただし、YKK APの公式コラムでは「ゴムが劣化していたらネットとあわせて張り替えるタイミングです。」とも書かれています。再利用できるかどうかは、あくまで劣化していないことが前提です。迷ったときは新品にしておくと、ゴムの太さを古いゴムと比べて確かめる手間はかかりますが、張り替え後に抜けてくる心配を減らせます。古いゴムは、再利用するにしても、しないにしても、太さを確かめる見本として捨てずに取っておきましょう。
ネットの素材と網目、何を基準に選べば後悔しない?
ポリプロピレン・ポリエステル・グラスファイバーの違いは紫外線への強さ
網戸ネットの素材は、主にポリプロピレン、ポリエステル、グラスファイバーの3種類です。YKK APの公式コラムでは、ポリプロピレンについて「紫外線で劣化が進むため定期的に張り替えが必要です。」と説明し、グラスファイバーについては「グラスファイバーは、耐熱性に優れ、紫外線による劣化もしにくい素材です。」と説明しています。
素材の違いを理解する軸は、紫外線への強さです。網戸は窓の外側にあり、一日じゅう日差しを浴びます。紫外線で劣化しやすい素材は、年月とともに網が硬くもろくなり、破れやすくなります。ポリプロピレンは価格が安く軽量ですが、この劣化が進みやすいぶん、張り替えの間隔が短くなりがちです。ポリエステルは、同じコラムでポリプロピレンより強度が高く寿命が長めとされています。グラスファイバーは紫外線による劣化がしにくい素材です。
選ぶときの考え方としては、日当たりの強い南向きの窓や、張り替えの手間をなるべく減らしたい場所ほど、紫外線に強い素材を検討する価値があります。反対に、北向きの小窓など日差しの弱い場所なら、価格の安い素材で十分と考える人もいるでしょう。パッケージの素材表示を確認し、張る場所の日当たりと合わせて選ぶのが基本です。
| 項目 | ポリプロピレン | ポリエステル | グラスファイバー |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 価格が安く軽量 | ポリプロピレンより強度が高い | 耐熱性に優れる |
| 紫外線への強さ | 劣化が進むため定期的な張り替えが必要 | 寿命が長め | 紫外線による劣化がしにくい |
| 考え方の目安 | 日差しの弱い場所・まめに張り替える人 | 強さと価格のバランスを取りたい人 | 日当たりの強い窓・張り替え回数を減らしたい人 |
出典:YKK AP 公式コラムの素材説明をもとに編集部で整理
メッシュ番号は「数字が大きいほど細かい」と覚える
ネットのパッケージには、素材のほかにメッシュという数字が書かれています。コメリの手順解説では「替え網の種類は、20、24、26、30メッシュがあります。数が大きい程、網目が細かく、虫が入りにくくなります。」と案内されています。
メッシュの数字は網目の細かさを表しており、数字が大きいほど網目が細かく、小さな虫が通り抜けにくくなります。虫の侵入に悩んでいる人ほど、大きい数字を選ぶ理由がここにあります。一方で、網目が細かくなると、糸と糸のすき間が狭くなるぶん、風の通りや外の見え方にも影響します。網目を細かくすればするほど良い、というわけではなく、虫を防ぎたいのか、風通しを優先したいのかで選び方が変わります。
やりがちなのは、今の網戸と同じ網目だと思い込んで、パッケージの数字を確かめずに買ってしまうことです。もし今の網戸で小さな虫の侵入が気になっていたなら、張り替えはメッシュを見直すよい機会です。ただし、網目を細かくしても、網戸とサッシの間にすき間があれば虫は入ってきます。網目の選び方と建付けの確認は、セットで考えるのが基本です。建付けについては後半で扱います。
色は外からの見え方と価格で選ぶ
ネットには色の違いもあります。コメリの手順解説では、グレーのほか、内側がブラック・外側がシルバーのタイプもあり、外から中が見えにくい一方、価格はやや高めだと案内されています。YKK APのParts Shopの張替えセットにはブラックネットが入っています。
色で見え方が変わるのは、光の反射の仕方が違うからです。外側が明るい色だと日中は外からの光を反射しやすく、室内が見えにくくなります。内側が暗い色だと室内から外を見たときに網が目立ちにくく、景色がすっきり見えます。内側と外側で色を変えたタイプは、この2つの効果を組み合わせたものと考えると理解しやすいでしょう。
選ぶときは、道路や隣家に面していて外からの視線が気になる窓かどうか、室内からの眺めを重視したい窓かどうかを考えます。視線が気になる窓なら外から見えにくいタイプを、それほど気にならない窓なら標準的な色を選ぶ、という使い分けが現実的です。色によって価格が変わることもあるので、家じゅうの網戸をまとめて張り替える場合は、窓ごとに役割を決めて選ぶと費用のかけどころを絞れます。
読者タイプ別に見る、ネットと道具の組み合わせ
ここまでの素材・メッシュ・色の話を、家の状況別に組み合わせてみます。初めて張り替える人には、網戸メーカーの張替えセットから入る方法が向いています。材料とローラーがそろっているので、残りはクリップやブラシ、カッターを家の物で用意するだけで始められます。対応する網戸の種類と枚数をパッケージで確かめるのを忘れずに。
小さな虫の侵入に悩んでいる人は、メッシュの数字が大きいネットを選ぶのが手がかりになります。ただし、網目だけでなく網戸の傾きや戸車の状態も確認しましょう。日当たりの強い窓の網戸が数年で破れてしまう人は、紫外線に強い素材を検討する価値があります。外からの視線が気になる窓には、外から中が見えにくい色のタイプが選択肢です。
家じゅうの網戸を順に張り替える予定の人は、道具を一度そろえておけば次からは材料だけで済みます。網戸専用カッターや仕上げはさみを用意しておくと、枚数が増えても作業が安定します。逆にベランダの1枚だけなら、専用品はローラーだけにして、残りは代用品で十分です。自分の状況に近いものから考えると、売り場での迷いが減ります。
張り替えの手順と、たるみ・しわを防ぐ引っ張り方の理屈
古い網とゴムを外したら、溝の掃除までを一続きで済ませる
作業は、網戸をサッシから外し、平らで広い場所に寝かせるところから始まります。網戸の外し方は製品によって違うため、外れ止めの部品の位置などは網戸の取扱説明書で確認しましょう。床に直接置くと枠を傷つけることがあるので、古い毛布や段ボールを敷いておくと安心です。
網戸を寝かせたら、マイナスドライバーや目打ちで古いゴムの端を持ち上げ、指でつまんで引き抜きます。ゴムが外れれば古い網も一緒に外れます。このとき、ゴムが角でどう曲がっていたか、どこが継ぎ目だったかを観察しておくと、新しいゴムを入れるときの手がかりになります。外したゴムは太さの見本として取っておきましょう。
ゴムと網を外したら、そのままブラシで溝を掃除します。ここを「外す工程」と一続きにするのがコツで、網を載せてからでは溝が見えなくなり、掃除できません。掃除をしながら、枠に曲がりやひびがないかも見ておきます。YKK APの公式コラムでは、フレームに歪みがある場合はフレームごとの交換がすすめられており、枠が曲がっていると、どれだけ丁寧に網を張ってもすき間やたるみが残りやすくなります。
網は枠より一回り大きく切り、網目を框と平行にして仮止めする
溝の掃除が済んだら、新しい網を枠の上に広げます。網は枠より一回り大きく切り、仮止めクリップで留めます。網を枠ぴったりの大きさで切ってしまうと、ゴムを入れるときに引っ張る余裕がなくなり、端が溝まで届かなくなります。一回り大きく切っておけば、引っ張る余裕と、最後に切りそろえる余白の両方が残ります。
仮止めのときに意識したいのが、網目が框と平行になっているかどうかです。網目が斜めのままゴムで固定すると、引っ張る力が網目に沿わずに偏り、片側だけたるんだり、斜めにしわが入ったりします。網を広げたら、横糸が框の上端とまっすぐ並ぶように位置を整え、それからクリップで留めていきましょう。
やりがちなのは、網を広げた勢いのまま、網目の向きを確かめずにクリップを付けてしまうことです。いったんゴムを入れ始めると、網目の傾きを直すにはゴムを外してやり直すしかありません。仮止めの段階で一度手を止め、少し離れた位置から網目の並びを眺めて確認すると、ゆがみに気づきやすくなります。各辺に複数のクリップを付け、網全体が枠の上で平らに載った状態をつくってから次へ進みます。
短い辺から長い辺へ、残りの二辺は網を少し引っ張りながらゴムを入れる
いよいよゴムを入れる工程です。コメリの手順解説では、網目とサン(枠)が平行になるように注意しながら短い辺からゴムを押し込み、次に長い辺へ移る順序が案内されています。そして、残りの二辺については「網を少し引っ張りながらローラーを押し進めると、網がたるまずにきれいに張れます。」とし、ここが仕上げのポイントだと書かれています。
短い辺から始める理由は、網の動きを小さい範囲から固定していくためと考えると理解しやすいでしょう。短い辺を先に押さえると、網の片側の位置が決まり、残りの辺で引っ張る方向が定まります。長い辺から始めると、固定される距離が長いぶん、その間に網がずれたり波打ったりしやすくなります。
網を引っ張るのは、ゴムで網を溝に押し込むと、そのぶん網が溝の中へ引き込まれるからです。引っ張らずにゴムを入れていくと、ゴムが網を少しずつ巻き込みながら進むため、反対側に余りがたまり、たるみとして残ります。片手でローラーを転がしながら、もう片方の手で網を軽く外側へ引くのが基本の動きです。強く引きすぎると網目がゆがむので、網がピンと平らになる程度を意識しましょう。角に来たらローラーの反対側の爪に持ち替えて、ゴムを奥まで押し込みます。
たるんだら部分的にやり直す、張りすぎにも注意する
ゴムを入れ終えて、どこかにたるみが残っていた場合は、全部をやり直す必要はありません。コメリの手順解説では、たるんだ部分のゴムを外して張り直す方法が案内されています。たるみのある辺のゴムだけを外し、網を軽く引っ張り直してから、もう一度ローラーで押し込めば直せます。
反対に気をつけたいのが、張りすぎです。コメリの手順解説でも引っ張る加減は「網を少し引っ張りながら」とされており、限界まで強く引く必要はありません。強く引っ張りすぎると網目がゆがむ原因になります。
目安としては、網の中央を手のひらで軽く押してみて、大きく沈み込まず、波打ちやしわがない状態をめざします。太鼓の皮のように張り詰める必要はありません。張った直後にたるみがなくても、数日たってから網の状態をもう一度確かめると、ゴムが浮いてきた箇所に早めに気づけます。浮きを見つけたら、その部分だけローラーで押し直しましょう。
状況:仮止めして順番どおりにゴムを入れたのに、最後の長い辺だけ網が波打ってしまった。
原因:ゴムが網を溝へ巻き込みながら進むため、引っ張らずに入れると余りが反対側にたまり、たるみとして残る。
対策:ローラーを転がしながら、反対の手で網を外側へ軽く引く。たるんだ辺はゴムだけ外して張り直す。引っ張りは「少し」にとどめ、網目がゆがまない程度にする。
そもそもDIYで張り替えてよい網戸か?時期と確認しておきたいこと
張り替え時期は、ネット・ゴム・戸車・フレームの4か所で判断する
張り替えのタイミングは、網が破れたときだけではありません。YKK APの公式コラムでは、ネットについて「ネットに破損やたるみが見られるときは、早めに交換しましょう。」と案内されています。破れていなくても、たるみが出ていれば交換を考える時期です。
同じコラムでは、ネット以外の部品についても目安が示されています。ゴムが劣化していればネットとあわせて張り替えるタイミング、戸車に不調があると隙間ができたり動きが悪くなったりするため交換が必要、フレームに歪みがある場合はフレームごとの交換がおすすめ、という内容です。つまり、網戸はネット・ゴム・戸車・フレームの4か所を見て状態を判断するのが基本になります。
この4か所を見る理由は、ネットだけ新しくしても、ほかの部品に不具合があると張り替えの効果が出ないからです。たとえばフレームが歪んでいると、張ったばかりの網にもすぐたるみが出ますし、戸車が傷んでいると網戸が傾いてサッシとの間にすき間ができます。張り替えを決める前に、網戸を開け閉めしてみて動きが重くないか、枠が曲がっていないかを確かめておきましょう。ネットとゴム以外に不具合があれば、張り替えより先に部品の交換を考える必要があります。
ロールタイプや一部の玄関用網戸は、DIYで張り直せない場合が多い
YKK APの公式コラムには「網戸の交換は、特殊な網戸でない場合DIYすることも可能です。」とあります。裏を返せば、特殊な網戸はDIYに向かないということです。同じコラムでは、ロールタイプや一部の玄関用網戸は、DIYでネットの張り直しができない場合が多いとされています。
ロールタイプの網戸は、ネットが巻き取られて収納される仕組みで、ネットの取り付け方そのものが一般的な引き違いの網戸とは違います。ゴムで溝に押し込む構造ではないため、この記事で紹介した道具と手順はそのまま当てはまりません。無理に分解すると、巻き取りの仕組みを傷めてしまうおそれがあります。
また、クリアネットのような特殊なネットについても、YKK APのコラムでは張り替えに技術を要するため施工店への依頼がすすめられています。自分の網戸がどのタイプか分からない場合は、枠に貼られたメーカーのラベルや取扱説明書で製品を確認しましょう。収納網戸などの取り外し・調整については、各メーカーの取扱説明書の手順に従い、張り替えの可否が判断できないときはメーカーに相談するのが確実です。
・ネットの破れ・たるみだけでなく、ゴムの劣化、戸車の不調、フレームの歪みも見る
・ロールタイプや一部の玄関用網戸、クリアネットはDIYでの張り直しに向かない場合が多い
・集合住宅では窓・網戸が原則として共用部分。管理規約や契約書を確認し、許可を得てから作業する
集合住宅の網戸は原則として共用部分、作業前に許可を取る
マンションやアパートに住んでいる人が見落としやすいのが、網戸の扱いです。YKK APの公式コラムでは「原則として、マンションなどの集合住宅の窓・網戸は共用部分です。」と案内されており、管理規約や契約書を確認し、許可を得る必要があるとされています。
同コラムでは、そのため自己判断では交換できず、分譲マンションなら管理規約、賃貸マンションなら契約書を確認のうえ、管理組合や家主の許可を得てから交換するよう案内されています。自分の部屋の網戸であっても、勝手に交換したり別の仕様に変えたりすると、規約に反することになりかねません。賃貸住宅の場合は、さらに貸主との契約内容も関わってきます。張り替えが必要になった経緯によっては、自分で費用を負担して作業するべきか、管理会社や貸主に対応してもらうべきかが変わることもあります。
集合住宅で張り替えを考えたら、まず管理規約や賃貸借契約書で窓・網戸の扱いを確認し、管理組合や管理会社、貸主に連絡して許可を取ってから作業しましょう。許可が出た場合も、ネットの色や網目を変えてよいかは別に確認しておくと安心です。外から見える網の色が建物全体で揃えられているケースもあります。

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張り替えても虫が入るときは、網戸の傾きを疑う
新しい網に張り替えたのに、まだ虫が入ってくる。そんなときは、網そのものではなく網戸の取り付け状態に原因があるかもしれません。引き違いのサッシの網戸は、開け閉めするために窓や枠との間にわずかなすき間があり、毛足のついた部材でふさいではいるものの、完全には防ぎきれない構造です。
さらに、網戸が傾いてサッシ枠や窓との間にすき間ができていると、虫が入りやすくなります。この傾きは、戸車の調整で改善する場合があります。戸車は網戸の下部についている小さな車輪で、調整ねじで高さを変えられる製品が多くあります。網戸を閉めた状態で、上下や左右のすき間が均一かどうかを目で確かめてみましょう。片側だけすき間が広い場合は、網戸が傾いているサインです。
戸車の調整方法は製品によって違うため、メーカーの取扱説明書で手順を確認してから行います。調整しても動きが重い、ガタつくといった症状が残る場合は、YKK APのコラムにあるとおり戸車の交換が必要なこともあります。網目を細かくすることと、網戸の建付けを整えることは、虫を防ぐうえでの両輪です。
まとめ
最初の一歩は、張り替えたい網戸の古いゴムを1本外して、売り場に持って行くことです。ゴムの太さが合えば、あとはネットとローラーを選び、家にある洗濯ばさみ・歯ブラシ・カッターで作業を始められます。
※製品の仕様や取り扱いは変更されることがあります。最新情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書でご確認ください。

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