木の棚や小物に色をつけようと売り場に行くと、「ステイン」「オイルステイン」「オイル」「着色ニス」と似た名前が並んでいて、どれが「ステインオイル」なのか迷いやすいものです。名前が似ているぶん、買ったあとで「思ったより乾かない」「テーブルに塗ったら色がすれてきた」とつまずきやすいところでもあります。
先に結論をいうと、ステインオイルを選ぶときは「木に色を染み込ませる着色剤」なのか「木に油を含ませて仕上げるオイル」なのかを分けて考えるのが近道です。たとえばカンペハピオでは、油性の着色剤「オイルステインA」と、屋内木部用のオイル仕上げ「チークオイルA」は別の製品で、乾燥時間も20℃で約1時間と約24時間と大きく違います。
この記事では、塗料メーカーの公式製品情報・カタログと、日本塗料工業会・東京都・NITE(製品評価技術基盤機構)の安全資料をもとに、種類の違い、塗るものに合わせた選び方、塗り面積と乾燥時間の読み方、下地づくりと塗り方、そして使い終わったウエスの自然発火対策までを、理屈から順に整理します。
・「ステイン」「オイルステイン」「オイル仕上げ」「着色ニス」の役割の違い
・棚・テーブル・屋外の木製品で、どれを選び、上塗りが要るかの考え方
・カタログの塗り面積と「乾燥」「塗り重ね」時間の読み方
・使い終わったウエスが自然発火する仕組みと、公的資料が示す捨て方
ステインオイルとは?着色剤とオイル仕上げは役割が違う

「ステイン」は木に色を染み込ませる着色剤
ステインの役割は、木目を残したまま木に色をつけることです。表面を固い膜で覆って守る役は、基本的にニスなど上塗り側が担います。
この役割分担は、メーカーの製品の分け方を見るとわかります。カンペハピオの「油性ウレタン着色ニス」の製品ページでは「木目を生かした着色とニス仕上げが同時にできます」と案内されています(カンペハピオ 油性ウレタン着色ニス)。わざわざ「同時にできる」とうたう製品が別にあるのは、ステイン単体では着色まで、ニス仕上げは別工程という前提があるからです。
家でやるDIYでありがちなのが、ステインを塗って色がきれいに入った段階で「仕上げ完了」と思ってしまうケースです。棚の側板ならそれで困らないこともありますが、毎日コップを置くテーブル天板では、使い方によっては色の傷みが気になってきます。
見分けるときは、缶やカタログの「区分」欄を見てください。「着色剤」と書かれていれば色をつける係、「ニス」とあれば膜で仕上げる係、と読むと迷いにくくなります。
オイルステインは「油性」の着色剤を指す名前
オイルステインの「オイル」は、油で仕上げるという意味ではなく、油性の着色剤であることを表しています。オイル仕上げ材とは別物と考えてください。
カンペハピオのカタログでは、オイルステインAは「着色力と耐久性に優れた油性着色剤です。」と説明され、区分は「油性着色剤(木目を生かした半透明着色仕上げ)」です(カンペハピオ オイルステインA カタログ)。油性なので、うすめずそのまま使い、道具の洗浄はペイントうすめ液で行う、と案内されています。危険物の分類では第2石油類にあたります。
やりがちなのは、名前に「オイル」が入っているからと、チークオイルのような仕上げ用オイルと同じ感覚で扱うことです。乾燥時間も仕上がりの質感も違うため、段取りが狂います。
缶を手に取ったら、製品名より先に「区分」「うすめ方」「洗浄に使うもの」の3項目を見ると、油性の着色剤かどうかがすぐ判断できます。
チークオイルのような「オイル仕上げ」は別の仕上げ材
チークオイルのようなオイル仕上げ材は、木に油を含ませて、手ざわりや風合いを整える仕上げ材です。着色を主目的とするステインとは、使う場面も時間のかけ方も変わります。
カンペハピオのチークオイルAは用途が「未塗装の木部・木製品(屋内)」の油性の仕上げ材で、製品ページでは「屋内の木部、木製品の木目を生かし、しっとりした自然な風合いに仕上がります。」と案内されています(カンペハピオ チークオイルA)。仕上がりは「油拭きしたようなアンティーク調」とされ、乾燥時間は20℃で約24時間、冬期で約48時間と、オイルステインAよりかなり長めの設定です。
ありがちな失敗は、夕方に塗って翌朝すぐ物を載せようとする段取りです。20℃でも約24時間なので、冬場ならさらに余裕を見る必要があります。
オイル仕上げ材を選ぶときは、屋内用か屋外用か、布で拭き取る工程があるかを製品ページで確かめておくと、作業の時間割が立てやすくなります。
実は「ステインオイル」は売り場の呼び名に近い
意外と知られていないけれど、「ステインオイル」という言葉は、メーカーの製品区分としてはあまり使われていません。今回確認したカンペハピオの製品ページでは、オイルステインA・水性木部用ステイン・チークオイルAがいずれも「ステイン」の分類に並び、そのうえで特長欄やカタログで「油性着色剤」「水性着色剤」、チークオイルAは屋内の木部・木製品用の油性の仕上げ材として書き分けられています。
そのため、ネットや売り場で「ステインオイル」と書かれていても、油性の着色剤(オイルステイン)を指している場合と、色のついたオイル仕上げ材を指している場合が混ざります。呼び名だけで選ぶと、乾燥や上塗りの考え方がまるで違う製品を手にすることになります。
たとえば「乾きが早いと聞いたから」と買ったものがオイル仕上げ材で、丸1日以上待つことになった、というズレはこの呼び名の混同から起こります。逆に、しっとりした手ざわりを期待して油性着色剤を塗ると、色はつくものの質感の期待とずれることがあります。
迷ったら呼び名ではなく、缶の区分表示と使用方法の欄で判断してください。区分の言葉さえ押さえれば、この先の選び方の話がすべてつながります。
ステイン=木目を生かして色をつける着色剤。オイルステイン=油性の着色剤(カンペハピオでは「油性着色剤」と区分)。オイル仕上げ=木に油を含ませて風合いを整える仕上げ材(例:チークオイルA)。着色ニス=着色とニス仕上げが同時にできる塗料。第2石油類=消防法上の危険物の分類で、油性のオイルステインAやチークオイルAが該当します。
油性・水性・着色ニスは何が違う?乾燥と後片付けで比べる
乾燥と塗り重ねの時間は製品ごとに別物
同じ「ステイン」でも、油性と水性では乾燥後に塗り重ねられるまでの時間が違います。作業の段取りは、この塗り重ね時間で決まります。
カンペハピオ公式の値では、油性のオイルステインAは20℃で約1時間(塗り重ねる時は4時間以上)、水性木部用ステインは20℃で約1時間(重ね塗りは1.5時間以上)です(カンペハピオ 水性木部用ステイン)。表面が乾くまでの時間は同じでも、次の層を重ねてよいタイミングには差があります。
たとえば休日の午前中だけで2回塗りまで終えたいなら、水性のほうが組みやすい計算になります。油性で同じ予定を立てると、2回目を急いでしまいがちです。
カタログでは「乾燥時間」と「塗り重ね」の値が並んで書かれているので、両方をメモしてから作業日を決めるのがコツです。
拭き取りが要るかどうかで手間が変わる
布で拭き取る工程があるかどうかも、選ぶときの分かれ目です。製品ごとに要否がはっきり書かれています。
水性木部用ステインの製品ページには「拭き取り不要できめ細かい仕上がりになります。」とあります(カンペハピオ 水性木部用ステイン)。一方、オイル仕上げのチークオイルAは、20℃で塗ってから10〜30分のうちに布で拭き取る段取りが示されています。
拭き取りが必要な製品を、拭き取り不要の製品と同じ感覚で塗りっぱなしにすると、仕上がりが製品の想定と変わってしまいます。広い面を一度に塗って拭き取りが追いつかない、という段取りミスも起こりがちです。
拭き取りが要る製品なら、時間内に拭ける広さずつ区切って塗るのが基本です。製品ページの使用方法欄に、拭き取りの有無と時間の目安が書かれているので先に確認しておきましょう。
色と塗膜を一度で済ませたいなら着色ニス
着色と表面の保護を1回の工程でまとめたいなら、ステインではなく着色ニスという選択肢があります。
カンペハピオの油性ウレタン着色ニスは特長に「木目を生かした着色とニス仕上げが同時にできます。」とある製品で、色数は8色です。乾燥時間は刷毛塗り20℃で約2時間(重ね塗りは6時間以上)、冬期で約4時間(重ね塗りは10時間以上)とされています(カンペハピオ 油性ウレタン着色ニス)。
ただし、色と膜が一緒に乗るぶん、木目の見え方はステインで染めた場合と変わります。木目をはっきり見せたいのに着色ニスを重ね塗りして、思ったより木目が沈んで見える、というズレはありがちです。
工程を減らしたいのか、色の入り方を細かく調整したいのかで選び分けるのがコツです。後者なら、ステインで色を決めてから透明のニスを重ねる2段構えが組みやすくなります。
においと後片付けは油性と水性で大きく違う
室内で作業するなら、においと後片付けの手間も選ぶ基準に入れておくと失敗が減ります。
水性木部用ステインは「臭いが少なく、乾燥が速く、塗りやすい水性ステインです。」とされています。油性のオイルステインAは、道具の洗浄にペイントうすめ液を使い、危険物の分類は第2石油類です(カンペハピオ オイルステインA カタログ)。洗浄用のうすめ液も含めて、火気の近くを避けて扱うものと考えてください。
マンションの室内で油性を選び、換気が足りないまま作業してしまうのは、家でやるDIYで起こりがちな段取りミスです。刷毛を洗う場所や、うすめ液の保管場所を作業前に決めていなかった、というのもよくあるつまずきです。
缶の注意表示に、換気や火気についての指示が書かれています。作業場所を決める前に読み、守れない環境なら水性を選ぶ、という順番で考えると安心です。
| 項目 | オイルステインA | 水性木部用ステイン | チークオイルA |
|---|---|---|---|
| 区分 | 油性着色剤(木目を生かした半透明着色仕上げ) | 水性着色剤(木目をいかした微光沢着色ステイン) | 油性のオイル仕上げ(屋内の木部・木製品用) |
| 乾燥時間(20℃) | 約1時間(塗り重ねる時は4時間以上) | 約1時間(重ね塗りは1.5時間以上) | 約24時間 |
| 乾燥時間(冬期) | 約2時間(塗り重ねる時は8時間以上) | 約2時間(重ね塗りは3時間以上) | 約48時間 |
| 拭き取り | あり(塗装後約5分おいて布ですり込み、余分を拭き取る) | 不要 | 20℃で10〜30分後に布で拭き取り |
| 容量・色数 | 100ml・300ml・0.7L・1.6L/10色 | 300ml・0.7L・1.6L/8色 | 100ml・300ml |

何に塗るかで決まる|棚・テーブル・屋外の木製品の選び分け

室内の棚や小物は、作業環境で油性か水性かを選ぶ
手で触れる程度の棚や小物なら、まずは作業する場所の条件で油性か水性かを決めると選びやすくなります。
オイルステインAの用途は「未塗装の木部・木製品(屋内外)」、水性木部用ステインは「臭いが少なく、乾燥が速く、塗りやすい水性ステインです。」とされています(カンペハピオ オイルステインA)。どちらも木目を生かして色をつける着色剤なので、色の好みに加えて、においや後片付けの条件で絞り込めます。
たとえば、ベランダで作業できて刷毛洗いの場所もあるなら油性、リビングの片隅で短時間に済ませたいなら水性、という分け方です。部屋の換気条件を考えずに油性を選ぶと、乾くまで部屋が使いにくくなりがちです。
色はオイルステインAが10色、水性木部用ステインが8色と、製品ごとに色数も異なります。カタログの色見本と、塗る木の色味を並べて見てから決めるのがコツです。
テーブル天板や床は上からニスを重ねる前提で
手や物がこすれる面は、着色剤だけで仕上げず、上からニスを重ねる前提で計画しておくのが安心です。
オイルステインAのカタログには、「床など、より耐久性が必要な場合は、用途に応じたニスを上塗りしてください。」とあります(カンペハピオ オイルステインA カタログ)。同じカタログには「乾燥後は水拭きしても色落ちせず、屋外での使用も可能です。」とも書かれており、色落ちしにくさと、床のような摩耗への強さは別の話として扱われています。
テーブル天板にステインだけを塗り、食器の出し入れで端の色が薄くなってきた、というのはありがちな流れです。着色剤は色をつける係、こすれへの備えはニスの係、と役割を分けて考えると納得しやすくなります。
上塗りするなら、ステインの塗り重ね時間を守ってからニスに進む段取りにしてください。ニス側の乾燥・重ね塗り時間も製品ごとに違うので、両方の値を確かめておきましょう。
屋外の木製品は「屋外可」の表示を確かめる
屋外に置く木製品に塗るなら、製品が屋外での使用に対応しているかを、表示で確かめてから選びます。
オイルステインAはカタログで屋外での使用も可能とされ、用途は「未塗装の木部・木製品(屋内外)」です。一方、チークオイルAは用途が「未塗装の木部・木製品(屋内)」とされ、床や常に水がかかる所も不適とされているので、屋外の木製品には向きません(カンペハピオ チークオイルA)。
ありがちなのは、室内で気に入った仕上がりのオイルを、そのまま屋外のプランター台やベンチにも使ってしまうケースです。製品の想定外の場所に使うと、カタログの性能表示はあてになりません。
なお、建物の外まわりの塗装はこの記事の範囲外です。屋外の木製品に塗る場合も、用途欄に「屋外」の記載があるか、上塗りの指示があるかを製品ごとに確認するのがコツです。
しっとりした手ざわりを優先するならオイル仕上げ
色よりも、木の手ざわりや落ち着いた風合いを優先したいなら、着色剤ではなくオイル仕上げ材が候補になります。
チークオイルAは、仕上がりが「油拭きしたようなアンティーク調」とされ、屋内の木部・木製品向けです。塗り面積は2回塗りで100mlが1.2〜1.4㎡、300mlが3.6〜4.2㎡と示されています(カンペハピオ チークオイルA)。
一方で、乾燥は20℃で約24時間と長めです。すぐ使いたい小物や、急ぎで仕上げたい家具に選ぶと、待ち時間が想定より延びてしまいます。
手ざわりを重視するか、色と作業時間を重視するか、目的を一言で決めてから選ぶと迷いません。屋内専用である点は、置き場所が変わる可能性のある家具では特に意識しておきましょう。
1缶で何㎡塗れて、いつ重ねられる?カタログ数字の読み方
塗り面積は「1回塗り」か「2回塗り」かで基準が違う
カタログの塗り面積は、何回塗りを前提にした数字かを必ず確認してください。同じ容量でも、基準が違えば数字の意味が変わります。
オイルステインAは1回塗りの値で、100mlが1.5〜1.8㎡、300mlが4.5〜5.4㎡、0.7Lが10〜12㎡、1.6Lが24〜28㎡です(カンペハピオ オイルステインA カタログ)。一方、水性木部用ステインは2回塗りの値で、300mlが1.9〜2.5㎡、0.7Lが4.4〜5.8㎡、1.6Lが10〜13.3㎡と示されています。
この前提を見落として、1回塗りの数字と2回塗りの数字をそのまま比べると、「水性は油性より塗れる面積が狭い」と早合点しがちです。比べるなら、同じ回数の条件にそろえて考える必要があります。
カタログの表の見出しや注記に「1回塗り」「2回塗り」と書かれています。自分が何回塗るつもりかを先に決めてから、表の数字を読むのがコツです。
容量は塗る面の広さと回数から選ぶ
缶の大きさは、塗りたい面の広さと塗る回数を掛け合わせて考えると、買いすぎも足りなさも防げます。
理屈はシンプルで、カタログの㎡の値は「その容量で塗れる面積の目安」です。木の吸い込み方や塗り方で使う量は変わるため、カタログも「1.5〜1.8㎡」のように幅で示しています。下限側の値で見積もっておけば、途中で足りなくなるリスクを減らせます。
やりがちなのは、棚板の表面だけを測って、裏面や木口(板の切り口)、側板の内側を数え忘れることです。組み立てた家具は思った以上に塗る面が多く、途中で缶が空になって色合わせに困るケースが起こります。
同じ色を途中で買い足すと、色の差が気になることもあります。面ごとに広さを書き出し、塗る回数を掛けてから、カタログの下限の値と見比べて容量を選ぶとよいでしょう。
冬は乾燥時間が延びることを前提に組む
乾燥時間は気温で変わり、冬は長くなります。作業日の季節に合わせた値で段取りを組んでください。
カンペハピオのカタログでは、オイルステインAが「20℃ : 約1時間(塗り重ねる時は4時間以上)」、「冬 期 : 約2時間(塗り重ねる時は8時間以上)」と、季節ごとに分けて示されています(カンペハピオ オイルステインA カタログ)。チークオイルAも20℃で約24時間、冬期で約48時間と、冬は長い値です。
夏に作業したときの感覚のまま、冬の休日に「午前中に1回目、午後に2回目」と予定すると、塗り重ねの目安に届かないことがあります。冬期の値を見ると、油性は1日で2回目まで終えるのが難しくなる場合もあります。
季節によって値が違うことを知っておくだけで、無理な予定を避けられます。カタログの乾燥時間欄に温度条件が書かれているので、作業日の気温に近い行を読むようにしましょう。
「乾燥」と「塗り重ね」は別の時間
カタログに書かれた「乾燥時間」と「塗り重ねの時間」は別物です。表面が乾いても、すぐ重ねてよいとは限りません。
オイルステインAは20℃で乾燥約1時間に対し、塗り重ねる時は4時間以上とされています。油性ウレタン着色ニスも刷毛塗り20℃で約2時間に対し、重ね塗りは6時間以上です(カンペハピオ 油性ウレタン着色ニス)。表面の乾きと、次の層を受け止められる状態になるまでには差がある、とメーカーが示しているわけです。
指で触ってべたつかないから大丈夫だろうと判断し、乾燥時間の直後に2回目を塗ってしまうのは、家でやるDIYでありがちな判断です。
作業メモには「乾燥」と「塗り重ね」の両方の時間を書き、塗り重ねの時間を基準に予定を立ててください。ステインの上にニスを重ねる場合も、ステイン側の塗り重ね時間を待ってから進むのが目安です。
| 種類・方式 | 油性着色剤(木目を生かした半透明着色仕上げ)/危険分類:第2石油類 |
| 主な仕様 | 容量:100ml・300ml・0.7L・1.6L/10色/塗り面積(1回塗り):100mlで1.5〜1.8㎡、1.6Lで24〜28㎡ |
| 向いている作業・材料 | 未塗装の木部・木製品(屋内外)。床など耐久性が必要な場合は用途に応じたニスを上塗り。旧塗膜がある場所は完全に取り除く必要あり |
| 使い方のコツ・注意 | うすめずそのまま使用。乾燥は20℃で約1時間(塗り重ねる時は4時間以上)、冬期で約2時間(塗り重ねる時は8時間以上)。道具の洗浄はペイントうすめ液 |
塗る前の下地づくり|研磨・洗浄・目止めで色の入り方が変わる
♯240〜♯320のサンドペーパーで表面をそろえる
ステインは木に染み込んで色が出るため、塗る前の表面の状態が、そのまま色の入り方に表れます。まずは研磨で表面をそろえるところから始めます。
カンペハピオの塗装方法のページでは、下地研磨にサンドペーパー♯240〜♯320を使う手順が案内されています(カンペハピオ ニスの基本的な塗装方法)。ざらつきやケバ立ちが残っていると、そこだけ塗料の入り方が変わり、色の濃淡として見えやすくなります。
ありがちなのは、板の表面だけ丁寧に磨いて、木口や角を磨き残すことです。研磨の差がそのまま色の差になり、仕上げたあとに目立ってきます。
研磨は木目に沿って動かし、終わったら削りかすを払ってから次の工程に進むのがコツです。磨いた面とそうでない面の手ざわりを指先で比べると、磨き残しに気づきやすくなります。
中性洗剤で手あかや汚れを落としておく
研磨と並んで大事なのが、表面の汚れを落としておくことです。汚れが残った部分は、塗料がうまくなじまない原因になります。
カンペハピオの塗装方法のページでは、下準備として中性洗剤で汚れを落とす手順が示されています。手あかや油分が表面に残っていると、木に染み込むはずの着色剤がそこで弾かれたり、入り方が変わったりして、ムラにつながります。
たとえば、組み立てや寸法合わせの途中で何度も手で触った棚板は、見た目にはきれいでも手あかがついています。そのまま塗ると、触れた部分だけ色が違って見えることがあります。
汚れを落としたら、しっかり乾かしてから次に進んでください。水分が残った状態で油性の着色剤を塗ると、木への入り方が想定と変わるため、洗った日は乾燥に時間を取る段取りにしておくと安心です。
粗い木材はとの粉で目止め、穴やひびはパテで埋める
木目の粗い木材や、穴・ひびのある面は、塗る前に整えておくと仕上がりが落ち着きます。
カンペハピオの塗装方法のページでは、粗い木材は、との粉を木目に沿って塗り、布ですり込む「目止め」を行うこと、穴やひびは木部用パテで埋めることが案内されています。導管(木の細い管)が大きい木材は塗料を吸い込みやすく、目止めで吸い込みをそろえておくと、色の入り方が均一に近づきます。
どんな木が粗い木目にあたるかは、木の種類と密度の違いを知っておくと判断しやすくなります。

やりがちなのは、パテを埋めた部分にもステインで色がつくと考えてしまうことです。パテは木とは素材が違うため、色の入り方が周りと変わる場合があります。目立たせたくない場所は、端材で試し塗りして色の出方を確かめておくのがコツです。
塗装済みの家具はそのままでは塗れない、という最初の落とし穴
ステインオイル選びでいちばん最初につまずきやすいのが、すでに塗装されている家具に塗ろうとするケースです。
オイルステインAは、用途が「未塗装の木部・木製品」とされ、塗料・ニスなど旧塗膜がある場所は「完全に取り除く必要があります」と案内されています(カンペハピオ オイルステインA)。ステインは木に染み込んで色をつける仕組みなので、表面がニスなどの膜で覆われていると、木まで届かないからです。
たとえば、市販の家具の色を変えようとして上から塗ると、色が入らずに表面に残り、ベタついたりムラになったりしやすくなります。古い家具は、塗装がされているか見た目で判断しにくいことも多いものです。
水を1滴たらして染み込むか弾かれるかを見るなど、表面に膜があるかを確かめてから計画を立ててください。膜がある場合は、使える塗料を製品ごとの用途欄で確認するのが先です。
状況:市販の家具の色を変えたくて、オイルステインを上から塗った。
原因:ステインは木に染み込んで色をつける着色剤。表面にニスなどの旧塗膜があると木まで届かず、色が入らない。オイルステインAも、旧塗膜がある場所は完全に取り除く必要があるとされている。
対策:塗る前に表面に膜があるかを確かめ、未塗装の木部かどうかを判断する。製品の用途欄に「未塗装の木部」とあるかを確認する。
ステインオイルの塗り方|薄く数回とスミからの順番
スミや塗りにくい所から先に塗る
塗る順番は、スミや塗りにくい所から先に、広い面は後から、が基本です。この順番がそのままムラを減らすことにつながります。
カンペハピオの「ニス・ステインの塗装方法」のページでは、透明ニス塗装の手順として「スミや塗りにくい所から先に塗り、木目にそって薄く数回に分けて塗りましょう。」と案内されています。同じページのステイン塗装は、刷毛で薄く塗り広げ、乾かないうちに布(ウエス)ですり込み、塗りムラのないように余分な塗料を拭き取る、という流れを好みの色に近づくまで繰り返す手順です(カンペハピオ ニスの基本的な塗装方法)。広い面を先に塗ると、あとからスミを塗るときに刷毛が既に塗った面へはみ出し、その部分だけ重ね塗りになって色が濃く出やすくなるからです。
ありがちなのは、目立つ天板から塗り始めて、最後に棚の内側のスミを塗るときに天板の縁へ塗料が垂れてしまう流れです。
塗り始める前に、スミ・角・木口・内側など塗りにくい場所を指でたどって確認し、そこから手をつけるのがコツです。缶を開ける作業も、塗り始める前に落ち着いて済ませておきましょう。

うすめず、木目にそって薄く数回に分ける
一度に厚く塗って色を出そうとせず、木目にそって薄く数回に分けて塗るのが、色ムラを防ぐ近道です。
オイルステインAは「うすめずそのまま使用」とされています。うすめずに使う前提の製品なので、色を淡くしたいときに勝手に溶剤を足すと、メーカーの想定した仕上がりから外れます。色の濃さは、塗る回数で調整する考え方です。
たとえば、1回目で思ったより色が薄く見えて、たっぷり刷毛に含ませて塗り直すと、木の吸い込みやすい部分だけ色が濃くなり、まだらに見えがちです。木口は特に吸い込みやすく、色が濃く出やすい場所です。
刷毛に含ませる量を毎回そろえ、木目の方向に一定の速さで動かすと、色の入り方が落ち着きます。本番の前に端材で塗る回数ごとの色を確かめておくと、何回で止めるかを決めやすくなります。
各回の間は充分に乾かしてから軽く研磨する
2回目以降を塗る前には、充分に乾かしてからサンドペーパーで軽く研磨する、という工程を挟みます。
カンペハピオの塗装方法のページでは、各回の間に充分乾燥させ、サンドペーパーで研磨する手順が示されています。塗った後の表面には、木の繊維が立ってざらつく部分が出ることがあり、そのまま重ねるとざらつきが閉じ込められてしまいます。研磨で表面をそろえてから重ねると、次の層の入り方も均一に近づきます。
やりがちなのは、乾燥の目安を待たずに研磨して、塗料をペーパーで引きずってしまうことです。オイルステインAなら20℃で塗り重ねる時は4時間以上、冬期は8時間以上という目安を守るのが前提です。
研磨は力を入れず、表面をなでる程度にとどめてください。削りすぎると色が落ちて、その部分だけ薄く見える原因になります。
オイル仕上げは10〜30分で布で拭き取る
チークオイルのようなオイル仕上げ材を使う場合は、塗ったあとの拭き取りまでが一連の作業です。
チークオイルAでは、20℃で塗ってから10〜30分で布で拭き取る段取りが示されています(カンペハピオ チークオイルA)。拭き取りまでの時間が決まっているため、一度に塗る範囲は、その時間内に拭き取れる広さに区切るのが現実的です。
広いテーブル天板を一気に塗ってから拭き取ろうとすると、最初に塗った端と最後に塗った端で拭き取りまでの時間に差が出て、仕上がりにばらつきが出やすくなります。
そして、この拭き取りに使ったウエスの扱いが、次の章で説明する自然発火の話につながります。拭き取り用の布を何枚使うかも、作業前に決めておくと片付けが楽になります。
塗った後の上塗りや仕上げの段取りは、オイルステインの塗り方に絞った記事でさらに詳しく整理しています。

使ったウエスはなぜ燃える?捨て方で守る2つのこと
油が空気に触れて熱を出す「酸化熱」の仕組み
油を含んだウエスが燃えることがあるのは、油そのものが空気と反応して熱を出すからです。火の気がなくても起こりうる、という点が見落とされがちです。
東京都の消費生活の資料では「動植物油は、空気に触れると酸化して熱が発生します。この熱を酸化熱といいます。この酸化熱が蓄積して温度が上昇することで、自然発火に至る可能性があります。」と説明されています(東京都 消費生活総合センター資料)。布は空気に触れる面が多いうえ、丸めると熱がこもりやすい形になります。
NITE(製品評価技術基盤機構)の資料でも「ヒマワリ油などの不飽和脂肪酸を主成分とする塗料を含浸したウエス(ぼろ布)が自然発火し、火災になることがある」とされています(NITE 資料)。
この記事で取り上げた製品の缶にも、メーカー自身の注意書きがあります。チークオイルAの缶の「用具の手入れ方法」には「チークオイルの付着した布や新聞紙を丸めたまま放置すると自然発火の恐れがありますので、必ず水にぬらしてから捨ててください。」と書かれています。オイルステインAも、塗ったあと布ですり込んで余分を拭き取る工程があり、缶には「使用済みの布(ウエス)、新聞紙は必ず水でぬらしてから捨ててください。」とあります(カンペハピオ チークオイルA 商品説明書(PDF))。ほかの製品を使うときも、缶の注意表示でウエスの扱いを確認してください。
段ボールに入れたまま放置して出火した例
自然発火は、作業後に「とりあえず置いておく」という何気ない行動から起こります。公的資料に、家でも起こりうる具体的な例が載っています。
東京都の資料には「植物油を含む塗料を拭きとった布をそのまま段ボールに入れて放置したら、段ボールから出火した。」という事例が紹介されています(東京都 消費生活総合センター資料)。段ボールは燃えやすく、中に入れた布の熱も逃げにくい組み合わせです。
家でやるDIYでは、作業が終わった安心感から、拭き取りに使った布を丸めて段ボールやゴミ袋に入れ、片付けを翌日に回してしまうことがあります。作業場所の隅に置いたまま夜を迎える、というのも起こりがちな流れです。
ウエスの処理は、刷毛の洗浄や缶のふた閉めと同じく「作業の最後の工程」として、その日のうちに済ませる段取りに組み込んでください。
水の入った容器に入れて処理する
使ったウエスは、水を使って熱がこもらない状態にしてから処分するのが、公的資料が示す方法です。
日本塗料工業会は、2007年の塗料の自然発火事故を受けて、自然発火の可能性のある油性塗料などについて、ラベルやカタログに「染み込んだウエスは自然発火の恐れがあります。使用したウエスは、必ず焼却するか、水の入った容器に入れて処理してください。」という趣旨の注意書きを目立つように載せるよう会員各社に求めています(日本塗料工業会 資料)。家庭で焼却するのは現実的ではないため、水の入った容器に入れる方法が取り入れやすいでしょう。東京都の資料でも、油の染み込んだ紙や布は、水を十分に染み込ませるなどの処理をしてから捨てるよう呼びかけています。
やりがちなのは、布の表面を軽く濡らしただけで安心してしまうことです。丸まった布の内側まで水が届いていないと、意味が薄くなります。
作業を始める前に、水を入れた容器を用意しておくのがコツです。拭き取りが終わった布から順に沈めていけば、片付けを後回しにする余地がなくなります。捨て方の細かな区分は、お住まいの自治体の案内に従ってください。
缶の注意表示とうすめ液の扱いを守る
ウエスだけでなく、塗料の缶や洗浄に使う液にも、守るべき表示があります。表示を守ることが、安全面でも前提になります。
オイルステインAやチークオイルAは危険物の第2石油類にあたり、オイルステインAの道具の洗浄にはペイントうすめ液を使います(カンペハピオ オイルステインA カタログ)。日本塗料工業会の資料では、2007年に塗料の拭き取りに使ったウエスを麻袋に入れて保管していたら発火して作業現場が焼損した事故などについて、缶に「自然発火の恐れがあるのでウエスは十分に浸してから処分するように」との注意事項が明記されていたことから、製品事故ではなく誤使用と判断された、と紹介されています。
刷毛を洗ったうすめ液をそのまま放置したり、塗料の缶のふたを開けたまま作業場を離れたりするのは、ありがちな油断です。
作業前に缶の注意表示を一度読み、火気・換気・ウエスの処理の3点を確認してから始めてください。けがや体調の異変があった場合の対応は、製品の表示や専門の窓口の案内に従いましょう。
状況:オイルを拭き取った布を丸めて段ボールに入れ、片付けを翌日に回した。
原因:動植物油は空気に触れると酸化して熱(酸化熱)が発生し、熱が蓄積すると自然発火に至る可能性がある。東京都の資料には、段ボールから出火した事例が載っている。
対策:作業前に水の入った容器を用意し、使ったウエスはすぐ沈める。日本塗料工業会は、使用したウエスは焼却するか水の入った容器に入れて処理するよう案内している。
まとめ
「ステインオイル」という呼び名は、油性の着色剤と色つきのオイル仕上げ材の両方を指して使われることがあり、乾燥時間も上塗りの要否も製品によって大きく変わります。最初の一歩として、塗りたい家具の面の広さと置き場所(屋内か屋外か、こすれる面か)を書き出し、売り場では缶の「区分」「用途」「乾燥・塗り重ね時間」の3つを見比べてみてください。あわせて、作業を始める前に水を入れた容器を用意しておけば、片付けまで安心して進められます。
※製品の仕様・用途・乾燥時間は変更されることがあります。最新情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。

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