ホームセンターの木材売り場で、棚板サイズの明るい色の板がたくさん並んでいるのを見たことがあると思います。表面をよく見ると、細長い木片がつなぎ合わされた模様が入っている。それがパイン集成材です。手ごろな大きさで切りそろえられていて扱いやすそうに見えますが、無垢の一枚板と何が違うのか、反りやすいのか、塗装はそのままでいいのか、と迷う人も多いはずです。
結論から言うと、パイン集成材は松系の針葉樹を細かい板に分けて、繊維の向きをそろえて接着し直した木材です。日本農林規格(JAS)では、造作用集成材の含水率の平均値を15%以下と決めています。また林野庁の森林・林業白書は、集成材を「狂い、反り、割れ等が起こりにくく強度も安定している」材として紹介しています。ただ、反らない木ではありません。置き場所の湿気や、ビスの打ち方、塗装前の研磨しだいで仕上がりは変わります。
この記事では、農林水産省のJAS規格、林野庁の資料、塗料メーカーの公式ガイドといった一次情報をもとに、パイン集成材の仕組みと選び方、加工と塗装のコツを理屈から説明します。
・パイン集成材が無垢板とどう違うのか(JASの定義から)
・反りや割れが出にくい理由と、含水率15%の意味
・JAS表示の区分とF☆☆☆☆などホルムアルデヒド表示の読み方
・カット・ビス留め・塗装で失敗しないための下地づくり
パイン集成材とは?小さな板を接着した「組み直した木」

JASの定義では「繊維方向をそろえて集成接着した木材」
パイン集成材は、ひとことで言えば小さな木片を接着して、大きな板に組み直した木材です。集成材という呼び名には、きちんとした国の定義があります。農林水産省の集成材の日本農林規格は、適用範囲を「この規格は,ひき板,小角材等をその繊維方向を互いにほぼ平行にして,厚さ,幅及び長さの方向に集成接着をした木材(以下“集成材”という。)に適用する。」と定めています(農林水産省 集成材の日本農林規格)。
ここで大事なのは「繊維方向をほぼ平行にして」という部分です。木は繊維の向きと、それと直角の向きとで、強さや伸び縮みの大きさが違うという性質を持っています。向きをばらばらにして貼ると、木片ごとに伸び縮みの方向が違ってしまい、接着面に無理な力がかかります。そこで、繊維の向きをそろえ、厚さ・幅・長さの3方向にそれぞれ接着していくわけです。
売り場で板の表面を見ると、長方形の木片がレンガのように並び、木口(板の端)では短い木片がギザギザにかみ合わせてつながっているのが見えるはずです。あれが長さ方向の接着部分です。よくある勘違いが、この継ぎ目を「傷」や「割れ」だと思ってしまうこと。継ぎ目はもともとの構造なので不良品ではありません。気になる場合は、継ぎ目の模様が目立ちにくい面を表にして使う、という選び方をすると見た目の満足度が上がります。
ひき板=丸太をのこぎりでひいて作った板のこと。集成材の材料になる一枚一枚の板を指します。
集成接着=ひき板や小角材を、繊維方向をそろえて厚さ・幅・長さの方向に貼り合わせること(集成材の日本農林規格の適用範囲の記述による)。
木口=木材を繊維と直角に切った断面。年輪が見える面です。
パイン材はラジアータパインなど松系の針葉樹
パイン(pine)は英語で松のことです。パイン集成材は、松系の針葉樹を短冊状の板に切って接着した集成材で、棚板用の材として流通しています。よく名前が挙がる樹種のひとつがラジアータパインです。北海道立林産試験場の林産試験場報に掲載された北海道大学の解説では、原産地は「米国カリフォルニア州南部の太平洋岸」で、ニュージーランドで早期育成林業の樹種として大きく植林されていると紹介されています(林産試験場報「ニュージーランドにおけるラジアータパインの育成と利用」)。
なぜ樹種名を気にするのかというと、同じパインでも樹種によって色味や硬さ、節の出方が変わるからです。針葉樹は広葉樹に比べると柔らかい傾向があるため、ノコギリや電動工具で加工しやすい反面、角をぶつけるとへこみやすいという面もあります。家具の天板にして食器を置いたり、子どもが机として使ったりする場合は、小さな打痕がつくことを前提に考えておくと、後から「思ったより傷がつく」とがっかりせずに済みます。
売り場の商品ラベルには「パイン集成材」とだけ書かれ、具体的な樹種が書かれていないこともあります。樹種まで気になる場合は、ラベルの品名欄や原産国の表示、またはメーカー・輸入元の商品情報を確認するのが確実です。表示がない商品を、記憶や見た目だけで樹種を決めつけないことも大切です。
| 種類・方式 | 松系の針葉樹(ラジアータパイン等)を短冊状の板に切って接着した集成材 |
| 主な仕様(JAS 造作用集成材) | 試験片の含水率の平均値が15%以下/接着は両木口面の剝離率10%以下 |
| 流通サイズの例 | 幅300mm×長さ450mm×厚さ18mm、幅200×450×15mm、幅300×450×15mm(カインズ販売ページの商品名) |
| 使い方のコツ・注意 | 保管は直射日光・高湿を避ける。塗装前は240番で木目に沿って研磨 |
無垢の一枚板とは「癖の出方」が違う
無垢の一枚板と集成材の違いは、木1本分の癖がそのまま板全体に出るかどうかにあります。無垢板は1本の丸太から切り出すので、その木が育つ間に抱えた癖、つまり年輪の詰まり方の偏りや、乾燥で縮みやすい向きが、板1枚にまるごと残ります。
一方の集成材は、細かく分けたひき板を組み直した材です。構造として、1本の木の癖が板全体を支配する形にはなっていません。林野庁の森林・林業白書は「集成材は、狂い、反り、割れ等が起こりにくく強度も安定していることから、プレカット材の普及を背景に住宅の柱、梁(はり)及び土台にも利用が広がっている。」と説明しています(林野庁 森林・林業白書)。
ただし、無垢板が劣っているという話ではありません。無垢板は木目が1枚につながっていて、継ぎ目のない見た目を好む人には大きな魅力です。家でやるDIYでやりがちなのが、見た目の好みだけで無垢板を選び、乾燥が不十分なまま組み立ててしまって反らせる、というケースです。DIYを始めたばかりで、まず寸法どおりに組み上げることを優先したいなら集成材、木目のつながりを楽しみたい中級者なら無垢板、というように、何を優先したいかで分けて考えると選びやすくなります。
なぜ反りや割れが出にくいのか|含水率15%と接着の関係
JASの造作用集成材は含水率15%以下と決められている
反りにくさのいちばん大きな理由は、あらかじめ乾いた状態にそろえてあることです。木は水分を含むと膨らみ、乾くと縮みます。この伸び縮みが板の場所ごとに不ぞろいに起きると、板が反ったりねじれたりします。
集成材の日本農林規格は、造作用集成材の含水率について「同一試料集成材から採取した試験片の含水率の平均値が 15 %以下でなければならない。」と定めています(農林水産省 集成材の日本農林規格)。つまりJAS表示のある造作用集成材は、出荷時点で一定以下まで乾いていることが確かめられた材ということです。
ここで気をつけたいのは、この基準はJASの認証を受けた製品に対するものだという点です。売り場の集成材がすべてJAS製品とは限りません。家具用として販売されている板の中には、JASマークのない商品もあります。含水率を気にするなら、商品ラベルや木口に押されたJASマークの有無を確かめましょう。マークがない場合は、それだけで品質が悪いとは言えませんが、含水率の基準がJASと同じだとは判断できない、と理解しておくのが正確です。
平衡含水率約15%は屋外の目安、室内ではさらに低くなる
含水率15%という数字には、もうひとつ意味があります。三重県林業研究所は「自然大気中に放置した時の平衡含水率は、全国平均で約15%と言われています。」と説明しています(三重県林業研究所)。平衡含水率とは、木を置いた環境の湿度と釣り合って、それ以上水分が出入りしなくなった状態の含水率のことです。
ただし、この約15%は屋外の自然大気中での目安です。同じ三重県林業研究所のページは続けて「近年の木造住宅は、高気密・高断熱化と冷暖房の普及により、住宅内における木材の平衡含水率はさらに低くなる傾向にあり」と説明しています(三重県林業研究所)。つまりJASの「15%以下」は、出荷時点で一定以上乾いていることの保証であって、冷暖房のきいた室内に置けば、板はそこからさらに水分を手放して縮む方向に動くと考えておくのが正確です。
逆に言えば、環境とのずれが大きくなると集成材でも動きます。含水率が環境とずれると収縮や反りが起こるため、冬に暖房で乾いた部屋、夏の梅雨どきの湿った部屋など、季節や場所によっては集成材でも反ることがあります。とくに、エアコンの吹き出し口の真下や、日の当たる窓際は、板の片面だけが乾いたり温まったりしやすい場所です。設置場所を決める段階でこうした場所を避けておくのが、いちばん手間のかからない反り対策です。
JASの造作用集成材の含水率基準(平均値15%以下)は、出荷時点で乾いていることの基準です。自然大気中の平衡含水率は全国平均で約15%ですが、冷暖房のきいた住宅内ではさらに低くなる傾向があるため、室内に置いた板は少し縮む方向に動きます。直射日光や高湿の場所では環境とのずれがさらに大きくなり、集成材でも反りが出ることがあります。
接着層の品質は剝離試験で確かめられている
集成材は接着でできている材なので、接着がはがれないことも品質の柱です。集成材の日本農林規格では、接着の程度について、二次接着以外のものは両木口面の剝離率が10%以下で、かつ同一接着層の剝離の長さの合計がその長さの1/3以下であることを求めています。試験で接着層がはがれた割合を測り、基準を超えないものだけが合格になる仕組みです。
この基準があることで、JAS製品の集成材は、継ぎ目ごとに勝手にばらけてしまうような作りにはなっていない、と考えることができます。家でやるDIYで心配になりがちな「接着しているなら、重いものを載せたらはがれるのでは」という疑問への答えのひとつが、この剝離試験です。
とはいえ、JASの接着基準は、水につけっぱなしにしたり、屋外で雨ざらしにしたりといった使い方まで保証するものとして読むべきではありません。やりがちな失敗は、浴室の脱衣所や洗面台まわりなど、水がかかる場所に未塗装のまま置いてしまうことです。接着層だけでなく木そのものが水を吸うため、反りやシミの原因になります。水まわりで使う場合は、塗装で表面を保護したうえで、水が溜まらないように置き方を工夫しましょう。
JAS表示で何がわかる?造作用・構造用とF☆☆☆☆の読み方

棚板や家具に使うのは「造作用集成材」の区分
集成材の日本農林規格には、用途によっていくつかの区分があります。造作用集成材・化粧ばり造作用集成材・構造用集成材・化粧ばり構造用集成柱の4つです。名前は似ていますが、使う場所の想定が違います。
造作用集成材は、規格の中で「集成材のうち,素地のままのもの,素地の美観を表したもの(これらを二次接着したものを含む。)又はこれらの表面にみぞ切り等の加工若しくは塗装を施したものであって,主として構造物等の内部造作に用いられるもの」と定義されています(農林水産省 集成材の日本農林規格)。木の表面をそのまま見せて使う材、というイメージです。家でつくる棚板や小さな家具の天板は、まさにこの使い方にあたります。
一方の構造用集成材は、住宅の柱や梁のように建物を支えるための材です。強度の等級が細かく決められていて、選び方の基準もまったく異なります。DIYの棚づくりでは、構造用の等級表示まで読み込む必要はありません。ただ、売り場で「集成材」とひとまとめに並んでいても区分が違う商品がある、ということは知っておくと、ラベルを見たときに迷いにくくなります。化粧ばりと付くものは、表面に薄い化粧板を貼ったタイプで、見た目は木目でも中身の材が違う場合があります。

F☆☆☆☆は星が多いほどホルムアルデヒドが少ない
集成材のラベルでよく見かけるF☆☆☆☆(エフ・フォースター)は、接着剤などから出るホルムアルデヒドの放散量を示す表示です。星の数が多いほど放散量が少ない、と覚えておけば十分です。
集成材の日本農林規格では、表示区分ごとに放散量の平均値と最大値が決められています。下の表は、規格の数値を工具・DIYの教科書編集部が一覧にしたものです。
| 表示区分 | 平均値 | 最大値 |
|---|---|---|
| F☆☆☆☆ | 0.3mg/L | 0.4mg/L |
| F☆☆☆ | 0.5mg/L | 0.7mg/L |
| F☆☆ | 1.5mg/L | 2.1mg/L |
| F☆S | 3.0mg/L | 4.2mg/L |
出典:農林水産省 集成材の日本農林規格(JAS 1152-1:2023の新旧対照表。2026年改正は表示の章のみで数値は同じ)
表を見ると、F☆☆☆☆とF☆S では平均値に10倍の開きがあることがわかります。部屋の中で使う家具や、子ども部屋の棚に使う場合は、表示の星の数を見て選ぶのがひとつの基準になります。ラベルにF☆の表示がない商品は、この区分でどこにあたるのかを判断できないので、気になる場合はメーカーや販売元に確認するのが確実です。
ラベルで確かめたい3つの欄
パイン集成材を買うときに、ラベルで確かめておきたいのは区分・ホルムアルデヒド表示・寸法の3つです。どれも買ったあとに気づくと取り返しがつきにくい項目です。
まず区分。JASマークがあれば、造作用集成材かどうかがわかります。棚や家具なら造作用で問題ありません。次にホルムアルデヒドの表示で、前の項で見たF☆の数を確認します。最後が寸法で、幅・長さ・厚さが商品名や品名欄に書かれています。寸法はミリ単位で書かれているのが普通なので、設計図の数字と単位をそろえて照らし合わせましょう。
やりがちな失敗は、幅と長さだけを確かめて、厚さを見落とすことです。同じ幅と長さで厚さだけ違う商品が並んでいることがあり、家で組み立て始めてから、ビスの長さや棚受けの溝が合わないと気づくケースがあります。もうひとつ、根拠となる規格は「集成材の日本農林規格(平成19年9月25日農林水産省告示第1152号)」で、現在は2026年2月26日の改正を経たJAS 1152-1:2026として第1部に一般要求事項がまとめられています。2026年の改正は表示の章だけで、造作用集成材の表示事項に「等級(1等又は2等)」が加わりました。含水率や接着、ホルムアルデヒド放散量の基準値は変わっていません。規格の改正で数値が変わることもあるので、気になる項目は農林水産省の公開資料で確かめるのが確実です。
厚さ15mmと18mm、棚板にはどちらを選ぶ?サイズの見方
棚板サイズとして流通する厚さは15mmと18mmが例
棚板サイズのパイン集成材は、厚さ15mmと18mmのものが並んでいる例が多く見られます。たとえばカインズの販売ページでは、幅300mm×長さ450mm×厚さ18mm、幅200×450×15mm、幅300×450×15mmといった商品名の板が並んでいます(カインズ 商品ページ)。
幅と長さが同じでも、厚さが違うと用途の向き不向きが変わります。木の板は、同じ荷重をかけたとき厚いほどたわみにくくなる、という性質があります。棚の間隔を広く取りたい場合や、本のように重いものを載せる場合には、厚いほうが安心です。反対に、小物を飾る程度の棚や、引き出しの側板のように軽さを優先したい部材なら、薄いほうが扱いやすく、全体の重さも抑えられます。
ここで覚えておきたいのは、流通サイズは店やメーカーによって違うということです。今回挙げたのは流通の一例で、すべての売り場で同じサイズがそろっているわけではありません。設計図を描く前に、近くの売り場やメーカーの商品一覧でどの寸法が手に入るかを確かめてから、板のサイズに合わせて設計すると、無駄なカットが減ります。
厚さで変わるのはたわみだけではない
厚さを選ぶとき、たわみにくさだけを見て決めるのはもったいない話です。厚さはビスの選び方や組み立て方にも影響します。
たとえば、棚板の側面から別の板にビスを打ち込む場合、板が薄いほどビスが板の外へはみ出しやすく、木口近くで割れが出やすくなります。厚い板なら、ビスを打てる位置の余裕が広がり、角の近くに打っても板の内側に収まりやすくなります。また、側板に棚受けの溝を彫るような加工をするなら、厚さが残る板のほうが溝を彫ったあとの強度にゆとりがあります。
やりがちな失敗は、棚板と側板を同じ厚さで選んだつもりが、店で別々に買ったために厚さが違っていた、というケースです。厚さが違うと、組み立てたときに板の面がそろわず、段差ができてしまいます。棚板と側板を同じ厚さにそろえたいなら、同じ品名の板をまとめて買い、家に持ち帰ったら最初に定規で厚さを測っておきましょう。数字で確かめておけば、ビスの長さを決めるときも迷いません。
カット済みサイズを使えば加工が減る
棚板サイズのパイン集成材のいちばんの利点は、最初から使いやすい大きさに切りそろえてあることです。木口がまっすぐに切られているので、そのまま組み立てに使える場面が多く、カットの回数を減らせます。
なぜカットの回数が大事かというと、DIYで寸法が狂う原因の多くは、切る工程にあるからです。手ノコでも電動工具でも、まっすぐ直角に切るには慣れが要ります。切り口が少し斜めになっただけで、組み立てたときに箱がゆがんだり、隙間ができたりします。最初から直角に切ってある板の辺を基準にできれば、それだけで精度が上がります。
設計のコツは、流通しているサイズを先に調べ、その寸法をそのまま使えるように作品の大きさを決めることです。たとえば幅300mmの板を棚板に使うなら、棚の奥行きを300mmに設定すれば、幅方向のカットが不要になります。やりがちな失敗は、作りたい寸法を先に決めてしまい、すべての板を切り直すことになるケースです。手持ちの工具で切るのが不安な場合は、売り場のカットサービスを使う方法もあります。サービスの有無や条件は店によって違うので、店頭で確かめましょう。
カット・ビス留めで割れを出さないためのコツ
木口近くにビスを打つと割れやすい理由
パイン集成材のビス留めで気をつけたいのは、板の端、とくに木口に近い位置です。ここにいきなりビスを打ち込むと、板が裂けるように割れることがあります。
理由は、ビスが入るときの押し広げる力にあります。ビスはねじ山で木を押し分けながら進むので、ビスのまわりには外向きの力がかかります。板の内側なら、まわりの木がその力を受け止めてくれますが、端に近いほど受け止める木の量が少なくなり、繊維に沿って割れが走りやすくなります。木は繊維の向きに沿って割れやすい性質があるので、繊維の端が出ている木口側はとくに要注意です。
集成材はひき板を接着した構造なので、接着層の近くにビスが入ると、木片どうしの継ぎ目に力が集まることもあります。棚の側板に棚板を固定するように、板の端からビスを打たなければならない場面は、DIYではよくあります。そういう場所ほど、ビスを打つ前の準備が仕上がりを左右します。
棚の側板と棚板を固定するとき、板の端に下穴をあけずにインパクトドライバーで一気にビスを打ち込み、木口から割れてしまう失敗です。原因は、ビスが木を押し広げる力を端の少ない木で受け止めきれないこと。対策は、ビスを打つ位置に先に下穴をあけ、打ち始めはゆっくり回すことです。使う工具の取扱説明書の注意事項もあわせて確認しましょう。
下穴の太さはビスとメーカーの案内で決める
割れを防ぐいちばん確実な方法が、ビスを打つ前に下穴をあけておくことです。下穴は、ビスが進む道を先に作っておく穴で、ビスが木を押し広げる力を小さくしてくれます。
下穴の太さは、ビスの太さと木の硬さで変わります。硬い木ほど太めに、柔らかい木ほど細めにする、というのが基本の考え方です。柔らかい木は下穴が細くてもビスが入っていきますが、硬い木は細い下穴だとビスが進まず、無理に回すとビスの頭がなめたり折れたりします。具体的な下穴径の目安は、ビスのメーカーにより異なります。使うビスのパッケージやメーカーの技術資料に下穴の案内があれば、その値を優先しましょう。
パイン集成材は針葉樹の材なので、柔らかい木の扱いが当てはまる場面が多いはずです。ただし、樹種や節の位置で硬さは変わります。やりがちなのは、本番の板にいきなり打ち始めることです。端材がある場合は、同じ板の切れ端で下穴をあけてビスを打ち、割れないか、ビスがしっかり効くかを確かめてから本番に移ると失敗が減ります。

棚板を留めようとビスを打ったら、板の端から割れてしまった。逆に、穴をあけてから締めたら、今度はネジが手応えなく空回りした。木ネジの下穴は、あけるかどうかよりも、…
カットは裏から刃が抜けるときに欠けやすい
パイン集成材をノコギリや電動工具でカットするとき、刃が板から抜ける側の表面がささくれたり欠けたりしやすくなります。とくに針葉樹は柔らかい部分と硬い部分の差があるので、繊維が引きちぎられるように欠けることがあります。
なぜ抜ける側で欠けるのかというと、刃が木を押し出す向きに動くとき、裏側の繊維を支えるものがなくなるからです。入る側は木の中に刃が食い込んでいくので繊維が押さえられていますが、抜ける側は刃に押されて繊維が外へはじき出されます。手ノコでも電動工具でも、刃の動く向きを意識すると、どちらの面がきれいに切れるかがわかります。
コツは、見せたい面が刃の入る側になるように板の向きを決めることと、切る線の上にマスキングテープを貼っておくことです。テープが繊維を押さえるので、欠けが出にくくなります。また、板がぐらついていると切り口が荒れやすいので、クランプなどで作業台にしっかり固定してから切りましょう。電動工具を使う場合は、刃の取り付け方向や保護具の着用など、メーカーの取扱説明書の注意事項を守ることが前提です。
インパクトドライバーで締めすぎない
パイン集成材のような柔らかい材にビスを打つときは、最後の締めすぎにも注意が必要です。インパクトドライバーは、回転に打撃を加えて強い力でビスを締め込む工具なので、柔らかい木ではビスの頭が板の表面より深く沈んだり、ねじ山がまわりの木をつぶしてビスが効かなくなったりします。
ビスが効かなくなる理由は、ねじ山が噛み込んでいる木の繊維が、締めすぎの力でえぐられてしまうからです。こうなると、ビスは空回りするだけで板を押さえる力がなくなります。柔らかい針葉樹は、硬い木に比べてこの状態になりやすい材です。
コツは、ビスの頭が板の表面とそろったところで止めることです。インパクトドライバーの音が変わり、打撃が始まったら、そこからは少しずつ様子を見ながら締め込みます。回転数を切り替えられる機種なら、低い回転で使うと止めどころを見極めやすくなります。最後の数回転だけ手回しのドライバーで締めるのもひとつの方法です。もし空回りしてしまった場合は、ビスの位置をずらすか、穴を埋めて打ち直す方法があります。
塗装前の研磨が仕上がりを決める理由|240番と400番の使い分け
カンナ面のままでは塗料が染み込みにくい
パイン集成材は表面がきれいに仕上がっているので、そのまま塗ってしまいたくなります。ところが、きれいに見える表面ほど塗料が入りにくいことがあります。
和信ペイントの未塗装木部へのニスの塗り方ガイドは「カンナをかけてある木材は表面がきれいに見えますが、塗料が染み込みにくい状態になっているので、しっかり研磨してください。」と案内しています(和信ペイント 未塗装木部へのニスの塗り方)。
ガイドは理由までは書いていませんが、カンナで削った面はなめらかに平らになっていて、塗料が木の中に入り込む足がかりが少ないと考えるとわかりやすいでしょう。そのまま塗ると、塗料が表面にのっているだけになり、色ムラやはがれの原因になります。研磨で表面に細かな傷をつけると、塗料が入り込む足がかりができ、色が均一にのりやすくなります。売り場の集成材は、表面を平らに仕上げてから出荷されていることが多いので、塗装する前に研磨をする、という手順を省かないことが大切です。
買ってきた板の表面がつるつるしているからと、研磨せずにそのままニスやステインを塗り、色が濃い部分と薄い部分がまだらになる失敗です。原因は、カンナ面に塗料が染み込みにくいことと、集成材は木片ごとに吸い込み方が違うこと。対策は、塗る前に240番の空研ぎサンドペーパーで木目に沿って研磨し、木くずを払ってから塗ることです。
下地は240番、塗り重ね前は400番
研磨に使うサンドペーパーの番手は、塗る前の下地と、塗り重ねる前とで使い分けます。和信ペイントのガイドでは、下地研磨について「240番の空研ぎサンドペーパーを使って、木目に沿って研磨」と案内しています(和信ペイント 未塗装木部へのニスの塗り方)。
そして、1回目の塗装が乾いたあと、塗り重ねる前の研磨については「400番の空研ぎサンドペーパーを使って、木目に沿って軽く研磨」と案内しています(和信ペイント 未塗装木部へのニスの塗り方)。番手の数字が大きいほど目が細かくなるので、下地は少し粗めで塗料の足がかりを作り、塗り重ね前は細かい目で塗膜の表面だけを整える、という役割分担です。
どちらも「木目に沿って」がポイントです。木目と直角に研ぐと、繊維を横切る細かい傷がつき、塗装したあとに筋のように見えてしまいます。集成材は木片ごとに木目の向きがほぼそろっているので、板の長さ方向にまっすぐ研げば、全体を木目に沿って研磨できます。研磨のあとは、表面の木くずを乾いた布やはけで払ってから塗りましょう。木くずが残ったまま塗ると、ざらつきの原因になります。
乾燥時間は20℃の目安、湿気が多いと長くなる
塗装でもうひとつ気をつけたいのが、乾燥時間の読み方です。塗料の容器には乾燥時間が書かれていますが、和信ペイントのガイドでは、容器表記の乾燥時間は20℃での目安で、塗った量が多い場合や湿度が高い場合は長くかかると案内されています。
なぜ条件で変わるかというと、塗料が乾くには、溶剤や水分が蒸発する必要があるからです。気温が低いと蒸発がゆっくりになり、湿度が高いと空気中の水分が多いぶん、水分が抜けにくくなります。厚く塗れば、そのぶん蒸発させる量も増えます。容器の時間はあくまで決まった条件での目安で、冬の寒い部屋や梅雨どきは、表記より長く待つ必要があるということです。
薄め方にも決まりがあります。和信ペイントのガイドでは、試し塗りをしてニスが固くて塗りにくい場合に適したうすめ液で調整するとし、その目安を「油性・ラッカーのニスは10~20%薄める。水性のニスは基本的に原液のまま使用」としています。やりがちなのは、乾燥が足りないまま塗り重ねたり、組み立てたりしてしまうことです。表面が乾いたように見えても、中が乾いていないと、塗膜がよれたり、触った跡が残ったりします。塗装は組み立ての前に済ませ、乾燥を待つ時間も作業の計画に入れておきましょう。

オイルステインを買ってきたけれど、刷毛で塗るのか布で拭くのか、どれくらい待てば次に進めるのか。缶の説明を読むとニスを上塗りするように書いてあり、ステインだけでは…
実は集成材は木片ごとに色の入り方が違う
意外と知られていないけれど、パイン集成材は1枚の板の中で、木片ごとに塗料の吸い込み方が違うことがあります。集成材は別々の木から取ったひき板を組み合わせているので、木片によって年輪の詰まり方や、柔らかい部分の割合が違います。
柔らかい部分は塗料をよく吸い込み、硬い部分は吸い込みにくいので、とくに着色するステインを塗ったときに、木片ごとに色の濃さが変わって見えることがあります。無垢の一枚板なら、色の変化は木目に沿ってなだらかに出ますが、集成材では継ぎ目を境に色がはっきり切り替わることがあるわけです。これは塗り方の失敗ではなく、材の構造から来る性質です。
対策としては、本番の前に端材や裏面の目立たないところで試し塗りをして、色の出方を確かめることがいちばん確実です。下地研磨を木目に沿って均一に行うことも、吸い込みの差を小さくするのに役立ちます。逆に、この色の違いを集成材らしい表情として楽しむ、という考え方もあります。どちらを選ぶにしても、試し塗りで色の出方を見てから決めると、仕上がりのイメージとのずれが少なくなります。
パイン集成材に向く場所・向かない場所と保管のコツ
読者タイプ別の使い分け
パイン集成材が向いているのは、室内で使う棚・小さな家具・収納です。切りそろえたサイズがあり、反りにくく、加工しやすいという性質は、DIYで寸法どおりに組み上げたい場面で強みになります。どんな人にどう向くのかを、作りたいものと経験で分けて整理しました。
| 読者タイプ | 向いている使い方 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| DIYを始めたばかりの人 | カット済みサイズを使った小さな棚・箱 | 端のビス留めは下穴を先に |
| 本や重いものを収納したい人 | 厚い板を選び、支えの間隔を狭める | 厚さだけに頼らず支え方を設計 |
| 子ども部屋の家具を作る人 | F☆☆☆☆表示の板を選ぶ | 柔らかく打痕がつきやすい |
| 色を塗って仕上げたい人 | 240番で研磨してから塗装 | 木片ごとの色の差は試し塗りで確認 |
表のとおり、同じパイン集成材でも、何を作るかで気をつける点が変わります。自分がどのタイプに近いかを考えてから板を選ぶと、買い直しが減ります。
屋外・水まわりは慎重に考えたい
パイン集成材を屋外や水がかかる場所で使うのは、慎重に考えたほうがよい使い方です。理由は、含水率が環境とずれるほど木は大きく動くので、雨と日差しを繰り返し受ける屋外では、室内よりはるかに大きく含水率が上下するからです。
前の章で見たとおり、含水率が環境とずれると、木は縮んだり膨らんだりして反りが起こります。屋外では雨で濡れ、日差しで乾く、という変化が繰り返されるので、室内とは比べものにならないほど含水率が上下します。この記事で参照したJAS規格や林野庁の資料は、屋外での耐久性を扱ったものではありません。室内の棚や家具として使うことを前提に考えるのが無難です。
やりがちなのは、ベランダ用の棚やガーデニングの台を、室内用と同じ感覚で作ってしまうことです。屋外で木を使いたい場合は、屋外用として案内されている木材や塗料を選ぶ必要があります。塗料メーカーの製品情報には、屋内用か屋外用かが書かれているので、使う場所に合った製品かどうかを確かめましょう。どうしても水まわりで使う場合は、塗装で表面を保護し、水が溜まらない置き方を工夫するのが前提です。
買ってから組み立てるまでの保管で反らせない
意外と見落とされがちなのが、買ってから組み立てるまでの保管です。集成材は反りにくい材ですが、保管のしかたが悪いと、組み立てる前に反らせてしまうことがあります。
保管で気をつけたいのは、直射日光と高い湿気を避けることです。板の片面だけに日が当たると、その面だけが乾いて縮み、板が反ります。湿気の多い場所に置くと、板が水分を吸って膨らみます。どちらも、含水率が環境とずれることで起こる変化です。保管場所は、日の当たらない、風通しのよい室内が向いています。
置き方にもコツがあります。床に板を直接ぺたりと置くと、床に接している面と上の面とで湿気の当たり方が変わり、反りの原因になります。板の下に角材などをかませて床から浮かせ、板の両面に空気が通るようにしましょう。何枚も重ねる場合は、板と板の間にも空気が通るように隙間を作ります。やりがちな失敗は、車の中に板を積んだまま何日も置いておくことです。夏の車内は温度が上がりやすく、板が急に乾いて反ることがあります。買ってきた板は、できるだけ早く室内の保管場所に移しましょう。
まとめ
パイン集成材は、反りにくさと扱いやすさから、DIYの最初の一枚に選ばれやすい木材です。その反りにくさは、JASの含水率基準で乾いた状態にそろえてあることと、小さな板を組み直した構造から来ています。だからこそ、置き場所の湿気や日差しには気を配る必要があり、柔らかい針葉樹らしく、ビスの割れや締めすぎにも注意が要ります。まずは作りたい棚の寸法を、売り場で手に入る板のサイズに合わせて決めるところから始めてみてください。
※規格の数値や商品の寸法は改正・変更されることがあります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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